場所と滞在時間で友達が何をやっているのかわかる
Zenly終了? 位置情報共有アプリを若者が手放せない理由
友達の位置情報がわかる人気アプリ
「Zenly」終了が話題となっている。運営会社snapが日本向け公式アカウントで「数ヵ月後に提供を終了する」と投稿したためだ。なお、ツイートはその後削除されており、対応協議中となっているようだ。運営会社はSnapchatの母体でもある。
位置情報を共有できるアプリとして若者を中心に人気が高かったが、運営会社の経営不振でリストラ対象になったようだ。これに対して、若者を中心とした多くのユーザーから惜しむ声が上がっている。若者に位置情報共有アプリが人気な理由について解説したい。
位置情報はコミュニケーションのための情報
ニュースを受けて、「Zenly終了したら何をして生きればいいんだ」「Zenly終了しちゃうの。いつも見ていたのにさみしい」「Zenly終了で人と待ち合わせできなくなった」など、ネットでは悲しみの声であふれている。
「待ち合わせのとき、『渋谷で○時』というくらいで会えるから便利」と、アプリのユーザーである高校生は言う。移動速度や滞在時間もわかるため、「この速さだと徒歩か自転車かな」「ずっと自宅にいるから暇そう」「何人かで集まっているから、今行けば遊べそう」などの情報がわかるそうだ。
「いる場所と時間で何をやっているのかが大体わかる。『今、暇?』とLINEで聞かなくても暇そうとわかるし、無駄なやり取りが要らなくなった」
知らない人とも共有しストーカーのリスクも
位置情報に関する感覚は大人と子どもでまったく異なり、子どもたちにとっては共有もコミュニケーションのための情報の1つなのだ。
しかし、なかには知らない人とも友達としてつながり、位置情報を共有するなどの危険な使い方をする子どももいる。アプリの地図画面をキャプチャしたものをTwitterなどで公開している子どももいる状態だ。
アプリ上でつながるとお互いに正確な位置情報がわかり、利用開始から約72時間が経つと自分の行動範囲が判定され、自動的に自宅や学校、勤務先の場所もわかる仕組みとなっている。ゴースト機能の「あいまい」と「フリーズ」設定を使えば特定の相手に対してマークを非表示にできるものの、伏せなければ筒抜けとなってしまうのだ。
「待ち伏せされたことがあって、怖いと感じたことがある」と、ある女子高生は言う。「友達依頼が来たら誰でも追加していたけど、自宅も学校もバレてると思うと怖かったから、アプリを消した」
Zenlyは終了することになりそうだが、まだ利用できるので、子どもの利用状況を確認し、危険な使い方をしていないか確認すべきだろう。同じ運営会社が運営するSnapchatにも同様の位置情報共有機能があり、類似アプリもあるので、Zenlyがどうなるかに関係なく教えておいてほしい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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