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最新規格は6GHzを使い放題なんです!

「Wi-Fi 6E」正式対応 = NECプラットフォームズの「Aterm WX11000T12」が今アツい! 理由とは?

2022年12月14日 11時00分更新

文● 飯島範久 編集●ASCII.jp編集部
提供: NECプラットフォームズ

「最新ルーター」がアツい!

 今、Wi-Fi業界がざわついている。9月に総務省が電波法施行規則等の一部を改正し、6GHz帯の一部周波数帯域が開放されたからだ。

 これまでも、Wi-Fi 6E対応予定として販売されていた製品もあったが、実際には6GHz帯は使えないため宝の持ち腐れ状態だった。それが、ようやく認可がおり各社Wi-Fi 6E対応製品として投入され、ちょっとしたお祭り状態となっている。

 そこで今回は、NECプラットフォームズの2022年9月に発売されたWi-Fi 6E対応ルーター「Aterm WX11000T12」と「Aterm WX7800T8」について実際に使ってみたので紹介したい。

「Aterm WX11000T12」のパッケージデザイン。Wi-Fi 6Eの文字が大きく描かれている

 NECプラットフォームズの最新フラグシップモデルであるWi-Fi 6E対応「Aterm WX11000T12」は従来モデルから継承しているアンテナ内蔵でスッキリしたデザインを採用し、コーナーに丸みをもたせ、白のサイドパネルの装飾が施されている。ちょっと某ゲーム機を連想するような、シンプル&洗練されたデザインになっている。

 サイズは約90(W)×257(D)×237(H)mm、重量は1.4kgと従来モデルに比べて少々大きくなっているが、フラグシップモデルとしてはコンパクトに設計されている。

本体は、従来モデルより丸みがついたぶん、柔らかい印象になった。色味もサイドパネルが白色なのでリビングに置いても違和感がない

 Wi-Fiの構成は、12ストリームのトライバンド(6GHz帯/5GHz帯/2.4GHz帯)で3帯域を使用可能。規格値は、最大4804Mbps(6GHz帯)+4804Mbps(5GHz帯)+1147Mbps(2.4GHz帯)とかなり高速かつパワフル仕様だ。

 WANとLANの1ポートは10Gbpsに対応。近年、都心部中心に、10G回線を提供するサービス事業者も増えてきており、高速なネット環境を最大限に活用できるかたちだ。

 また、従来のIPv4のPPPoE接続では、回線利用者が多いと混雑して通信速度の低下を招くため、混雑を回避するIPv6方式が登場し、「Aterm WX11000T12」は、最新のサービスに対応しているので混雑の少ない高速通信が可能である。

効率よく放熱させるため、筐体の片側サイドパネルには排熱用の穴も設けられている

本体正面は、インジケータのLEDが並ぶ

本体背面には、10GbpsのWANとLANが1つずつ、1GbpsのLANが3つ備わっている

付属の取扱説明書とSSID名/パスワードが記されたシール。シールのQRコードをスマホで読み取ることで、Wi-Fi設定が行なえる

 さらに、最近のWi-Fiルータのトレンドでもあるメッシュ中継機能にも対応。より広い範囲で安定した通信を可能にしてくれる。

 そのほかにも、危険な有害ウェブサイトへのアクセスをブロックし、ネットバンキングの不正利用などを防止するトレンドマイクロ「ホームネットワークセキュリティ」に対応(最大90日間無料でその後は有料サービス)。高機能でセキュリティにも配慮したハイスペックな製品だ。

 下位モデルの「Aterm WX7800T8」は、「Aterm WX11000T12」の形状に合わせており、黒色のカラーを採用し、サイズも従来機と同等のコンパクトモデルとなっている。

「Aterm WX7800T8」は、WX11000とデザインは同じだが、サイズが2回りほど小さく、サイドカバーの色が違う

 Wi-Fiの構成は、8ストリームのトライバンド(6GHz帯/5GHz帯/2.4GHz帯)で3帯域を使用可能。規格値は、最大2402Mbps(6GHz帯)+4804Mbps(5GHz帯)+574Mbps(2.4GHz帯)。

 メッシュ中継機能やトレンドマイクロの「ホームネットワークセキュリティ」、IPv6 IPoE接続やIPv4 over IPv6接続方式対応などは「Aterm WX11000T12」と同様だ。

「Wi-Fi 6E」がアツい!

