実使用でのパフォーマンスをチェック
「990 PRO」の転送速度をひと通り確認したあとは、「PCMark10」と「3DMark」のストレージベンチマークを使って、実使用シーンでのパフォーマンスをみていこう。ともにOSやアプリケーション、ゲームをインストールした状態に近づけるため、357GBほど使用した状態にして、ベンチマークを実行している。
一般的な作業の実利用シーンを再現してベンチマークを行なう「PCMark10」の「Full System Drive Benchmark」では、スコアーは「980 PRO」から約30%向上した3302ポイントを記録している。スコアーとともに、テスト中の転送速度(Bandwidth)と、平均アクセス時間(Average access time)も、「980 PRO」から向上している。
Windowsの起動から、Microsoft Office(Microsoft 365)などの起動と操作や、ファイルコピーといった実用的な利用シーンでの、パフォーマンスが向上しているのは高評価だ。
続いてゲームシーンを想定したベンチマークになる「3DMark」の「Storage Benchmark」を実行すると、「PCMark10」同様にスコアーは、2514から3070ポイントと約20%伸びている。
「PCMark10」、「3DMark」ともに劇的な向上とはならなかったが、「990 PRO」はシーケンシャル・ランダムアクセスが向上した分、「980 PRO」からしっかりとパフォーマンスアップしている。
「990 PRO」のSLCキャッシュ容量は同じ
最後に、SamsungのSLCキャッシュ機能「Intelligent TurboWrite 2.0」にも触れておこう。同機能ではSLCキャッシュに収まる範囲内で書き込める状況であれば、常にベストな速度でデータを書き込める。このキャッシュが効く容量は、1TBモデルが標準キャッシュ容量6GB、可変キャッシュ容量108GBの合計114GB、2TBモデルは「980 PRO」から4GB増えて標準が10GBとなり、可変216GBの合計226GBになっている。
実際、「990 PRO」1TBモデルに「HD Tune Pro 5.75」を使って150GBを連続書き込みすると、120GB手前で速度が落ちた。実使用シーンでSLCキャッシュが枯渇することは、あまりないので心配無用だが、数十GBの動画ファイルを移動する際は、速度低下することもあるだろう。
980 PROから順当な進化を遂げた後継機
いま買うなら「990 PRO」でキマリ
「990 PRO」は、後発だけに期待が高かったが、正直「980 PRO」の7GB/s達成時ほどの衝撃はない。とは言え、7GB/sを超えるシーケンシャルリードと、大きく引き上げられたシーケンシャルライトは十分魅力的で、実使用シーンでもしっかりとパフォーマンスアップを確認できたのは、高評価ポイントだ。
PCIe4.0 NVMe M.2 SSD最速クラスの一角なのは間違いなく、もともとこの冬に「980 PRO」を使ってPCを組もう、ストレージを増設しようと、考えていた人にとっては、若干コストアップするが「990 PRO」を選んでおくのが正解だろう。
ただ、特価が期待できる年末年始に突入するので、「980 PRO」に大幅特価が出る可能性も捨てきれない。価格次第ではコスパ抜群になるので、秋葉原の週末、年末年始特価には注目だろう。
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