週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

VRChat、Unreal Engine、MetaMask、Roblox、Reality Capture、などいろいろ。

みんなのパソコンで走らせたいソフトがガラリと変わってきた!

2022年05月16日 09時00分更新

往年のHPの電卓、HP-16C、HP-25、友人からもらって気に入ってるトラクターチェアと最新のノートPC

《有料サービス》《新しい情報》《よいマシン》がパソコンを上手に使う条件だ

 去年の途中くらいまでは、Intel Core i5 2.30GHzでもまるで困らなかったのが、ちょっとそれでは足りないと感じるようになってきた。そこで、ひさしぶりに新しいコンピューターを導入。ふだん持ち歩くノートPCとして、HP ProBook 635 Aero G8を2週間ほど前から使っている。

 要するに、みんながコンピューターで使いたいソフトウェアが大きく変わりはじめているのがいまだと思う。SteamVRChatUnityUnreal EngineMetaMaskなど。3Dゲームで世界的にヒット中のRoblox、フォトグラメトリの3DF Zephyrは、触りはじめたところだ。

 新しいマシンがノートPCである理由は、リモートワークの日々が続いているからだ。自宅からがほとんどだが、秋葉原からほど近い3331にあるCafe Ubuntu(LinuxのディストリビューションのUbuntuではない念のため)でよく仕事しているし、JR東日本のエキナカオフィスSTATION WORKなんかも重宝している(私が使う新宿南口改札内のブースはもう15センチずつ大きくしてくないかと思ったりもするが)。

 そんなときに、今回のHP ProBook 635 Aero G8は、 AMD Ryzen 5 5600U 4.2GHz(AMD Ryzen 3 5400UとAMD Ryzen 7 5800Uもある)+グラフィックスがAMD Radeon、本体メモリが16GB(DDR4-3200)、256GBのSSD。いまどき私が走らせたいソフトには十分な性能。本体重量は《Aero》という名前にみあった1kgと軽量。マグネシウムを使ったほどほどの厚みはむしろカバンに無造作に入れても平気そうな安心感がある。バッテリ駆動時間も困ったことはない(最大20時間とうたわれているが使用条件で大きく変わるでしょうね)。

ヒンジの外側に「PROBOOK」の文字。電子書籍ではなくなってしまった《背表紙》みたいなところにあるのがちょっとよい感じだ。HP公式ストアで、約10万円(ソフトウェアやLTEの有無など設定で幅がある)ほど。

 ちなみに、VRChatのデスクトップモードの要求スペック(Intel Core i5 8700~ / AMD Ryzen 5 3600~、メモリ16GB 以上)は、十分にクリアしている。VRモードは自宅PCか会社でとなるが、私の場合はこれでOK(ゴーグルでやるならOculus Quest2単体でという手もある)。フォトグラメトリの3DF Zephyr を起動したら、Cuda互換のグラボを求めてきてドキッとしたが、私が3D化したい10cm以下の物体はなんなく3Dモデル化できた。

 パソコンを上手に使う条件は、《有料サービス》、《新しい情報》、《よいマシン》だと思っている。《有料サービス》、《新しい情報》については、別の機会に触れたいと思うが、《よいマシン》は、いちばんベーシックな条件だといえる。

オフィスは無料化? Microsoft 365には隠れファンの多いVisioが入った!

 新しいマシンを最初に起動して「おっ、なるほどそうなのか!」と思ったのは、スタートメニューにあるオフィスが、《Office Online》となっていたことだ。マイクロソフトが営々と販売してきたワードやエクセル、パワーポイントのソフトウェアではなく、無料版のWebアプリとなった。これが、はじめは少し慣れないが、すぐにほぼ違和感なく使えるようになる。

 Google Docsの手前というのもあるのだと思うが、オフィスは、ついに無料になったと言ってよいか(ソフトウェア版も依然としてある)。Web版のオフィスといえば、マイクロソフトは、サブスクリプション型のOffice 365を推進していた。2020年にその名称を《Micrsoft 365》に変更。これに、今年に入って、《Visio Pro》が追加された。

