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医者がアプリを"解剖” アプリ作りのイメージは“バームクーヘン”

一度は挫折したkintone導入 2年後に再挑戦して理想郷を目指す

2022年07月01日 09時00分更新

「kintone hive nagoya 2022」の2人目の登壇は、医療法人社団「たいようのき」理事長、オリーブ在宅クリニック医師の木村卓二氏が、「kintoneで目指す理想郷~旅の途中報告~」と題して講演した。プロが作ったアプリをいったん分解し、再度自分で組み立てるという医者ならではのkintoneの理解方法が新鮮だ。

医療法人社団「たいようのき」理事長、オリーブ在宅クリニック医師 木村卓二氏

kintoneで天竺=ビジョンを目指す

 木村氏は最初に、来場者に向かって「ここに集まった皆さんは、なぜkintoneを使っているのか?」と問いかけた。そして、「それは天竺(ビジョン)を目指すために決まっていますね!」と続けた。オリーブ在宅クリニックのビジョンは「病や障害に関係なく、当たり前の暮らしができる社会の実現」であり、その社会を在宅医療の提供を通じて目指している。

 同法人のような在宅医療クリニックでは、医者が患者宅を訪問する。そのため一般のクリニックとは業務形態が大きく異なっており、クリニックには通常の場合、医者が1人もいない。当然木村氏も、日々患者宅を駆け回っている。「クリニックの事務所にはスタッフしかいない。そのため、スタッフだけで自走できる組織にならなければいけないと思った」(木村氏)

 バックオフィスのスタッフだけで自走できる組織になるため、何から手を付けるか。国が進める電子カルテへの取り組みも必要で、医者が外にいるためクラウド化も必須だ。そのとき木村氏は、開業時に1回検討していたkintoneのことを思い出して、改めて導入しようと考えた。

「そういえば」とkintoneを思い出し、再度挑戦することに

 今でこそ、これらのアプリを活用して業務が順調に回り始めた同法人だが、実は、そこには2年間のブランクが存在した。前述の通り、木村氏が最初にシステムを導入しようとしたときにはうまくいかず、計画は頓挫していたのだ。

2年後の再挑戦はなぜ成功したのか?

 当時木村氏がkintone導入を検討したときにメリットとして感じていたのは、カスタマイズ性が高いこと、サイボウズ製品であることの信頼性だった。またアプリパックが存在すること、ネットにさまざまな情報があり、導入の助けになりそうだった。低コストで使えることも魅力だった。こうした数々の特徴を知り、「これしかない」と思ってkintoneを始めた木村氏だったが、失敗に終わった。

 では、なぜ2年後に再挑戦してうまくいったのか。その理由に着いて木村氏は、理由の1つとして、その間にスタッフが増加し、必要に迫られたことを挙げる。

「スタッフが増えたことで、人の数だけ居場所があり、仕事の種類も増えた。その環境に合わせるには、まず仕事のフォーマットの統一、次にアナログデータのデジタル化、クラウド化だった。結果的に、人が増えてややこしくなっては意味がないので、使いやすさを実感して欲しいと思ってシステム化に臨んだ」

 もう1つの成功要因が、外部のパートナーとして参加したウィルビジョンの存在だ。「朝から相談に乗ってくれる『モーニングプラス』というサービスがあると聞いて、最初は軽い気持ちで門を叩いてみた。すると担当してくれたエンジニアのかたが介護業界の人で、我々の事情を非常によく理解してくれた。そこで、頼むならここしかないと判断し、開発を依頼した」

スタッフが増えたために複雑になり、課題も増えた

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