 これまで、トライバンドと謳った製品はあったが、5GHz帯を2つのアンテナにしたものだった。今回、6GHz帯が加わったことで、正真正銘なトライバンドになった。図のように3つの通信帯域を使い分けられることで、電波干渉を抑え安定した通信が可能となるメリットもある。

新たに加わった6GHz帯は、電波干渉が少なくチャンネル数も多いため、より安定した通信が期待できる。ただし屋外での使用はできない。

 各周波数帯の特徴としては、2.4GHzは波長が長いため、遠くまで電波が届き外でも使える。しかし、チャンネル数が少なく複数台で通信すると混雑し、通信速度が遅い。また、Bluetoothや電子レンジが同じ周波数帯のため、電子レンジを使うと電波が滞ることもある。

 5GHz帯はこれまでの主流となっており、チャンネル数も多く、複数台接続してもそれほど通信低下はない。最新の高速化技術により転送速度も大幅アップ。ただ、航空無線や気象レーダーでも利用されており、こうした電波を検出した場合、電波干渉を回避するためにチャンネルを変更するDFSが働き、そのたびに通信が不安定になるケースがある。

 一方、新たに追加された6GHz帯では、よりチャンネル数が増えたと同時に他の機器との電波干渉がないため、一度接続すればチャンネルを変更する必要もない。高速化技術や使用する通信帯域幅は5GHz帯と同様だが、まだ利用者が少なく、高速で安定した通信が期待できる。ただし、波長が短いため5GHz帯よりも電波は若干遠くへ届きにくい。

5GHz帯は、航空無線や気象レーダーで利用されており、そういった電波を確認すると、DFSの働きでチャンネル変更が行なわれる。そのため場合によっては通信が安定しない

 さらに、「Aterm WX11000T12」は、通信処理が高速化可能なクアッドコアCPUを採用。NECプラットフォームズ独自の「ワイドレンジアンテナPLUS」が搭載されているため、スマホを横向きや平置きなどで使っても、角度を問わずに安定した通信を実現する。

実際に自宅に設置して検証してみた

 今回は自宅に「Aterm WX11000T12」を設置し、どのくらいの速度が得られるのか検証してみた。なお自宅は一戸建て軽量鉄骨住宅で、柱だけでなく壁の中にも金属が入っているため、木造住宅よりは電波が届きにくい環境だ。また、計測にあたっては、フレッツ光ネクストの1G回線で、IPoE接続。さらに、各種設定は初期設定のままで、メッシュ中継機能のみOFFとし、チャンネルは自動、暗号化はWPA3を使用した状態で計測している。

 接続するPCは、Wi-Fi 6Eを搭載した「LAVIE N15」(N1585/EAL)で、ドライバーを更新して利用している。

2022年秋冬モデルの「LAVIE N15」(N1585/EAL)は、ドライバーのアップデートを行なうことで、6GHz帯が開放される

SSIDの末尾に6pや6sと付いているものが6GHz帯

 ルーターは2階の納戸に設置していて、1階と2階それぞれ2ヵ所ずつ計測。計測には「SpeedTest」Windows版アプリを使用し、接続先のサーバーを固定して日中に行なった。サーバーの負荷や回線の混み具合によって、より速度が出る可能性があることをご了承願いたい。

2階の間取り。計測した場所は上記の赤丸数字のところ

1階の間取り図。奥の部屋がいちばんルーターから離れており、電波が届きにくい場所だ

 設置に関しては、IPoE接続ということもあり非常に簡単で、電源を入れると自動的に接続先を認識して、Activeランプが点いたらインターネットへの接続を完了していた。

