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業界探し、コミュ力、ゲーム志向 grasys長谷川代表が語るエンジニアキャリア

 2月に行なわれたDevelopers Summit(デブサミ)でエンジニアのキャリアパスについて講演したgrasys代表の長谷川 祐介氏。エンジニア社長としても知られる長谷川氏に講演の内容を振り返ってもらいつつ、改めて話を聞いた。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

grasys代表 長谷川 祐介氏

技術が好きなのは当たり前 大事なのはむしろ業界に属すること

大谷:まずはデブサミ登壇の経緯からお聞きしましょうか。

長谷川:デブサミでキャリアパスの話をしたのは、マネージャーが勝手に決めたからとしか言いようがない(笑)。だから、ネタとして崇高すぎて困ったのは事実です。ただ、私自身もルーツがITエンジニアで何回か転職していますし、面接もかなりしているので、キャリアパスに困っているエンジニアの気持ちは理解できます。

大谷:キャリアパスで悩んでいるエンジニアは多いですよね。

長谷川:まず初級者は技術そのものと自身の成長戦略で悩んでいるケースが多いです。技術の選定もうまくできていないし、会社やプロジェクトから与えられた技術しか学べていない。中級者になると転職するためのパスを悩むというパターンが多いですかね。

初心者に対しては、一言で技術と言っても幅広いので、尖らせたいところにフォーカスすること、つまりは他人に負けないものを1つ作ることをアドバイスします。エンジニアになって1~4年くらいはそれが必要なんじゃないかなあと。

大谷:とはいえ、今おっしゃったみたいに技術って広いじゃないですか。

長谷川:今回、デブサミで話したかったのは、技術にフォーカスしすぎない方がいいということです。

技術者が技術を好きなのは当たり前。好きでなければ、こんな大変な仕事をやるべきじゃない。だから、好きな業界を見つけた方がいいと思います。これからは技術を使ってなにを実現するかの方が重要になってくるからです。

大谷:どのタイミングで業界を意識すべきなんでしょうか?

長谷川:初心者から脱して、5年くらい同じ業界にいる方って、「自分はいったいなにをやってるんだろう?」という意味探しを始めてしまうんですよ。そういうときは、どこかの業界に属していた方が強いですよね。業界って業界自体が自然の流れで進化を続けますし、なによりその業界のビジネスモデルを理解しているから活躍することがしやすい。だから、初心者も本当は業界探しから始めるべきだと思います。

でも、最初はどの業界が好きなのかもあいまいなので、まずは一本なにかを研ぎ澄ますべき。そうしないとどの業界に行っても通用しない。逆になにか一本でも軸があれば、どの業界でもある程度通用します。

大谷:では、長谷川流のキャリアパス戦略としては、まずは技術的に尖らせて、次に業界を探すというわけですね。ある程度ベテランになったらどうすべきですか?

長谷川氏:面接をすると、上級者はいろいろできるが故に、次を決めかねていますね。チャレンジがないのではないかと悩まれる方や、自分にとってのチャレンジを探している方も多いと感じています。

僕も43歳ですが、正直言って技術的な分野でできないことはあまりない。多少見知った範囲ではなくても、触ればできてしまう。だから、チャレンジが難しくなるんですよね。技術者って、若いときに苦労していると、チャレンジしたい欲はつねに頭をもたげます。一方で、年収も上げていかなければならないので、その葛藤があるんですよね。

エンジニアだからこそ重要な「コミュ力」

大谷:次に「しゃべれて作れるエンジニアになろう」というテーマですね。私もコミュニティや勉強会での取材が長いので、これはすごく納得できます。

長谷川:エンジニアってある一定ラインを超えると、責任が伴うと思うんです。社会的な責任もあるし、会社からも部下を育てろと言われます。しかも、異業種の方と話すと、技術者のプロトコルが通じない。でも、その業界の専門家と課題を共有したり、議論しなければなりません。

だから、コミュニケーションスキルは不可欠だし、特に相手の語る課題をキャッチアップする能力はすごく重要だと感じています。技術だけを追いかけて、コミュニケーションスキルを無視してしまうと、ある特定領域以外、あるレイヤーより上では活躍できなくなります。

大谷:アウトプットという観点でも、自己満足を追求する方たまにいます。聞いている人の立場で講演して欲しいなと思うときもあります。

長谷川:登壇って伝えるキーワードは2つか、3つに絞りましょうの世界じゃないですか。でも、エンジニアって、全部説明する責任を勝手に負ってしまうんです(笑)。

エンジニアの登壇資料を見る機会がありますが、指摘すると情報量がどんどん増えたりするんです。「もっとシンプルに」と言うと、本人は納得していないのですが、話した後にやっぱり直してもらってよかったと言うんです。

大谷:どうすればよいでしょうか? よくアウトプットファーストと言われますが。

長谷川:ありきたりかもしれませんが、エンジニアは自ら学んだことや試したことをブログに書いて、それを人前で話していくことをたくさんこなして話すことに慣れる。これはきれいなストーリーだと思います。あとは、課題をキャッチアップする必要があるので、案件をたくさんこなすしかないのかなと思います。

grasysで案件をこなすって、お客さまとお話しするということなんです。お客さまに説明し、提案する。だから、うちで仕事するとおのずとコミュニケーションが必要になってくる。私は「営業現場でお客さまに面白いなんて言っちゃダメ」とよく怒られます(笑)が、別の業界なのにとんがった人と意気投合すると、めちゃめちゃ楽しいです。

大谷:逆に言えば、話せない人はgrasysでは仕事にならないし、grasysに来たらしゃべれるようになるよということですか?

長谷川:そうです。しゃべるのが苦手で、技術にフォーカスしたいと考える人もいると思いますが、そういう人たちがなにか新しいモノを作っていけるかというと、僕は難しいと思うんです。コンピューターって人のためにあるものなので、システムに使われては良くないと思います。

その意味でgrasysはお客さまの目標ややっていることに意義を見いだしやすい立ち位置にいます。仕事って意義がないと面白みがないじゃないですか。

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