K付きとK無しの差をみる
今回の検証は、すでに発売済みであるCore i9-13900KおよびCore i7-13700Kと、そのK無しモデルであるCore i9-13900およびCore i7-13700を準備し、性能にどういった差が出るかをチェックする。Core i5-13600はテスト機材の用意がないという事で検証はできなかったが、K付きで一番下のCore i5-13600Kも比較対象に加えた。
検証環境は以下の通りである。Secure Bootやコア分離(VBS)、HDRといった機能はすべて有効化した状態で検証している。
検証環境 | |
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CPU | インテル「Core i9-13900K」 (24コア/32スレッド、最大5.8GHz) インテル「Core i9-13900」 (24コア/32スレッド、最大5.6GHz)、 インテル「Core i7-13700K」 (16コア/24スレッド、最大5.4GHz)、 インテル「Core i7-13700」 (16コア/24スレッド、最大5.2GHz)、 インテル「Core i5-13600K」 (14コア/20スレッド、最大5.1GHz) |
CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザーボード | ASUS「ROG MAXIMUS Z790 HERO」 (インテルZ790、BIOS 0703) |
メモリー | G.Skill「F5-6000J3636F16GX2-TZ5NR」 (16GB×2、DDR5-5600動作) |
ビデオカード | NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」 |
ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」 (1TB M.2 SSD、PCIe 4.0、システムドライブ)、 Silicon Power「SP002TBP34A80M28」 (2TB M.2 SSD、PCIe 3.0、ゲーム用ドライブ) |
電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
なお、今回K無しモデルのPower Limitについては、2種類の設定で検証することとした。まずK付きモデルと同様にMTP無制限で運用する設定と、MTPをインテル定格仕様にした2種類である。マザーボードの設計によっては、MTPがインテル定格仕様になっている可能性があるため、このようなセットアップとした。
本稿で検証するK無しCPUのMTPは219Wであるため、グラフ中では「(MTP 219W)」を付記してMTP無制限設定と区別している。BIOS上でCPUクーラーのタイプを指定するといい塩梅のMTPに調整してくれるマザーボードもあるので、今回の検証は“性能が一番出る設定と定格の設定にした時の差を見る”のが目的となる。
MTP無制限だとそれほど差は出ない
最初に試すのは定番の「CINEBENCH R23」だ。MTPを絞るとマルチスレッドのスコアーは下がることは容易にわかるが、シングルスレッドのスコアーがどうなるかに注目したい。
まず、MTPを無制限にした時のK無しモデルは、K付きモデルよりスコアーは全体的に低くなる。シングルスレッドよりもマルチスレッドのスコアーの下げ幅の方が大きいが、それでも最大約8%程度(Core i9-13900 vs 13900K)。シングルスレッドのスコアーは4%程度下がるだけだ。
しかし、MTPを定格(219W)に絞るとマルチスレッドのスコアーは顕著に低下する。Core i7-13700もCore i9-13900も、K付きモデルに比べて40%程度マルチスレッド性能が低下した。ただ、シングルスレッド性能は5%前後下がるだけにとどまる。MTPを定格まで絞ると1ランク下(Core i9ならi7、i7ならi5)のK付きモデルよりもマルチスレッド性能は下がるという点に注目しておきたい。
CINEBENCHと系統は似ているが、マルチスレッド性能が重要なCGレンダリング系ベンチとして「Blender Benchmark」「V-Ray Benchmark」も試してみたい。どちらも演算にCPUのみを使っている。
これらのベンチでも傾向は共通であることがわかる。K無しモデルはK付きモデルよりもスコアーが下になるが、Core i9-13900対13900KのほうがCore i7-13700対13700Kよりもスコアーが大きく下がり、またMTPを定格に絞った時の性能は1ランク下のK付きモデルよりも下となる。1ランク下のモデルを買ってMTPを定格より少し上で運用するのが良いか、コアの多い上のモデルを買ってMTPを絞って運用するのが良いか悩ましいところだが、今回はそこまでの検証はしない。
続いて、総合性能をみる「CrossMark」を使ってみよう。写真や動画編集などに使われる処理性能を見るCreativity、文書やメール作成等に使われる処理性能を見るProductivity、アプリの起動やファイルオープンを含めたマルチタスク状況下での反応を見るResponsivenessテストに分かれている。
テストによりMTPを絞った時の方がわずかに絞らない時を上回るようなパターンも見られるが、総じてCore i9>i7>i5という序列ができている。スコアー差が非常に小さいのは、CPU負荷が全体に低めであるためだ。
つまり、ライトユースであれば、K付きモデルとの差はほとんどわからない事を示している。ただ、Responsivenessのスコアーが示す通り、コア数が多いほどマルチタスク状況での応答性は上がっていくため、Core i9-13900をMTP定格に絞って運用しても、Core i5-13600KのMTP無制限運用時よりも応答性の良い環境が得られることを示している。
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