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時を積み重ねても変わらない“優しさ”

今年で35周年!お久しぶりな人も初めての人もシリーズ最新作『IX』で「イース」の“優しさ”の歴史に触れてみよう

2022年05月01日 12時00分更新

 今年の6月21日で、シリーズ誕生から35周年を迎える日本ファルコムの人気アクションRPG「イース」。今年の2月24日には、シリーズ最新作の低価格版であるPlayStation 4向けソフト『イースIX -Monstrum NOX- スーパープライス』(以下、イースIX)が発売された。

 ここでは、しばらく「イース」シリーズから離れてしまって人、もしくはまだ本シリーズをプレイしたことのない人に向けて、最新作の『イースIX』の魅力をお届けするとともに、シリーズの歴史も簡単に触れてみよう。

PS4「イースⅨ-Monstrum NOX-」TGS2019ver. デモムービー

「イース」シリーズとは?

 まずは、「イース」を知らない人のために、簡単にシリーズの説明を。「イース」シリーズは、日本ファルコムが1987年6月21日にPC-8801で第1作を発売したアクションRPG。赤毛の冒険家、アドル=クリスティンを主人公に、ゲームでは彼が体験したさまざまな冒険が描かれる。1つの作品で1つの地域での冒険が描かれ、基本的に一話完結となっている。

 当時のPC向けのRPGは、謎解きがノーヒントだったり、バランスが厳しすぎたりと、難易度が高く挫折する人も多かった。そんな中、「RPGは“優しさ”の時代へ」と広告で銘打ち、誰でも楽しめる(クリアできる)“優しさ”を全面に押し出して登場したのが、本シリーズだ。

 ただ、“優しい”と言っても、攻撃を出していれば簡単に敵を倒していけるといった難易度的な“易しさ”ではなく、メッセージでさりげなく謎解きのヒントを出したり、バトルではレベルを1つ上げただけで勝機が見えたりといったような、プレイヤーのテクニックや考える余地を残したものになっていた。ゲーム中で描かれる物語の魅力もあるが、こういった部分が当時のゲームファンを魅了し、熱中させたのだろう。

 年月を通じて、初期の制作陣からスタッフは変わっているものの、「イース」シリーズはこの部分をしっかり踏襲。さらに、家庭用ハードを主軸に移してからは多彩な要素を追加し、より遊び込める内容になっている。

【主なシリーズ作品】

イース Ancient Ys Vanished Omen(1987.6.21/PC-8801mkII)
 舞台:エステリア
イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter(1998.4.24/PC-8801mkII)
 舞台:イース
イースIII WANDERERS FROM Ys(1989.7.21/PC-8801mkII)
 舞台:フェルガナ地方
イースV -失われた砂の都ケフィン-(1993.11.19/スーパーファミコン)
 舞台:サンドリア
イースVI -ナピシュテムの匣-(2003.9.27/Windows)
 舞台:カナン諸島
イース・オリジン(2006.12.21/Windows)※
 舞台:エステリア
Ys SEVEN(2009.9.17/PlayStation Portable)
 舞台:アルタゴ
イース セルセタの樹海(2012.9.27/PlayStation Vita)
 舞台:セルセタ地方
イースVIII -Lacrimosa of DANA-(2016.7.21/PlayStation Vita)
 舞台:セイレン島(ゲーテ海)/エタニア王国
イースIX -Monstrum NOX-(2019.9.26/PlayStation 4)
 舞台:グリア・エルトリンゲン地方

※イース・オリジンは700年前のエステリアを舞台にした外伝作。アドルが主人公ではなく、イースの神官の祖先となる

記念すべき第1作目『イース Ancient Ys Vanished Omen』。戦闘は体当たり方式で、敵に対して半身になって攻撃するとダメージを受けず攻められる。Windowsでリメイク作が出ている

Windowsで発売された『イースVI -ナピシュテムの匣-』。イース世界の設定が新たに施された、新生「イース」の始まりとも言える作品

日本ファルコムがコンシューマーゲーム機に舵を切ってから初めて登場した『Ys SEVEN』。3人パーティ制を取り入れるなど、近年の「イース」のベースとなる作品

『イース セルセタの樹海』は、日本ファルコムの原案を基にハドソン(現KONAMI)からPCエンジンで、トンキンハウスからスーパーファミコンで発売された『イースIV』のセルフリメイク作

近年に発売された作品でとくに人気が高い『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』。本作ではアドルと、エタニア王国の巫女であるダーナのW主人公システムを採用している

《監獄都市》バルドゥークで展開する、アドルと「怪人(モンストルム)」たちの物語

 『イースIX』は、グリア・エルトリンゲン地方にある《監獄都市》バルドゥークが物語の舞台。相棒のドギとともにこの街を訪れたアドルは、とある事情からグリアを属州とする帝国ロムンの兵に囚われ、バルドゥーク監獄に収監されてしまう。その監獄で謎の女性、アプリリスと出会うことで、アドルは「怪人(モンストルム)」たちにまつわる事件に関わっていくことになる……。

 本作は、バルドゥークという街が舞台になるシリーズでは珍しい作品。1つの街をシームレスに移動できるなど、オープンワールド風な作風になっている(ただし、最終的に街中はシームレスで全域移動できるが、ゲーム開始時は街の各所に封印が施されており、物語の進行に従い徐々に活動できるエリアが広がるようになっている)。

ドギとともにバルドゥークに訪れるアドル。門で一悶着あり、ロムン兵に捕まってしまう。ちなみに、ドギは『イース』の1作目から登場する元盗賊で、アドルの相棒

黒いフードを被り、義手、義足が印象的な女性、アプリリス。アドルや怪人たちの前に現れ、助言めいた言葉を残す。物語の案内役とも言えるキャラクターだ

バルドゥークの街を騒がす、異能を持つ「怪人」たち。左から、辻斬りをしている「鷹」、力に秀で怪人の中では良識派な「猛牛」、アドルのもう1つの姿「赤の王」、街で義賊をしている「白猫」、出自が不明でアドルに接触してくる「人形」、厭世的で人前に滅多に姿を現さない「背教者」。赤の王を含めたこの6人が、パーティメンバーとなる

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