週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ストリーミング時代、オーディオの縁の下の力持ち「ITF-NET AUDIO」とは?

2022年11月26日 09時00分更新

 先日パシフィコ横浜で開催された組み込みシステムの展示会である「EdgeTech+ 2022」に参加した。

 主たる目的はインターフェイスのネットワーク時代におけるソリューションのデモを見学するためだ。インターフェイス社とは一般のオーディオファンには聞きなれない名前かもしれないが、日本のオーディオ業界にとっては重要な位置付けを担う企業である。

オーディオメーカーを陰で支えるインターフェイス株式会社

 例えば、オーディオ業界においては、DSDネイティブ再生対応のオーディオ製品やハイレゾUSB再生対応のオーディオ製品が、ほぼ同じタイミングで一斉に発売となることに気がつく人もいるだろう。これは市場で人気があるから、需要が高いからといった理由のほかに、技術的な理由がある。それは、一般的なオーディオメーカーには難しいUSB転送やDSD対応の基礎的な部分を引き受け、ソリューションとしてボード基板やファームウェアを提供する、縁の下の力持ち的存在の企業がいるからだ。その一つが立川のインターフェイス株式会社だ。

 インターフェイスはPCオーディオ時代には、ハイレゾUSB再生の対応、DSDネイティブ再生の対応で国産のオーディオメーカーの大きな力となっていた。そのインターフェイスがこのストリーミング時代にどのようなソリューションを提供するのかはとても興味のある話題と言えるだろう。

 インターフェイスは最近では、組み込み用のMQAフルデコーダーを開発し、国内オーディオメーカーのソリューションを手がけていたという。そして2016年頃からネットワーク時代に向けたソリューションの開発を始めていくが、ストリーミングに関しては「Amazon Music」や「Apple Music」など海外のサービスの協力を得るのに時間がかかり、昨年頃から開発が本格化したそうだ。

ITF-NET AUDIO

 その成果がEdgeTech+ 2022でデモをしていた「ITF-NET AUDIO」である。展示されていたものはスフォルツァート製のデモボードで、機能としてはストリーミングを受けて、それをデジタルで送出するための、いわゆるネットワークブリッジ(あるいはネットワークトランスポート)に相当するものだ。

システム全景

 入力データはPCM 768kHz/DSD 24.6MHzに対応。プロトコルとしてはDLNA(UPnP)、OpenHome、Roon Ready、Direttaに対応している。また各社のハイレゾストリーミングサービスに対応している点が大きな特徴だ。

 写真のシステムはボード基板が中核で、ネットワーク端子からネットワークに接続してストリーミングのデータを受け、かつ後述のコントロールアプリとの通信も行う。そしてUSB端子は出力用で、受けたストリーミングのデータをデジタル形式で出力して後段のDACに渡す。写真のシステムではデスクトップスピーカーにUSB DACが内蔵されていてそこに接続されている。ITF-NET AUDIOのソフトウエアとしてはLinuxで組まれているという。

 そして、そのコントロールを担うのがiPadにインストールされているアプリだ。インターフェイスでは「Taktina」と呼んでいる。Taktinaアプリの第一の特徴は、Amazon MusicやTIDALなどの各種ハイレゾサービスに対応し、それを一括で管理できるということだ。つまり、Amazon MusicやTIDALの異なるサービスを横断して一括で検索が可能で、それらの楽曲を単一のプレイリストに入れることができる。このことから様々なサービスを指揮する指揮者になぞらえてTaktinaと呼んでいるそうだ。

 Taktinaアプリのもう一つの特徴は操作速度の速さだ。実際に使用してみると快適な反応速度で扱うことができた。これには様々な工夫がなされているという。TaktinaアプリはiOSアプリであるため、iPadだけではなくiPhoneでも動作する。iPhoneではスマートフォン用の専用の画面を有しているため操作性もよさそうだ。

iPhone版の画面

 ちなみに、TaktinaアプリはあくまでITF-NET AUDIOのコントローラであり、これ単体で使用することはできない。つまり実際のストリーミングデータの入力はボード上のLinuxのシステムが行い、Taktinaアプリはその指示に専念するというわけだ。

Android版も開発中

 TaktinaはAndroid版も開発中ということである。最近のオーディオ機器の中にはAndroidをそのままコントロール画面に用いているものもあり、そうした機器の中核としてこのITF-NET AUDIOとTaktinaアプリが組み込まれることもあり得ないことではないだろう。

 かつてPCオーディオ時代に国産オーディオが盛況していたように、このネットワーク時代にもこうしたソリューションがオーディオ機器の盛況を呼んでほしいと願いたい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう