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『タクティクスオウガ リボーン』の進化ポイントなどをプロデューサー加藤弘彰氏にインタビュー!

2022年11月10日 13時00分更新

文● ジサトラハッチ 編集●ASCII

 本記事は、今注目の最新ゲームの開発者やプロデューサーにメールでインタビューする連載企画。2回目となる今回は、タクティカルRPGの金字塔として知られる『タクティクスオウガ』のリメイク作品『タクティクスオウガ リボーン』をピックアップ!

『タクティクスオウガ』は、ゼテギネアと呼ばれる時代を描いた全8章からなる叙事詩のエピソード7にあたり、1995年にスーパーファミコン用ソフトとして登場。クォータービューによる高低差のあるフィールド、ユーザーの選択により分岐する重厚なストーリー、魅力的なキャラクターなどにより、多くのユーザーから高い支持を得た作品だ。

ゲームを進めると、何度か物語が分岐する重要な選択肢を選ぶシーンがある。物語の分岐により、ストーリーだけでなく仲間になるキャラクターも変わる

 その後、セガサターン、PlayStationなどに移植され、Wii・バーチャルコンソールなどにも提供された。そして、2010年11月11日にはPlayStation Portable向けのリメイク作品として『タクティクスオウガ 運命の輪』がスクウェア・エニックスから発売された。

『タクティクスオウガ 運命の輪』は、大幅なシナリオの加筆、キャラクター育成の変更、新システムや追加キャラクターなどを盛り込み、再構築された作品。11月11日(Steam版は11月12日)に、PlayStation 5/PlayStation 4/Nintendo Switchにて発売される。価格は5480円。

『タクティクスオウガ リボーン』は、そんな『タクティクスオウガ 運命の輪』をベースにグラフィックの向上、UIの見直し、カットボイスのフルボイス化、サウンド表現の向上など、あらゆる要素がパワーアップしているという。

 そんな本作について、『タクティクスオウガ リボーン』プロデューサーである加藤弘彰氏(以下、敬称略)に、いくつかの質問にご回答を頂いた。

『タクティクスオウガ リボーン』プロデューサー 加藤弘彰氏

編集部:『タクティクスオウガ リボーン』を発売することになった経緯を教えてください。

加藤:『タクティクスオウガ 運命の輪』発売時に遊んでいただいた皆様のご意見を踏まえつつ、いつかのタイミングで『タクティクスオウガ』の開発にあらためて携わりたいという強い思いがありました。

 転機となったのは、私自身が担当した『FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE』の開発になります。オリジナル版『FINAL FANTASY XII』からの映像表現力の向上、新規の音声収録を含めたサウンド表現力の向上、バトルデザインの改良、プレイアビリティの向上を経て、「今なら、このノウハウを活かすことで新たなタクティクスオウガを生み出せるのでは」という考えに至り、開発をスタートしました。

編集部:ズバリ最大のこだわりポイントは?

加藤:古き良き味わいは残しつつ、より快適に、より現代のゲームとして様々な演出強化や改良を施しています。

編集部:プレイヤーの皆様に、ここは絶対見て欲しい、といったポイントを教えてください。

加藤:大きく3点あります。

1点目は、映像表現力の向上になります。

 オリジナル版の緻密且つ独自性のあるピクセルアートを活かす形で高解像度を図り、UIについても情報把握のしやすさや操作手順の簡略化を考慮して一新を図りました。

2点目は、サウンド表現力の向上です。

 カットシーンをフルボイス対応、SEを再構築、BGMを生演奏で再レコーディングしました。

 より臨場感のある物語が展開されます。

3点目は、敵のAIやキャラクター育成システムをはじめとするバトルデザインのリメイクです。

 オリジナルの『タクティクスオウガ』と『タクティクスオウガ 運命の輪』で良かった点を採用、さらに新規要素を取り入れています。ユニットごとに、クラスによる成長の変化、武具、スキル、魔法をどのように組み合わせるか、バトルの状況に応じて動的に変化する敵ユニット(AI)にどう挑むかといった「考える楽しみ」をシンプルに体験いただけます。

編集部:開発環境にハードウェアまたはソフトウェアで取り入れたら役に立ったもの、またはお気に入りの製品などがあったら教えてください。

加藤:開発環境は十分に検討したうえで構築しているので、採用させていただいたものはすべて役に立っています。その中でも、今回の開発はコロナ禍に伴いリモートワーク主体となってので、メンバー間のコミュニケ―ションツールとしてZoomとSlackはとても役に立ちました。

編集部:今後使ってみたいゲームエンジンやオープンソースのツールなどはあったりしますか?

加藤:例えばゲームエンジンならUnityやUnreal Engineなどありますが、結局はどのようなゲームを作るかという企画次第で採用する環境は変わるので、まずは良い企画を考えないとですね(笑)

編集部:実は推奨環境で公開している以上に、CPUとGPUどのメーカー製の方が快適に遊べるとか、ヘッドセットやマウスなど、この周辺機器があるとよりゲームが楽しめる、といったワンポイントアドバイスなどが、何かありましたら教えてください。

加藤:今回はマウス操作に対応しています。キーアサイン機能などコンフィグ設定も充実していますので、プレイスタイルに合わせてカスタマイズしていただけると幸いです。

編集部:今後のアップデート予定など、お話しできる範囲で教えてください。

加藤:アップデートの予定はありませんが、PSP版『タクティクスオウガ 運命の輪』ではダウンロードコンテンツとしていたエキストラシナリオをすべて収録しています。

 また、オリジナルの『タクティクスオウガ』でお馴染みのダンジョン「死者の宮殿」をはじめとする豊富なサブ要素やエンドコンテンツをご用意していますので、終わりなき世界をお楽しみいただけます。

ワールドマップ移動時に発生していたエンカウントバトルがなくなり、特定の拠点で任意に実行できる「演習」も復活。ユニットが死亡することなくレベル上げが可能になった

編集部:最後に読者の方に伝えたいことがあればお願い致します。

加藤:かつて『タクティクスオウガ』をプレイされた方は、年齢の積み重ねと共に、カットシーンのフルボイス対応や楽曲の生演奏により臨場感がアップしたことで、新たな気付きがあるかもしれません。

 そしてより快適になったゲームデザインにより、緻密に作り上げられたヴァレリア島の世界をさらに深く楽しんでいただけると幸いです。

 初めてプレイされる方は、かつてプレイされた方がそうであったように、世界観とお話に衝撃を受けぐいぐい引き込まれながら、丁寧に練り込まれたタクティカルバトルを存分に味わっていただきたいです。

【ゲーム情報】

タイトル:Tactics Ogre: Reborn(タクティクスオウガ リボーン)
ジャンル:タクティカルRPG
販売:スクウェア・エニックス
プラットフォーム:Nintendo Switch/PlayStation 5/PlayStation 4/PC(Steam)
発売日:2022年11月11日 ※Steam版は2022年11月12日
プレイ人数:1人
価格:
 通常版(パッケージ)・スタンダードエディション(ダウンロード):5480円
 デジタルプレミアムエディション:8780円
 タクティクスオウガ リボーン コレクターズエディション:2万2000円
CERO:B(12歳以上対象)

※SQUARE ENIX およびSQUARE ENIX ロゴ、ドラゴンクエスト/DRAGON QUEST、ファイナルファンタジー/FINAL FANTASY、トゥームレイダー/TOMB RAIDER、スペースインベーダー/SPACE INVADERS、そのほかの社名、商品名は、日本およびそのほかの国におけるスクウェア・エニックス・グループの商標または登録商標です。
※そのほか、記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。

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