CPUの冷却に、簡易水冷CPUクーラーを利用している人は多いのではないだろうか。BTO PCでも簡易水冷のCPUクーラーを標準搭載している製品は珍しくなく、市民権を得ていると言ってもいいだろう。その一方で、ビデオカードに目を移すと、簡易水冷はまったくと言っていいほど普及していない。
これは、GPUやメーカーによってカードサイズや形状が異なるため、汎用的なクーラーを用意するのが難しいというのが最大の理由だが、いまやCPUよりGPUのほうが消費電力が大きくなってきており、冷却性能に優れる簡易水冷クーラーが魅力的な存在であることは間違いない。
そんな中、ASUSからGPUクーラーに簡易水冷タイプを採用したビデオカード「ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti OC Edition」(以下、ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Ti)が登場した。GPUにGeForce RTX 30シリーズ最上位の「GeForce RTX 3090 Ti」(以下、RTX 3090 Ti)を採用した本製品だが、果たしてどのようなカードなのだろうか。ゲームにおいてどの程度の性能を発揮するのかも気になるところだ。
ブーストクロックは1950MHz
負荷を掛けると2055MHzまで上昇
まずは、ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Tiのスペックから紹介していこう。ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Tiのベースクロックは公開されていないものの、ブーストクロックは1950MHzと、これはRTX 3090 Tiのリファレンスの1860MHzから90MHz高い値となっている。
なお、後述するテスト環境で「GPU-Z」(Version 2.46.0)で負荷を掛けた際のGPUのコアクロックを見たところ、2055MHzまで上がっていることを確認した。メモリークロックは21Gbpsでこちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Tiでは、「OC mode」「Gaming mode」「Silent mode」の3つの動作モードを有しており、付属アプリケーションの「GPU Tweak II」(Version 2.3.9.0)で切り替え可能だ。工場出荷時設定はGaming modeで、その動作クロック設定は前述のとおり。
OC modeでは、ブーストクロックが30MHz引き上げられて1980MHzになり、Power Targetも106%になる。一方のSilent modeでは、ブーストクロックが逆に30MHz下がって1920MHzになり、Power Targetも94%に抑えられる。なお、どのモードでもメモリークロックは21Gbpsから変わりない。
GPU Tweak IIのAdvanced Modeではさらに、ブーストクロックを1MHz刻みで1755~2145MHzに変更できるほか、GPU電圧も変更可能。1%刻みで100%まで増やせる。また、メモリークロックも1Mbps刻みで18902~23102Mbpsに変更可能と、オーバークロック関連の設定も豊富だ。
それに加えて、ROG Strix LC GeForce RTX 3090 Tiは、PモードとQモードの2つのVBIOSを搭載している。工場出荷時設定はPモードで、カード側面のディップスイッチによりVBIOSをQモードに切り替えられる。QモードではPower Targetが低下し、ファンの回転数を抑えることで静音性を向上させる。
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