クアルコムは、15日(現地時間)に米国ハワイ州で開催された「Snapdragon Summit」で、フラッグシップモデルへの採用が見込まれる「Snapdragon 8 Gen 2」を発表。17日には、同チップセットを組み込んだリファレンスモデルを使い、ベンチマークセッションを行なった。複数のベンチマークアプリで、Snapdragon 8 Gen 2の性能を体感してほしいというのが、このセッションの趣旨だ。
今回は、1世代前のチップセットにあたる「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載した「Galaxy Z Fold4」や、グーグルが自身で設計した「Tensor G2」を搭載した「Pixel 7 Pro」との比較を交えつつ、Snapdragon 8 Gen 2のベンチマークテストの結果をお届けしよう。
Geekbench 5の結果は「A16 Bionic」に匹敵
最初に比較をしたのは、主にCPUやシステム全体のパフォーマンスを測る「Geekbench 5」。シングルコアスコア、マルチコアそれぞれの値をチェックした。Snapdragon 8 Gen 2を搭載したリファレンスモデルがたたき出したスコアは、シングルコアスコアが1501、マルチコアスコアが5285。OSが異なるため、一概には比較できないが、「A16 Bionic」を搭載した「iPhone 14 Pro」に匹敵する数値だ。
比較に使用したGalaxy Z Fold4は、シングルコアスコア1248、マルチコアスコア3469。Snapdragon 8 Gen 2はCPUのクロック周波数や、パフォーマンスコアの数が増えていることもあり、Gen 1よりスコアは高く出ている。Pixel 7 Proは、シングルコアスコアが1049、マルチコアスコアが3148で、Snapdragonには及んでいない。
おなじみの「AnTuTu Benchmark」
スコアは127万でGen 1を大きく引き離す
次に利用したのが、総合スコアを測る「AnTuTu Benchmark」。こちらのスコアは、127万2684を記録。89万9108のGalaxy Z Fold4や、75万1969のPixel 7 Proに大きく差をつけた格好だ。
グラフィックを「GFXBench」で計測
前モデルの1.5倍近いスコア
GPU単体での比較も行なった。利用したのは、グラフィックスのパフォーマンスを測定する「GFXBench」だ。同ベンチマークアプリには様々なテスト項目が用意されているため、ここでは「1440p Aztec Ruins Vulkan(High Tier) Offscreen」を使用した。Snapdragon 8 Gen 2は、GPUに「Adreno 740」を採用している。これを、「Adreno 730」のSnapdragon 8 Gen 1と比較した。
結果は、次のとおり。Snapdragon 8 Gen 2のリファレンスモデルは、「4148 Frames(65fps)」を記録。これに対し、Snapdragon 8 Gen 1のGalaxy Z Fold4は、「2866 Frames(45fps)」にとどまった。Tensor G2のPixel 7 Proは、それよりもやや低い「2089 Frames(32fps)」。ここでも、Snapdragon 8 Gen 2のスコアが際立っている。リアルタイムレイトレーシングに対応するなど、GPUの強化が図られているSnapdragon 8 Gen 2の実力値は高いと言えそうだ。
刷新したAIエンジンも1.5倍に向上
AIエンジンを刷新し、DSP(Digital Signal Processor)の「Hexagon」を強化したのも、Snapdragon 8 Gen 2の特徴だ。そのため、ここではAI性能を測るためのベンチマークテストも行なった。最初に利用したのは、「AImark」。Snapdragon 8 Gen 2のリファレンスモデルは、ここでもトップスコアをつけ、15万8794を記録した。これに対し、Galaxy Z Fold4は12万21にとどまっている。
AIの処理能力を向上させたPixel 7 Proは、残念ながらアプリがTensor G2に対応していないためか、3桁のスコアしか出なかった。異常値ということで、ここでは比較から除外している。
また、「AI Benchmark」というアプリも使用した。こちらは、Snapdragon 8 Gen 2のリファレンスモデルが2046なのに対し、Galaxy Z Fold4は1315。スコア比でいうと、およそ1.5倍に向上している。同アプリはPixel 7 Proでも利用できたが、結果は624.4にとどまった。
【まとめ】この性能をどう活かすかは
メーカー各社のスマホ次第
ベンチマークアプリのスコアは、あくまでチップセットの一側面でしかなく、完成品であるスマートフォンは、より幅広い側面で評価される。同じ数値でも、一瞬だけ達成できるピークパフォーマンスなのか、継続的にパフォーマンスを出せるかでも、見方は変わってくる。さらに、カメラのように結果を数値化しづらい項目も増えている。
ベンチマークセッションを開催したクアルコム自身も、こうした点には注意が必要だと語っている。一方で、各ベンチマークアプリでSnapdragon 8 Gen 2が高い数値をたたき出したのも事実だ。この高い処理能力を使ってどのような機能を実現するかが、メーカー各社の腕の見せどころと言えるだろう。
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