ソニーは2021年4月にXperiaの新モデルとして、フラッグシップモデル「Xperia 1 III」と同時に「Xperia 10 III(エクスペリア テン マークスリー)」を発表しました。前モデル「Xperia 10 II」の後継機種であり、Xperiaシリーズのミッドレンジモデルとしては初めて5G通信に対応したモデルです。
サイズは約68×154×8.3mm、重さは169g。上下左右のベゼル幅も薄くなり、Xperia 10 IIよりもほんの少し小さく持ちやすさアップしながら、バッテリー容量は4500mAhと25%大容量化をはたしました。独自の充電最適化技術と「いたわり充電」を利用することで3年使っても劣化しにくいなど、使いやすさを大きくアピールしています。
スペックは、約6型(2520×1080ドット)の HDR対応有機ELディスプレーを搭載し、プロセッサーはSnapdragon 690に、メモリーは6GB、ストレージは128GB。カラバリは基本的にブラック、ホワイト、ブルー、ピンクの4色展開。ドコモ専用カラーとしてイエローが別途用意されています。
21:9のアスペクト比はそのままに、表示中のアプリウィンドウの上に、もうひとつのウィンドウを重ねて表示可能な「ポップアップウィンドウ」機能が便利でした。画面が縦長になったことによる表示領域の余裕が活きてくる機能で、動画を観ながらTwitterをチェックしたり、メッセージを返信といった使い方ができます。かつてXperiaに搭載されていたスモールアプリを思い出しますね。また、フローティング機能が追加され、アプリショートカットやマルチウィンドウへのアクセスもよりカンタンに。
カメラ機能は約1220万画素のイメージセンサーを採用した焦点距離27mmの広角レンズと、約800万画素のイメージセンサーを採用した焦点距離16mmの超広角レンズ、焦点距離52mmの望遠レンズという構成のトリプルカメラ。
最高10コマ/秒の連写機能は、画像の明るさを自動で最適化したり、レンズを切り替えて、光学2倍ズームや背景ぼけ撮影、超広角撮影できます。被写体やシーンを自動で判別して簡単・綺麗に撮影できる「プレミアムおまかせオート」には新たにペットの認識にも対応。高精細な4K動画撮影も可能で、フラッグシップモデルに迫る充実のカメラ機能をそなえてきました。
ただし、惜しいことに「Photography Pro」はプリインストールされておらず、従来タイプのカメラアプリのみ。動画撮影アプリの「Cinematography Pro」もありません。
実際に使ってみると、レンズを切り替えるごとに色味が統一されていなかったりなど、カメラ機能を追求するのであればフラッグシップモデルとの差は明確にあります。
オーディオ関連は、ヘッドホン出力できるオーディオジャックを搭載するほか、ワイヤレスでもハイレゾ音源を楽しめる伝送技術LDACに対応し圧縮音源をハイレゾ相当の高音質にアップスケーリングして再生する「DSEE Ultimate」は、CD音質相当音源(44.1kHzおよび48kHz/16bit)のアップスケーリング性能が向上しています。ソニーならではの高音質技術はしっかりと投入されています。
また、Xperia 10 III発表の4ヵ月後、2021年8月末に派生モデルとして「Xperia 10 III Lite」も登場しました。楽天モバイルをはじめ、IIJmio、mineo、goo Simseller、nuroモバイルといったMVNO各社からSIMフリーモデルとして販売されたのです。「Lite」と冠してる通り、仕様上はストレージが64GBと少なく、FMラジオが備わっていないものの、目玉となるのはXperiaシリーズ初となるeSIM対応ということです。
eSIMは、物理的なSIMカードを必要とせず、オンラインで申込みから開通までできるサービス。しかも、物理SIM(nanoSIM)とあわせて2つの回線を利用できるデュアルSIM対応となっているうえ、VoLTEや5Gに対応するなど非常に汎用性の高いところが魅力的です。
まさかのフラッグシップモデルからではなく、イレギュラーに現れた「Xperia 10 III Lite」からeSIM採用となりましたが、今後のXperiaシリーズにもこうしたeSIMを採用したモデルも出てくると思われます。
Xperia 10 III/Liteの外観をみても、背面にガラス素材、フレームにはマット仕上げのラウンド形状を採用するなどして見た目にもチープさが感じられず、仕様についても数年前のミッドレンジとは比べ物にならないほどのスペックです。
ディスプレーも有機ELを採用しトリプルカメラを搭載、防水防塵機能も備えて、バッテリー容量を増強、5Gにも対応しているなど、最低限ほしい機能をすべて備えており、「Xperia 10 II」から大幅に魅力的なモデルに進化していました。
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