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同じプラットフォームのアウディ「e-tron GT」とポルシェ「タイカン」はどう違う?

2022年06月11日 15時00分更新

バーチャルコックピットも進化

 ではここで、ASCII.jpらしくインフォテインメント系について詳しくご紹介しましょう。アウディは2015年に登場した3代目アウディ TTから、メーターパネル内にナビを含めた様々な情報を表示する「バーチャルコクピット」を採用しています。今ではVWグループの中には似た画面のシステムを搭載しているモデルもありますし、他社も似たような表示をするものが存在しますから、別に目新しさはないかもしれません。ですが見やすさと使いやすさの面で、7年が経過した今でもアウディを超える使い勝手のシステムはないと断言できます。おそらくパテントで守られているゆえなのでしょうけれど、このバーチャルコクピットのためだけにアウディを選択するのはアリな話です。

 続いてセンターディスプレイのナビ画面表示。タッチパネルディスプレイでタップすると軽く指に振動が伝わります。このナビ画面が実に見やすいうえに、コンビニのほか、充電スポットも表示。しかも時間のかかるACと急速のDCの表示のほか、24時間対応まで掲出。これが他社BEVのナビによっては、すべて同じ充電マークだったり、そもそも充電スポットを表示しなかったり……。

 その充電スポットをタップすると、充電スポット名のほか給電出力も表示する新設設計。これもまた他社BEVのナビでは表示しないものがあるのです。BEVに急速充電する際、この出力がとても重要なのです。というのも特殊なものを除き、利用料金は充電量ではなく充電時間で課金されるから。つまり初期型の20kWでも、現代の主流である50kWでも料金は一緒なのです。となると、ちょっと遠くても50kWで入れたいのが人情というものです。

 ナビを使って「これはイイ」と思ったのが、案内終了のアイコンが常に表示されているところ。場所が近くなったり、途中で行先を変更したいときに利用しますが、多くのナビはメニュー画面を開いて……という作業になりがち。ですが、それは停止中に操作しなければならず、クルマによってはサイドブレーキを引かないとナビ操作ができない車種だと相当煩雑。意外と高い頻度で利用するので、常に表示し信号待ちの間にポチっと押せるのは大変便利だと感じました。

 走行モードの設定はEfficiency、Comfort、Dynamic、Individualの4種類。ユーザー設定可能なIndividualが用意されているのが欧州車らしいところです。Individualを見ると、スロットルコントロール、サスペンション、サウンドプロファイルという3項目が個別設定できます。面白いのがサウンドプロファイルで、アクセルの踏み加減によってスピーカーから出す疑似的なモーター音を変更するというもの。これはタイカンにもe-SPORT SOUNDというモードで用意されていた機能なのですが、タイカンは映画のタイムワープシーンのようなド派手な音であったのに対し、アウディはダイナミックを選んでも、ちょっと音が大きくなったな、という程度。ここら辺にもメーカーの違い、車種グレードの違いを感じさせました。不肖は静かなクルマなら静かなまま楽しみたいので、Quietを主に利用していました。

 静粛性の話が出たので、e-tron GTのガラスについて説明を。このクルマでは二重ガラスが採用されています。モータードライブと二重ガラスの効果によって、走行中の車内は実に静寂。音の大きなクルマはちょっと走るときは楽しいのですが、長距離ドライブすると疲れてくる傾向があるような。長距離ドライブを快適に走ることを目的とするGTカーにはうれしい装備です。

 今や1人1台は持っているといっても過言ではないスマートフォン。クルマに乗ったら、まず充電が当たり前となりました。ですがe-tronGTは一見、車内にスマホを置くスペースがないばかりか、USB端子が見当たりません。実はUSB Type-Cコネクターとともに差し込み式のQi充電ホルダーがあるのですが、7インチ近い画面サイズを有するモデル、具体的にはiPhoneのPro Max系端末をQi充電ホルダーに差し込むとアームレストが閉まりません。Qi充電を諦めてケーブルを指して斜めに入れれば、やや無理やりな感じで閉まります。センターコンソールに置く場所はないかと探したのですが、ドリンクホルダーに横置きするしかない模様。そうなると、今度は飲み物を置く場所がドアポケット側になって、ちょっと面倒。ちなみに後席にもUSB端子の姿を見かけることはなく……。このモデルに乗るなら、とりあえず大型スマホではなく、コンパクトスマホに機種変することをオススメします。

 そんなe-tronGTですが、お値段は1399万円。試乗車はこれにオプションとして158万円が加わります。アウディA7の価格は855万円から1179万円ですので、ちょっと割高に見えてしまうのは仕方のないところ。ちなみに、タイカンは最も廉価なグレードで1203万円から始まるのですが、4輪駆動のモデルは1448万1000円。実は似たようなプライスだったりします。そのことも頭に入れて、期待が高まる試乗を開始しました。

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