 Visioは、ビジネス向けソフトウェアの傑作。マイクロソフトの社内にもファンが多いのではないかと思う。表計算の形で図形を表現する《シェイプ》の概念は、なぜそのままPowerPointで使えるようにしないのか? 謎としか言いようがない。PowerPointや中途半端な作図ソフトでやっていることをVisioにすると生産性はめちゃ上がるはず。

 私自身の備忘録的にマシンの移行でやったことを書き留めておくことにする。

1.Chromeをダウンロードして入れて同期。
2.以前のIMEの設定に(理由はキー設定をしたいから)
3.キー定義は、無変換を確定、Ctrl-SPACEで英数キー、Ctrl-無変換をひらがなキー
4.コントロールパネルからマウスは軌跡ができるように、Ctrlで位置を表示、ポインタを自動的に既定の点の上にと設定。
5.KeyswapでCtrlキー、Capsキーの交換。
6.DVORAKJ(親指シフトに設定)をスタートアップに入れる。
7.サクラエディタ入れる(キー設定入れる)。
8.Windowsのアカウントをマイクロソフトアカウントに
9.指紋認証設定

 所要時間は30分くらい。これだけで、とりあえず仕事をはじめることができる。これ以外は、Adobe系(私は少しだけだがメディア業界なので)、Anaconda(ささやかながらプログラムを書くので)、Sikulix(自動運転)くらいなので、それぞれ使うときに順番に入れていった感じだ。そのほか、ポータブル版で提供されるソフトは単純にマシンに入れるだけ。WebアプリはChromeの同期で自動的に移行が終わる。

ステッカーチューンを試行錯誤中。エンジニアとしてセミナーに参加するでもなく、ハッカソンは主催すれど参加したことはなく、いかにもなステッカーが1枚もない。世の中のノートPCの天板がステッカーだらけになる30年も前からバグ退散とか付録につけていたという意地はあるんだが。

最新TECHワードを深掘りし、新たに見つけたテーマをパフォーマンスとしてリブートする

 新しいマシンを使いはじめた以外にここのところ起きたことで1つ書いておきたいことがある。TOKYO MXではじまった「DeepTV.art」という番組からお声がけをいただいた。この4月から始まったソニー・ミュージックエンタテインメントによる番組。最新TECHワード×アートがテーマだという。

 4月にソニーから発表されたばかりのコミュニケーションロボット「poiq」も出てきたりして、多分に実験的な匂いのする番組なので、そもそも応援したくなる内容なのだが。というのは、日本にも英国BBCでやってる『Click』みたいなテクノロジートレンドをあつかうテレビ番組は、絶対に必要だと常々思っていたからだ。

 いまだと最新のTECHワードといえば、《NFT》、《Web3》、《XR》、《ミラーワールド》、《長寿技術》、《BRAINテック》、《環境・エネルギー》、《量子技術》など、割りとザクザクとネタには困らない感じだと思う。テクノロジー的にワクワクする時期にきているのがいまなのだ。この原稿の前半の走らせたいソフトウェアが入れ替わってきたというお話と繋がってくる。

 こういう時代にはどんな態度をとるべきなのか? 1つは、それを《遊んでみる》ことだと思っている。個人的な話をさせてもらえば、深層学習がきたときに「AIでRCカーを走らせよう!」で遊んだのはよい経験だった(いまもやっているが)。なにしろ、それで中途半端な解説やニュースを必死でおっかけるよりも手触りがわかる。

 遊びのぶんだけ現実のプロジェクトよりも未来に近いようなところもあって、同じAIカーを、いまや自動車会社のトヨタ社内にも模型のタミヤ社内にも熱心にやっている人がいるという状況も楽しい。まさに、「The next big thing will start out looking like a toy」(次の大きな波はオモチャのようなものからやってくる)というわけだ。

 DeepTV.artという番組が、最新TECHワードをパフォーマンスにしちゃうというのは、どちらかというとこの《遊んでみる》のほうだろう。番組の詳しい内容は、公式ページをご覧あれ。

 

遠藤諭(えんどうさとし)

 株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。

Twitter:@hortense667

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事