最近のスマートフォンでは、移動体通信の第5世代を意味する「5G」に対応したモデルが多くなってきた。実際に3大キャリアの扱う端末はほとんどが5Gをサポートしている。今回はMVNOの格安SIMにおける5G対応を整理するとともに、5Gに移行するメリットはあるのかを考えた。
IIJmioやOCN モバイル ONE、mineoなど、
大手のMVNOの格安SIMは追加料金無しで5Gにも対応する
MVNOの格安SIMは、3大キャリアのネットワークを借りてサービスを提供している。というわけで、サービスエリアを始めとする無線区間は3大キャリアに準ずる内容となっている。“貸主”が5G対応すれば、借り手であるMVNOの格安SIMも基本的には対応可能となる。実際には5Gでの接続を許すかどうかの設定もあるので、そこはMVNO側次第となる。
現在ではMVNOの格安SIMのうち、多くが5Gに対応している。5Gの利用には契約変更やオプションの申し込みが必要なこともあるが、手続きをして5G対応の端末に差し込んで、サービスエリアに行けば、アンテナマークの横に「5G」と表示して通信することができる。
格安SIMで5G対応しているサービスを具体的に挙げていくと、まずは3大キャリアのオンライン専業プラン(「ahamo」「povo」「LINEMO」)、そして、UQ mobile/Y!mobileといった、いわゆるサブブランド。MVNOでは、IIJmio、OCN モバイル ONE、mineo、BIGLOBEモバイル、イオンモバイル、NUROモバイルなど、現在、積極的にサービス展開しているところは、その多くが今春までに対応している。
申し込みや設定が必要だが
5Gだから料金が高くなるわけではないケースが大半
5G通信を利用する場合、どのようにしたらよいのだろうか。まず、大前提として、5G対応の端末が必要だ。iPhoneなら12以降で、最新の第3世代iPhone SEでもサポートされた。Androidも現行モデルでミドルクラス以上なら対応が進んでいる。特に意識せずに購入した機種が、5G対応だったというケースもあるだろう。
続いて回線側の対応だ。MVNOの格安SIMの場合、5Gオプションなどという形で、ウェブサイトやアプリから5Gを有効にする設定が必要なところが多い。利用には筆者が知る限り、追加料金や切替の手数料などが必要なところはなく、SIMの交換も不要。設定さえすればすぐ使えるようになるケースばかりだ。
なお、格安SIMの話ではないが、ドコモやKDDIにおいて5G対応プランに切り替えるためにはキャリアショップに出向いたり、コールセンターで申し込み、SIM交換や手数料が必要というケースもあった。
現時点で格安SIMを5Gにする意味はあるか?
では、格安SIMにおいて、5Gにしたところでなにかメリットはあるか? という根本的な問題がある。5Gといえば高速通信ばかりが注目されてしまうが、実際には低遅延や周波数の利用効率の向上などの効果もある。利用効率の向上はあまり実感することはないと思うが、繁華街などユーザー数が多くて混雑している環境ならば、5Gならば4Gよりも混雑なしで使える可能性はあるだろう。
ただ、そもそもの問題として、スマートフォンで数百Mbps以上の速度が必要かということもある。インターネットはベストエフォートな世界であると同時に、通信とは相手があってのこと。データを送り出すサーバーや途中の回線が超高速でなければ、いくら末端が高速であっても意味はない。
動画の再生にしても、ストリーミングなら現在は数Mbps、どんなに高画質でも数十Mbpsあれば十分。再生開始時に多めのデータが流れる必要があるが、それでも通常のデータの流れの10倍くらいあれば余裕。数百Mbpsオーバーの通信速度の必要性は(現状の使い方であれば)ほぼないと言えるだろう。
ダウンロード型のサービスであれば通信速度の恩恵はあるかもしれないが、前述のとおりに5Gの効果が発揮できるような速度でデータが転送できるかと言えば、現在のところあまり望めない。
実際に速度を計測してみると、よほど良好な条件でもなければ現時点で4Gの規格上の最高通信速度を下回っていることも多い。また、端末に「5G」と表示されていても、4Gから転用した周波数帯での通信というケースもある。その場合は、既存の4Gと比べて、大幅な速度アップが期待できない。
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