 もし、ルーターを買い替えた場合は、Wi-Fi設定引っ越し機能が搭載されており、WPSボタンを双方のルーターで押すだけで、Wi-Fiの各種設定をコピーして利用できるので、子機側のWi-Fi設定は変更不要で悩まずに移行できるはずだ。

自動判定機能により動作モードを自動で認識して設定してくれる

 SpeedTestによる計測結果は以下の通りだ。

Speedtestによる速度計測の結果(クリックで拡大)

 ご覧の通り、リビンクでは6GHzと5GHzではほぼ同等の結果が得られているが、ルーターから離れるほど、6GHz帯のほうが特に上りは落ちる傾向にある。

 これは、周波数特性だけでなく5GHz帯が独自技術の「ハイパワーシステム」により、送受信可能な範囲をより広くしていることもある。ただ、下りの数値は6GHz帯のほうが1階奥の部屋以外は上回った。1階奥の部屋では、5GHz帯でないと厳しい状況になっているため、ルーター1台で部屋中を賄いたいのであれば、近接では6GHz帯、離れた場所では5GHz帯のほうがよさそうだ。

 ちなみに有線LAN接続で計測すると、下りはWi-Fi接続とほぼ変わらず、上りが最大800Mbps程度だったので、リビングでは有線LANと遜色ないレベルでWi-Fiが利用できる。

「メッシュ中継機能」がアツい!

 実際に設置して速度計測した結果を見ての通り、1階奥の部屋でより良い通信環境にするなら、メッシュ中継機を設置して電波強度を上げるのが有効だ。「メッシュ」とは複数台の中継機を置くことで、ルーター1台で全体を賄うのではなく、親機と中継機が互いにつながりあって網目状に大きなネットワークを構築できるというもの。

 「Aterm WX11000T12」と「Aterm WX7800T8」は発売済みのWi-Fi 6E対応ルータの中で唯一、6GHz帯でのメッシュバックホールの設定ができる製品だ。6GHz帯をルーター間の通信で使うことで、5GHz帯だと混雑しているが、空いている6帯域をメッシュのバックホールとして設定できるので安定した通信で安心なのだ。

 設定は、メッシュ中継機の管理者パスワードをまず変更。その後背面スイッチをルーター(RT)からメッシュ(MA)にモードを変え、ルーターのLAN端子とメッシュ中継機のWAN端子を有線接続して起動すれば、しばらくして完了する。

 設置場所は、正面の6GHz帯LEDを目安にするといい。電波強度が「強」は緑、「中」はオレンジ、「弱」は赤となっている。

 設定で「メッシュWi-Fi」をオンにするとローミングにより、インターネットに接続中のスマホを見ながら1階から3階へ移動する際など、SSIDが親機と中継機で引継がれるので分け隔てがなく電波状況の良い方へ自動で接続され、煩わしさの少ない安定した通信が行える。

 メッシュ中継機能は、「Aterm WX11000T12」はもちろん、「Aterm WX7800T8」にも搭載されている。また、Wi-Fi 6対応のAtermでもメッシュ中継機能対応商品があるので検討してみてはいかがだろうか?

Atermシリーズのメッシュ中継機対応については、こちら
https://www.aterm.jp/product/atermstation/topics/warpstar/mesh_relay.html

 今回、1階の図の位置にメッシュ中継機として「Aterm WX11000T12」を設置。電波の弱かった1階奥の部屋で再度計測してみた。

メッシュ中継機は、ルーターの斜め下あたりに設置。もう2mほど左側へ移動すると6GHz帯のインジケータがオレンジ色になるため、この場所にしている

メッシュが無しと有りの場合の速度比較(クリックで拡大)

 結果は、6GHz帯も5GHz帯も大幅にアップ。これなら、1階、2階でどこでも遜色ない速度でネットに接続できそうだ。

 WEB設定ツール「クイック設定Web」ではネットワーク図を確認でき、接続している親機/メッシュ中継機/接続端末の確認が可能だ。さらに接続端末の周波数帯も確認できるので、端末によって周波数帯を変更するなんてことも考えられる。

