イベントではfinal広報の森圭太郎氏が登壇し、finalが40名超の社員のうち半数が研究者という技術色が強い会社であること、九州大学と共同で研究を進めていること、“音と空間の境目を外す”をコンセプトに実世界の音とイヤホン・ヘッドホンを通じて聞く音の差をなくすために努力していることなどに触れ、ブランドを紹介した。こうしたfinalの製品開発力やこだわりを円谷プロダクションの藤田活シニアプロジェクトマネージャーが知り、「ウルトラマンシリーズできちんとした音響製品を出せないか」という思いで円谷プロからプロジェクトの開始を持ち掛けたのだという。
プロジェクトは最初に新型コロナの緊急事態宣言が出た2020年の5月ごろには開始していたとのこと。初代ウルトラマンやシン・ウルトラマンとコラボしてはどうかという議論もあったが、発売時期の2022年がウルトラセブンの55周年に当たることから、第1弾としてウルトラセブンにフォーカスを当てることにしたという。面白いのは第1弾としている点だ。つまり、円谷プロとfinalのコラボ展開はまだ続くかもしれない。今後の展開も期待したいところだ。
「驚いたのは音だけではなく、デザイン力の高さ」と藤田氏は話すが、ウルトラ警備隊を前面に落ちだした製品のパッケージングには自信があるようだ。円谷プロでは、コラボ製品を作る際、型や色など最低限の指定はするものの基本的には柔軟にメーカーのデザインを監修していくスタイルを取っている。「それを我々もお客さんも楽しむ」(藤田氏)のだという。ZE3000「ウルトラ警備隊モデル」の開発にあたってはfinalから、ウルトラセブンの赤を基調としたもの、ポインターやウルトラホークをモチーフにしたものなど複数のアイデアが出てどれも魅力的だったという。finalのデザイナーが手掛けた労作であり、ディスカッションを続けたからできた非常に手の込んだ商品であるとした。
会場にウルトラセブンとともに駆け付けたのがハヤカワ・サトミ隊員を演じた鵜川薫さん。自身もfinalユーザー。手持ちのイヤホンでピアノ演奏を聴いた際、ほかの製品では聞えない演奏者の息遣いが感じられたことに感銘を受けたという。この経験をもとに、コラボの話が来た際は「とても嬉しくてこちらからお願いしますと言ったほど。気持ちよく心からお勧めできます」とコメントした。
このイヤホンで自身のボイスがどう聞こえるかはこれからチェックするそうだが、収録に際しては、隊長に命令された気持ちを思い出したり、一人で入っているブースの中で敬礼して気持ちを盛り上げたりしていたとテンション高く様子を振り返っていた。ZE3000「ウルトラ警備隊モデル」デザインについても、(いま自分が着ている衣装は)「イベント用に新調したものではなく、撮影のときから変わらず20年以上使ってきているもの」とし、「次の20年も愛着を持って使える価値あるデザインの製品ができたのではないか」といった趣旨のコメントでトークを締めた。
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