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ソニーの技術力を結晶させた「Xperia PRO-I」は今後のXperiaの方向性を示している

2022年04月25日 12時00分更新

 ついにXperiaの歴史連載も最終回。最後を飾るモデルは、2021年12月に発売されたばかりの「Xperia PRO-I」です。

Xperia PRO-I

 フラッグシップモデルでもある「Xperia 1 III」をベースに、同社の持つ高級デジタルカメラ「RX100VII」に搭載している1.0型イメージセンサー「Exmor RS」を搭載。見た目はスタイリッシュなXperiaシリーズのボディーをそのままに、ついに一眼カメラ「αシリーズ」から受け継ぐカメラのスピード性能とスマートフォンの高い処理能力を融合したカメラスマホが誕生しました。

 一年前にも「Xperia PRO」という機種はありましたが、そちらは5Gミリ波やHDMI入力を備えたプロ支援のスマホ。Xperia PRO-Iは、ソニーの最先端カメラ技術を結集し、イメージング(Imaging)の「I」を冠して、カメラ機能に全振りしているのが特徴です。

 背面のメインカメラの配置は、焦点距離16mm(F2.2)の超広角レンズ、24mm(F2.0/F4.0)の広角レンズ、50mm(F2.4)の標準レンズのトリプルレンズカメラ+薄暗い環境下でも被写体までの距離を検知し、フォーカスを合わせやすくする「3D iToFセンサー」という構成(画素数はすべて1220万画素)。

 最大の特徴は何と言っても、広角レンズに1.0型イメージセンサー「Exmor RS」を搭載したことです。 大型センサーの2.4μmという大きなピクセルピッチで、多くの光を取り込めるアドバンテージがあり、暗所でもノイズの少ない撮影や、広いダイナミックレンジにより明暗差のある環境でも豊かな質感を再現しています。また、擬似的にソフトウェアで処理した違和感のあるボケではなく、光学的な綺麗なボケ味の表現を楽しめることが魅力です。

 さらに、一眼カメラαで採用されているフロントエンドLSIまで備えているのが、従来のXperiaとはまったく異質となるところ。

 1.0型イメージセンサーの高速読み出しにより、動きの速い被写体を撮影したときに起きやすい動体歪み(ローリングシャッター現象)もアンチディストーションシャッターで解消。そのほか、最大60回/秒のAFとAEの演算処理を行い、AF/AE追随しながら20コマ/秒の高速連写といった昨日はXperia 1 IIIと同じです。もちろんリアルタイム瞳AFや、任意の場所をタッチするだけで被写体を追いかける「リアルタイムトラッキング」も備わっています。

 しかも、F2.0/F4.0と物理的に絞りを可変させたり、サイドのシャッターボタンは「RX100VII」で使用されているスイッチ部品を採用して、半押しのストロークからシャッターを押したクリック感までカメラテイスト。また、撮影時の落下対策や撮影安定のため、ハンドストラップを取り付けられるストラップホールまであります。

 静止画撮影は「Xperia 1 III/5 III」に備わるアプリと同じ「Photography Pro」を使いますが、動画撮影については、21:9アスペクト比で映画のような撮影ができる「Cinematography Pro」のほかに、新たにもう1つ 「Videography Pro(ビデオグラフィプロ)」が加わりました。

 Videography Proは、高精度な水準器を備え、フォーカスや露出、ホワイトバランスといった設定を素早く変更できるVLOGに特化したアプリ。動きの速いシーンでも滑らかな4K120fps再生の映像や、高品位な画質で最大5倍の4Kスローモーション映像といった自由度のある作品を作れます。また、動画撮影時でも「瞳AF」やフォーカスしたい被写体をタッチすれば動いている被写体を自動的に追跡しピントを合わせ続ける「オブジェクトトラッキング」にも対応します。

 高速読み出しが可能な1.0型イメージセンサーとソニー独自のアルゴリズムを活かして、光学式手ブレ補正を強化した「FlawlessEye対応のハイブリッド手ブレ補正」により、シャッタースピードが伸びてブレやすい暗所での動画撮影時も、より手ブレを抑えた撮影ができるのです。

 どうしてこれをXperia 1 III/5 IIIにもプリインストールしなかったのか!? と小一時間問い詰めたくなりますが、これもまた「Xperia PRO-I」だけの特権と言えるでしょう。

 ハード的にも、利用したいアプリを設定して呼び出せるショートカットキーを本体の側面に搭載。Xperia 1III /5 IIIにもありましたが、Googleアシスタントしか呼び出せませんでした。Xperia PRO-Iは任意のアプリを割り当てられるので、活用シーンはグッと広がります。たとえば、このキーにVideography Proを割り当てることで、撮りたいと思った瞬間にカメラを起動して撮影できるのです。まさに撮りたい瞬間を逃さない機能ですね。

 さらにオプションとして、3.5型液晶(アスペクト比16:9)の「Vlog Monitor」も用意されており、「Photography Pro」や「Videography Pro」で自撮りする際のディスプレーとして活用したり、マイク端子に外付けマイクをつけてより良い音で録画するといった、もはやスマホではなくVLOG専用機としても活躍させることができます。

 いつかカメラに特化したXperiaが出ないかな? とは思っていましたが、それがXperia PRO-Iとしてやってきたのです。αやRXシリーズを抱えるソニーが、自らのスマートフォンでプレミアムコンパクトデジカメの領域に踏み込んできたのです。

 今までの「いくらスマホにカメラがあるとは言っても所詮スマホのカメラだし……」という、妙なモヤモヤももう過去のもの。ポケットから一瞬で取り出して、納得のいく画質で撮れるのです。

 さて2022年、そして今後はどんなXperiaが生まれるのでしょうか? Xperia PRO-Iが最高だぜ! という想いを吹き飛ばすような、さらなる進化したカメラを備えたXperia、いや、もしかすると、究極の音楽が聴ける、感動の映像を堪能できるといったまだ見ぬXperiaが出てくるかもしれません。

 そんな期待を胸に、これからもXperiaを愛し続けていきたいと思います。

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