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神戸市が推進する積極的なデジタル化 「こうべE-mail接種券」の事例

新型コロナワクチンの接種券発行アプリを1週間で作った神戸市のスピード感

2022年08月05日 09時00分更新

ローコード/ノーコードでアプリが作れるからわずか1週間で構築できた

 こうべE-mail接種券は、神戸市が取り組んでいるITの内製化の成果のひとつだといえる。

 神戸市は、2020年5月に、特別定額給付金の申請状況を確認できるサービスを、日本マイクロソフトのPower Platformを利用して短期間に立ち上げ、全国の自治体から大きな注目を集めた実績がある(関連記事:新型コロナ/定額給付金、神戸市はたったひとりの職員が1週間で、申請状況確認サイトを構築)。だが、それ以外にも、ローコード/ノーコード開発では、いくつもの成果があがっている。

 たとえば、神戸市健康局では、2021年春にワクチン接種会場で、予約した人が来場しないなどの理由からワクチンが余ってしまった場合に、すぐに連絡をして、接種を受けてもらえる「ワクチンボランティア」の登録を進めてきたが、この登録の仕組みにもkintoneを活用。アプリを通じて、多くの人が登録したこともあって、名簿作りなどの作業が大幅に削減できたという。

 神戸市 健康局保健所保健課 ワクチン接種対策室 担当係長の箱丸智史氏は、「ITベンダーに委託すると要件定義からはじまり、開発時間が長期化したり、開発投資が拡大したりといった課題が生まれる。だが、これまでの経験から、市民が自分事として受けとれるサービスや、心配ごとを軽減してくれるようなサービスを、職員自らが気づいて、自分たちでローコード/ノーコードツールを使って実現するという経験が蓄積されている。また、その姿勢が神戸市の職員には根づいている。利用者の視点に立った取り組みに対しては、市民からの反響が大きい。こうした経験をもとに、こうべE-mail接種券も、すぐにkintoneでアプリを開発することを検討した」と語る。

神戸市 健康局保健所保健課 ワクチン接種対策室 担当係長 箱丸智史氏

 注目しておきたいのは、このアプリを、わずか1週間で構築した点だ。

 神戸市健康局の山本氏は、「こうべE-mail接種券のアプリ開発で大変だった点は、期間が短かったこと」と笑いながら振り返る。2022年5月のゴールデンウイーク明けに開発することが決定。山本氏は、ほぼ1日でアプリの基本部分を完成させ、その後、職員などの意見を聞きながら改善を加えていったという。

「一番こだわったのは、利用者が迷うことなく操作してもらえる環境。さまざまな人の意見を聞き、操作しやすいい画面に改善をしていった。そこに約1週間をかけた」(山本氏)

 デモ環境を用意し、委託しているコールセンターのオペレータなどからも意見を収集。それにあわせて、使い勝手を改善した。基本機能の開発を進めながら、UIの改良を加えていったのも、kintoneの特徴が活かされたポイントのひとつだ。

もっともこだわったのは、利用者が迷うことなく操作してもらえる環境

 その一方で、山本氏は、「庁内に、開発をサポートしてもらえる体制があったため、安心して開発に取り組むことができた点も大きかった」と語る。

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