アップル「watchOS 9」は間違いなく神アプデ、気になるのはフォームの指標
日本時間6月7日に開幕したアップルの年次開発者会議「WWDC22」で色々発表されましたが、僕が注目したのはwatchOS 9です。ワークアウト関連機能の進化が気になりました。心拍数ゾーンを確認できるワークアウト測定中の新デザインは見やすそうですし、指定のペースや心拍数を超えた場合のアラート設定などはレベルを問わずに便利でしょう。トライアスロン中の種目切り替え操作も不要になるようです。ランナーをはじめ、エンデュランススポーツに取り組む人にとって、watchOS 9が神アプデであることは、間違いないでしょう。
特に、(1)上下動、(2)歩幅の長さ、(3)設地時間という3つのランニングフォームに関する指標を測定できるのは、興味深いところです。
他メーカーのウェアラブル製品の中にも、既にこうしたランニングフォームを測定し、データとして取得できるものはいくつかあります。ただし、そもそもデバイスを靴や導体部に装着する手間があったり、たとえウォッチ単体で測定できても取得したデータの意味を解読するのが難しかったりするのが課題になりやすいポイントでした。たとえば、「設地時間が長い」というデータが取れたとして、趣味で市民マラソンに挑戦しようと思っているようなユーザーには、解読が難しいわけです。
言い換えると、「スマートウォッチで取得できるデータは、なんだか良くわからない」ということは起こりがちな課題。そこに対する解決のアプローチは大きく分けて2通りあって、ひとつはデータの意味について懇切丁寧に説明する画面を用意すること。もうひとつは数値やグラフ、アドバイスなどを使って、データを読み解く知識がなくても感覚的に理解できるようにすることです。
たとえば、睡眠の測定ならば「レム睡眠が3時間」という“データだけ”があってもユーザーにとってはちんぷんかんぷんです。しかし、どんな「睡眠が良い睡眠なのか」が説明されたうえで、「スコア80点以上なら良い睡眠」という目標値を掲げる。そして、スコアが低ければ「あなたは寝る時間が遅いです」のような課題を明示する。こういった流れのデザインをすることで、ユーザーからでも理解しやすくなりますし、上手いメーカーはこの辺りをよく理解しています。
watchOS 9の詳細はまだわかっていませんが、WWDC22でのKeynoteやプレスリリースを見る限りでは、Appleは上下動の数値などを、ひとまずワークアウト中には単純な数値として表示しているようです。日常使いを兼ねたウォッチでランニングフォームを測定できて、取得したデータも分かりやすい――となれば非常に画期的なのですが、watchOS 9ではどこまで一般ユーザーにとってこうした数値を解読しやすいものにしてくれるのか、あるいはある種プロ~ハイアマチュア向け機能と割り切っていて、分かりやすく噛み砕かれることはないのか……。そんな視点で、同機能を使う前の導入となる画面や、使った後のログの表示などについて、深掘り検証できる日が待ち遠しいなと思いました。
筆者紹介――井上 晃
フリーライター。スマートフォンを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報やレビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter:@kira_e_noway
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