どのような接続になっているのか図式化されるので、わかりやすい。この機能はメッシュWi-Fiをオンにしたときに利用できる

 もう1つ、iperf3を用いたスループットの計測も行なった。Speedtestのように回線やサーバーの負荷に左右されることなく、純粋に通信速度ができるのでルーターの実力が見えてくる。ルーター側の有線LANには2.5GbpsのLANポートで接続したPCを用意し、サーバーとして稼働。Wi-Fi接続するマシンは、前出の「LAVIE N15」を使用して計測している。メッシュありの場合も合わせて記載した。

iperf3によるスループット速度測定結果

 結果は、ルーターにいちばん近い2階リビングで6GHz帯下りが約1.3Gbpsを記録。5GHz帯でも約1.28Gbpsの速度が出た。リンク速度は2402Mbpsだが、普通に使うなら十分なスピードだ。上り・下りともルーターに近い場所では6GHz帯のほうが5GHzの速度を上回った。ルーターからいちばん遠い1階奥の部屋でも、6GHz帯の下りが5GHz帯を上回る速度を見せているのは意外だが、筆者宅ではやはりルーター1台だけでなくメッシュ中継機を使ったほうが、断然効率のいい通信になることがわかった。

「便利機能」がアツい!

 コロナ禍でテレワークによる在宅ワークの機会が増えた人も多いと思うが、Atermには、プライベート時とテレワークやオンライン授業時の通信環境を分離させる「リモートワークWi-Fi」機能がある。
 この機能は、SSIDをプライマリ(プライベート)とセカンダリ(仕事やオンライン授業など)とで分けて設定すれば、端末間の通信が分離でき、他の端末が万が一ウイルスや不正アクセスの攻撃を受けた場合でも、影響を受けずにすむ。この機能は最初からオンになっているので、特に設定する必要なく利用できるのはありがたい。

 Atermではスマホのアプリ「Aterm ホームネットワークリンク」が用意されおり、外出先からもWi-Fiの接続状況を確認でき、設定変更もできる。

 Wi-Fiに登録されていない端末からアクセスが有れば、Push通知される機能も用意されているので、不正アクセスを未然に防いだり、Wi-Fiにアクセスできないなどのトラブル時も解決に導ける。

「Aterm ホームネットワークリンク」アプリの画面。つながっている端末を確認したり、設定変更したりなどが外出先からでも行なえる

 外出先からも設定変更できたり不審な端末をブロックできたりと至れり尽くせりのAtemの機能なのだ。

「Aterm WX11000T12」がアツい!

 6GHz帯解禁ということで、ちょうどネットワーク環境を見直ししたいと考えていた人には、非常に良いルーター購入のタイミングである。これから発売になるノートPCやスマホは当然6GHz帯に対応してくることは間違いないので、早めに導入するのが吉だ。

 「Aterm WX11000T12」はフラグシップモデルなので実売価格は税込で5万5000円前後と少々お高めだが、毎年何機種もルーターを評価している者としては、性能的に余裕をもった「Aterm WX11000T12」を導入することをオススメしたい。ルーターはそう頻繁には買い替えるものではないので、末永く利用して満足のいくものを導入するのが結局お得になるからだ。リーズナブルさを重視するのであれば「Aterm WX7800T8」は実売価格2万5千円前後で買いやすいモデルとなっているので検討してみてはいかがだろうか?

 メッシュ環境にしたいのであれば、6GHz帯でバックホールを構築できる「Aterm WX11000T12」や「Aterm WX7800T8」の組み合わせがオススメだ。

 繰り返しになるが、2023年はスマホもノートPCもWi-Fi 6E搭載が常識となる。今こそ、「Aterm WX11000T12」を購入して、2023年を快適なネットワーク環境で過ごすのが吉なのだ。
 

(提供:NECプラットフォームズ)

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