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「Ryzen 7 6800H」対「Core i7-12700H」を同スペックのノートでガチ対決したら意外なベンチ結果が出現!?

2022年06月21日 11時00分更新

Fire StrikeではわずかにRyzen 6000 シリーズの方がスコアーが高い

 ここまでクリエイティブ系アプリを中心に検証してきたが、FA507RMもFX507ZMも本来はゲーマー向けのノートPC。ゲーミングでのパフォーマンス検証は避けて通れない。実ゲームにおける検証の前に定番「3DMark」を利用してグラフィックスのパフォーマンスを検証しておきたい。

 搭載液晶がフルHDであるためテストは“Fire Strike”“Time Spy”“Port Royal”の3本に絞ったが、ここではRTX 3060のパフォーマンスの他に各CPUに内蔵されているiGPUでのスコアーもチェックすることにする。RDNA 2世代のRadeon 680MとIntel Ark世代のIntel Xe Graphicsのパワーの差も見てみよう。

「3DMark」のスコアー

 まずRTX 3060を使った際のスコアー(グラフ中でdGPUとある項目)では、Time SpyやPort Royalはスコアーに差があると言えないが、Fire Strikeは辛うじてFA507RMの方が高い。どちらもモバイル向けRTX 3060の性能を上手く出していると言ってよいだろう。

 また内蔵GPU(iGPU)を使った時のスコアーはFA507RMの方がTime Spyにおいて10%以上上回っている。FX507ZMでPort Royalのスコアーが存在しないのは、テストが動作しない(DXR非対応)ためだ。

 わざわざRTX 3060を搭載しているのにパフォーマンスの劣る内蔵GPUでゲームをするシチュエーションは考えにくいが、描画の軽いゲームを内蔵GPUだけで遊ぶというシチュエーションを想定して簡単な比較をやってみた。

 テストは「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークで行う。解像度は搭載液晶のスペックに合わせフルHDのみ(以下同様)とし、画質は“標準品質(ノートPC用)”とした。スコアーの他にレポートから取得できるフレームレートも比較する。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」ベンチマーク、1920×1080ドット時のスコアー

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」ベンチマーク、1920×1080ドット時のフレームレート

 3DMarkではFA507RM(Radeon 680M)がFX507ZM(Xe Graphics)を優越している傾向があったが、このベンチはXe Graphicsが有利なようだ。

FPS系ゲームではRyzen 6000 シリーズが安定して強い

 ここからは実ゲームにおけるフレームレートでFA507RMとFX507ZMを比較する。最初に試すのは負荷が非常に軽い「Rainbow Six Siege」だ。APIはVulkanとし、画質は“最高”にレンダースケール100%とReflex(オン+ブースト)を追加した。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測する。

「Rainbow Six Siege」Vulkan API、1920×1080ドット時のフレームレート

 Rainbow Six Siegeと第12世代CoreはWindows 10環境では性能が出ないことが筆者の経験から分かっているが、今回の検証機はともにWindows 11。よってFA507RMがFX507ZMのフレームレートを10%近く上回っているのはCPUの違いに起因している。とはいえFA507RM/FX507ZMに搭載されている液晶のスペック(リフレッシュレート144Hz)からすると表示性能を超えているので、実質的に違いはないという考え方もできるだろう。

 ちなみに、今回の検証環境ではFX507ZMのみ、ゲーム内で画面のリフレッシュレートを144Hzに設定してしまうとフレームレートが60fpsで頭打ちになる(60Hzなら普通にグラフの通りに出る)という妙な現象に遭遇している。

 続いては「Apex Legends」で試す。画質は最高設定とし、フレームレート144fps制限は起動オプションで解除(+fps_max unlimited)している。射撃訓練場における一定の行動をとった時のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Apex Legends」1920×1080ドット時のフレームレート

 RTX 3060を搭載していると言っても電力や発熱に強い制限を課しているノートPC向けのGPUであるため、全体にフレームレートは低め。とはいえ144Hz液晶ならどちらの製品でも快適にプレイできるだろう。だがより高いフレームレートを期待するのであれば、Core i7-12700Hを搭載したFX507ZMよりもRyzen 7 6800Hを搭載したFA507RMの方がより良い選択であることをこのグラフは示している。

 Apex Legendsよりさらに重いFPS系として「Tiny Tina's Wonderlands」でためしてみたい。APIはDirectX 12、画質は“バッドアス”とした。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測するが、最低フレームレート(の1パーセンタイル点)は出力されたログから算出している。

「Tiny Tina's Wonderlands」DirectX 12、1920×1080ドット時のフレームレート

 クリエイティブ系アプリの場合アプリによって勝ったり負けたりが激しいが、ゲームにおいてはどうやら安定してFA507RMが強いように思える。

 3本だけで結論を出すのは不安なので、さらにゲームの検証を続けていきたい。次は「Halo Infinite」を利用する。画質は“ウルトラ”をベースに非同期コンピューティングも有効化した。マップ“Fragmentation”における一定のコースを移動した時のフレームレートを「CapFrameX」で計測する。

「Halo Infinite」1920×1080ドット時のフレームレート

 ここまで描画重めになるとフルHDでも60fpsキープは難しいようだ。だがFZ507XMは平均60fpsの達成も難しいのに対し、FA507RMは平均フレームレートなら60fps以上は達成しており、最低フレームレートもFX507ZMより格段に高い。手動計測ゆえの誤差は排除しきれないものの、全体的にRyzen 7 6800Hを搭載したFA507RMが有利であるという説がまた1つ補強された形になる。

アクション&レーシングでは優位性はほぼなかった

 FPS系が続いたので別ジャンルのゲームもためしてみよう。今月拡張パックが出るという「MONSTER HUNTER RISE」でも試してみたい。画質は“高”とし、大社跡マップを一回りした際のフレームレートを「CapFrameX」で計測する。

「MONSTER HUNTER RISE」1920×1080ドット時のフレームレート

 MONSTER HUNTER RISEではFA507RMとFX507ZMの差は非常に小さい。平均フレームレートでは辛うじてFA507RMが有利な一方で、最低フレームレートはFX507ZMが有利。ただ手動計測であるため計測誤差も含まれている。今回の観測結果だけで優劣を付けるのは難しい。

 次に試すのは「Forza Horizon 5」だ。画質は“エクストリーム”とし、ゲーム内ベンチマーク機能を再生中のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

「Forza Horizon 5」1920×1080ドット時のフレームレート

 このゲームでもMONSTER HUNTER RISEと似た傾向が出ている。平均フレームレートではわずかにFA507RMが有利なようだが、最低フレームレートではFX507ZMが勝っている。ただ差が非常に小さいため、Rainbow Six SiegeやApex Legends等のような優位性は得られない。

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