広域でのロボットシェアリング配送サービス、課題は運用効率・車道走行の受容性。京セラコミュニケーションシステムの挑戦
さまざまな地域課題や社会課題の解消や、ドローンやスマートシティなどとの組み合わせで期待されている自動走行ロボットを活用した配送サービス。日本でも各種実証実験が進んでいるが、いよいよ実装が見え始めている。2020年より実施されたNEDOによる実証実験で見えてきた動きを追いかける。
自動配送ロボットは時速6キロ以下の小型・低速ロボットによる歩道走行が主流だが、今回の工業地域における広域配送では、より速く・多くのものを効率よく届ける試みがなされている。京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は「工業地域向け自動配送ロボットシェアリング型配送サービス」の実現に向けて、20個のロッカーを搭載した無人自動配送ロボットで、北海道石狩市石狩湾新港地域で車道を中心に自動走行実証を実施した。
複数ロッカー搭載の大型自動配送ロボットが地域内を集荷・配達
石狩市石狩湾新港地域は札幌市に隣接する道内最大級の工業地域で、企業や人が多く集まる。車が運転できないと、移動や買い物が困難な地域で、自動配送ニーズは高いが、輸送距離が長く、これまで主流だった小型・低速の自動配送ロボットでは効率が悪い。
KCCSの取り組むテーマは「工業地域向け、ロボットシェアリング型配送サービスの実現」だ。宅配便やコンビニエンスストアの商品、クリーニング店に預けた衣類など、地域の複数の事業者が1台のロボットをシェアして荷物を企業などへ配達するサービスの実現を目指している。
実証には、KCCSが開発したソフトウェアを搭載する海外製ロボットを使用。都市部の商業ビルや限られた施設内での実証に使われているロボットは時速6キロ以下の低速で小型のカートタイプが主流だが、今回使用したのは従来よりも大きいミニカー(長さ2.5m以下×幅1.3m以下×高さ2.0m以下)に準じた大きさの、最高時速15キロのロボットだ。
車体の左右に大中小3サイズ計20個のロッカーを備え、地域の小売店などから荷物を集荷して、効率的なルートを選択して、届け先へ配送する。またLiDARや超音波センサー、カメラなどの各種センサーを搭載し、回線で遠隔監視・操縦する仕組みとなった。
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