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次世代ウェルネスソリューション構築支援事業についてご紹介します

2022年07月06日 10時00分更新

※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

 新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

■前回の紹介記事はこちら

都のデジタル化の現在地点を探る、インターネット通信環境及び利用状況調査についてご紹介します!

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 みなさん、こんにちは! スマートシティ推進担当です。今回は、次世代ウェルネスソリューション構築支援事業について紹介させていただきます。

 本件は、令和2年度に開始した事業で、企業・大学・自治体等と連携して、次世代ウェルネスソリューションの社会実装の実現に向けて、都民の健康増進に資する新たなサービスの開発を通じた課題解決、その社会実装に向けた方策の導出を支援する「連携プロジェクト」と、様々なデータを活用した新たなウェルネスソリューションの事業化に向けた「事業化促進プロジェクト」の2つのプロジェクトで構成しています。

データを活用した「次世代ウェルネスソリューション」構築に向けた「連携プロジェクト」の公募を開始しました!

 令和4年度も、昨年度に実施した同事業の実施結果を踏まえ、東京都が委託した事業プロモーター(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)が、データを活用した次世代のウェルネスソリューションの開発・創出を目指すチャレンジングな「連携プロジェクト」の公募を開始しました!

 https://wellness-sol-pj.metro.tokyo.lg.jp

 今回の記事では、令和3年度に行なった連携プロジェクトについて紹介していきます。昨年度は、データの利活用モデルを構築するため、2つの連携プロジェクトの推進に取り組みました。

KDDI株式会社と自治体(豊島区・板橋区・江戸川区)が連携した事業

 この事業は、令和2年度に引き続き採択された事業です。令和3年度は、連携自治体とサービス内容を拡げ、その効果と住民および自治体におけるサービスの受容性を検証しました。また、次世代医療基盤法の認定事業者を体制に加え、自治体が保有するウェルネスデータの将来的な活用に向けた検討を実施しました。

【事業の全体概要図】

〇ポケットヘルスケアを通じたサービスの提供

 この取組では、高齢者から若年世代までの幅広な区民を対象とするため、スマホ用の健康管理アプリ「ポケットヘルスケア」をご利用いただきました。ポケットヘルスケアでは、大きく「健康(予防)」「未病(相談)」「医療(診療・服薬指導)」に分けて、各サービス分野に該当するサービスを提供しました。

【アプリ「ポケットヘルスケア」表示画面】

 この事業では、およそ5700名が参加しました。

 実施期間内でアプリを利用したユーザーはおよそ75%でした。その中で1ヵ月平均5000歩以上を記録したユーザーはおよそ63%と過半数を上回りました。また、実施期間内に体重を測ったユーザーは全体のおよそ35%でした。

 日々のウォーキングや体重測定は、生活習慣病や肥満への予防効果や健康寿命の延伸が期待できます。アプリを利用したユーザーの多くが健康意識が改善した、健康活動が増加したと感じており、このような健康管理アプリは、健康維持に寄与することがわかりました。

〇自治体保有のウェルネスデータの分析および利活用に向けた検討

 自治体が保有する健診データをはじめとするウェルネスデータの分析および事業との連携・活用に向けた検討を行ないました。検討においては、次世代医療基盤の認定事業者であるICI/JMIMOと2021年度の連携3区との検討を実施しました。各区との個別協議、また3区との合同協議も実施し、推進上の課題とその解決の方針をまとめました。

 比較的新たな試みである次世代医療基盤法を用いた自治体とのデータ連携・活用においては、課題の確認と整理、関係者間での丁寧な議論が求められます。議論を始める際には、関係者間で次世代医療基盤法に対する十分な理解と、その活用における官民双方におけるメリットの事前検討が必要です。

 先行事例を見てもウェルネスデータの活用の実現に向けては長い期間が必要となることでしょう。先行事例を参照しながら事業主体・自治体・次世代医療基盤法認定事業者などの主要な関係者を交えて具体的な検討を行ないながら、まずは次世代医療基盤法の活用方法の議論や検討を進めることが重要であることがわかりました。

【ウェルネスデータ活用における連携図】

日本電気株式会社を中心とした大田区との連携事業

 この事業も、令和2年度に引き続き採択された事業です。データプラットフォームの全体構想の検証を行なうために、プラットフォーム上でのデータのインプット・アウトプットの検証を行ない、サービスへの活用可能性を検証しました。

【事業全体の概要図】

〇ケアマネジャー向け介護支援サービス

 このサービスは、要支援・要介護者宅において、電力データや人感・温湿度センサーデータから生活リズムを可視化し、家族への異常通知や、ケアマネジャーと介護事業所へのモニタリングレポートの提供をします。

 このサービスでは、要支援・要介護者を対象に28名のモニターが参加しました。

 モニターのQOLの向上に関するアンケートは以下のとおりでした。

 本人のQOL向上の実感度が低かったことや、介護事業者の業務効率化の実感度も同じく低かったことから、サービスを利用することによるメリットの周知や、介護事業者に提供するデータの品質や機能の向上が必要だと思います。

 少子高齢化社会において要支援・要介護者、そしてその家族のQOLの向上はとても重要なことです。デジタルの力を通じて、QOLの向上が実現出来たら大きな一歩になると思います。

〇NEC×FiNC 行動変容サービス

 このサービスでは、モニター個人から提供されるデータと、本事業における他の事項(「【プロジェクト3】サービス事業者を支援する付加価値事業検証」「【プロジェクト1】エリア分析と予防プログラム開発に関する研究」)とを連動させて、健康リスクを抱えるモニターへメッセージを配信します。それにより、行動変容を促すことで生活改善効果を検証しました。

 モニターから得られたデータ、プロジェクト1および3と連動して、モニターに対して以下の内容をメール配信することで行動変容を促進しました。

・健診結果シミュレーション結果
・医療費シミュレーション結果
・生活改善アドバイス

 このサービスは、健康リスクを抱える34名のモニターが参加しました。サービスによって生活習慣の介入を受けたモニターの体重変化・日常における歩数の変化に大きな効果は見られませんでした。一方で、サービスに参加した約半数のモニターが、生活習慣における行動変容に繋がる健康意識の改善が見られました。モニターのサービス継続利用の意思表明割合は、全体のおよそ59%に上りました。

 健康に対して関心を持つことは、健康維持や未病につながります。このような身近なものからのアプローチは健康意識の改善に役立つことでしょう。

最後に

 この記事では、昨年度の次世代ウェルネスソリューション構築支援事業についてご紹介してきました。今年度も次世代ウェルネスソリューションの社会実装の実現に向けて、都民の健康増進に資する新たなサービスの開発を通じた課題解決、その社会実装に向けた方策の導出を支援していきます!

 デジタルサービス局では、これからも、デジタルの力で社会を変える取組を支援していきたいと思います。

◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo

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