昔、この連載で不定期に「猫宅訪問」企画をやってたのを覚えている人がいるのかいないのかわからないけど、ときどき猫を飼ってるお宅におじゃましては撮らせてもらってたのである。それを数年ぶりに復活させてみたのだ。
今回おじゃましたのは、下町にお住まいのN夫妻宅。仲のいい1歳くらいのかわいい猫を飼ってると聞いてお願いしたのである。
出迎えてくれたのは「さねあつ」と「ねね」の2匹。いや正確にいうと、出迎えてくれたのは、さねあつ。突然の来客に驚きながらも、好奇心には勝てず、指を出したらこわごわ近づいて、くんくんしてくれた。ありがとう、さねあつ。
ねねはというと、突然の来客にびっくりしてソファーの下に隠れちゃったのだ。なので、初訪問のおうちでいきなりテーブルの下に這いつくばるという……ちょっとアレなアレですが、ご容赦を。
で、気になるのが「さねあつ」と「ねね」というネーミング。関係あるようなないような。そこで経緯を聞いてみた。
この2匹がN家へやってきたのは、2022年2月のこと。保護猫を迎えたいと考えていた二人が、保護猫シェルターで出会ったのがこの2匹。ケージの中で身を寄せ合ってる姿を見て、「ピピッ」ときたそうである。ピピッと来ちゃったらしょうがない。かくして、1匹だけの予定が2匹になってしまったのだ。
そのとき、片方がもう片方を守っているような寄り添い方で、守られているほうが姫っぽかったので「ねね」。豊臣秀吉の正室だった「ねね」だ。歴史にはいろんな姫が出てくるけど、「ねね」はかなり上位ランクだ(個人の感想です)。
ということは、ねねを守っているほうは武士っぽい名前にしたいよね、でも、秀吉とか藤吉郎じゃあベタすぎるよね。うん、そこまではわかる。流れ的には、戦国時代を中心とした武将の名前になりそうだよね。でも、なぜ「さねあつ」?
「ねねを守る侍のような感じだったから、渋い名前にしたく武者小路実篤から取りました(笑)」
確かに渋い名前で「ねね」との相性もいいけど、武士でも戦国時代でもなく近代の文学者とはおもしろすぎます。
この2匹、性格が全然違うので、一度聞くと「こっちはさねあつ」「こっちがねね」ってのがわかるのがいい。そんな性格が出てる写真を選んでみた。見慣れない人がいて緊張してるけど、呼ばれるとついつい来ちゃうアクティブなさねあつ。こういうすき間から急に現れる瞬間に対応するには、猫瞳AFが欠かせない。
当然、おもちゃにはあらがえないのだった。
逆に、控えめでこわがりなねね。「そういえば、ねねはどちらに?」と尋ねたら、カーテン裏に隠れてそっと顔を出したのである。
顔立ちがちょっと気弱そうなのもまた魅力的なところで、カーテン裏に隠れてたねねを、さねあつが迎えに行ったりする姿なんかたまらない。
たいていの家がそうであるように、ここでも猫がいちばんエライので、大きなケージまで用意されている。何かあったときにそこに保護できるようにということらしいが、ふだんは猫たちの遊び場だ。冒頭写真はそのケージ。2匹同時に写ってる写真が欲しいと思ってたら、いい感じに2匹で入ってくれたのだ。
でもまあ、これだけ性格が違う2匹で、いきなり見知らぬ人間が現れてカメラ構えてたりするものだから、なかなか落ち着いてくれない。そしたら「ちゅーる」で釣りましょうか、ってことで指先にちょっとつけたら、ととととっとやってきて、これである。一見、2匹がチュッとしてるように見えるけど、実は指先のちゅーるのにおいに釣られてきたのだ。
最後に家族4人(正確にいえば2人と2匹なんだけど、細かいことはいうまい)で記念写真を撮ってほしいとリクエストされたので、さねあつとねねを抱っこしてもらうことに……したのはいいんだけど、ねねはフリーズしておとなしくしてる(踊ってるような格好なのは偶然です)し、やんちゃなさねあつはじっとしてられず腕から逃れようと暴れてるしで、あまりにおのおのの性格が出たおもしろい写真になったので、許可をもらって掲載してしまいました。
というわけで、1歳くらいの猫ってまだまだ遊び盛りで、じっとしてないうえに動きも予測しづらくて撮るのも大変だけど、かわいくておもしろいわ。特に、一緒にいながらこれだけ性格が違うとどっちもかわいい。
こんな感じで猫宅訪問させていただけるおうちを随時募集しております。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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