ファーウェイは7月27日に同社のスマートデバイス向けOSの最新バージョンとなる「HarmonyOS 3」を発表した。
発表会ではファーウェイのリチャード・ユーCEOが登壇し、2021年6月に発表したHarmonyOS 2は100日間で1億台のアップデートが行なわれ、アップグレード率は77%、現時点でのユーザー数は3億を超えるなど歴史上最も急成長しているOSであると説明した。また、HarmonyOS機器と接続可能なIoT機器向けの「HarmonyOS Connect」も対応デバイスが1億7000万台を超えているという。
HarmonyOS 3は約1年ぶりのアップデートとなり、最新OS搭載モデルは9月から提供を開始する予定だ。なお既存モデルのアップグレード時期は追ってアナウンスされるとのこと。
HarmonyOS 3では6つの機能「スーパーターミナル」「スマートコネクション」「ユニバーサルカード」「パフォーマンス向上」「プライバシー強化」「情報アクセス性」が強化される。
HarmonyOS 3の最も大きな進化はスーパーターミナル機能だ。12のカテゴリーの製品、すなわちスマートフォン、タブレット、PC、スマートスクリーン、スピーカー、ヘッドフォン、スマートウォッチ、電子ペーパータブレット、モニター、プリンター、スマートグラス、カーシステムの相互接続を簡単にできる。
たとえばほかの機器と接続したいときはスーパーターミナルを呼び出すと、自分のデバイスを中心に同じネットワークや付近にあるデバイス名が丸いアイコンで表示される。そして接続したいデバイスのアイコンを自分のデバイスにドラッグして接触させれば接続は完了する。
スマートフォンからスピーカーをつなぐ、ノートPCから外部モニターに画面を共有する、あるいはPCからプリンターへドキュメントを印刷する、といった操作がすべてビジュアル的にドラッグ&ドロップで可能になるのだ。機器間の接続を容易にする方法としてNFCで他のデバイスをタッチするという方法もあるが、スーパーターミナルであれば寝室にいながらスマートフォンにリビングルームのTVを接続して画面共有する、といった離れた場所からの接続も簡単になる。
スーパーターミナルでは機器間の連携もインテリジェンスに行なわれる。たとえばTVで映画を見ながら音声を再生中に他のスピーカーを接続すると、サブウーハーの様に追加のスピーカーとして接続させることも可能だ。また、HarmonyOS 3は支払い機能にも対応。スマートTVで有料番組のプレビューを視聴中に、スーパーターミナルで接続したスマートフォンをから番組の購入を指紋認証で行なうことでシームレスな操作ができる。また、これらの操作にはファーウェイの音声AIシステム「Xiaoyi」の利用もできる。
タブレットユーザーに有用な機能も追加された。スマートフォンの通信機能、SIMカードをタブレットで共有できるのである。一般的にはスマートフォンのテザリング機能をONにしてWi-Fiタブレットを接続するが、これは通信回線のみの共有だ。HarmonyOS 3ではスマートフォンとスーパーターミナルで接続で接続したタブレットのステータスバーには4Gや5Gの接続やアンテナ感度が表示され、またSMSの利用も可能になる。スマートフォンのSIMカードがあたかもタブレットに内蔵されているかのように利用できるのだ。
さてファーウェイは自動車メーカー小康工業傘下のSeresと協業して電気自動車「AITO」シリーズを販売している。AITOにはインテリジェントディスプレーが搭載されているが、スーパーターミナルによりスマートフォンと接続すると、自動車側のディスプレーは専用のデスクトップ画面となる。そして、このディスプレーを通してスマートフォン内部のアプリをそのまま操作できるのだ。ビデオ通話ではAITO内蔵の車載カメラからの映像の送信も可能。また、AITOのドアロック解除やバッテリー残量などはスマートウォッチで操作・確認もできる。
スマートコネクションの機能アップでは、IoT機器、特に家電との連携が強化され、スマートホーム体験もより快適になる。HarmonyOS Connectに対応した機器とスマートフォンをワンタッチで接続可能で、複数のタスクを一括コントロールもできる。スマートスピーカーに「家の掃除を開始」と伝えれば、自走式掃除機が動き出すとともに洗濯機や食器洗浄機も動作を開始する、といった操作が一言で済むのである。HarmonyOS Connect対応製品は2000以上のパートナーから様々な製品が発売されている。
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