2022年4月6日、ラーメン自動販売機「Yo-Kai Express(ヨーカイエクスプレス)」がJR東日本の東京駅に登場。あわせて、同自販機を開発したアメリカのスタートアップ企業「Yo-Kai Express」の創業者兼CEOのアンディ・リン氏が来日し、日本上陸についての発表会を行った。
Yo-Kai Expressはシリコンバレー発のラーメン自動販売機。2016年の創業のフードテックベンチャーで、温かい食事を24時間コンタクトレスで提供できる、革新的な自販機型の自動調理ソリューションを提供している。アンディ・リン氏はYo-Kai Expressについて、「自動販売機というより、調理ロボット。ステップクッキングによって正確かつ、メニューごとに異なる調理を実現している」と説明している。
提供する食品は、丼に入ったまま冷凍保存され自動販売機内に保管されており、独自の解凍技術を使って、熱々の状態で提供される。すでにアメリカでは空港、ホテル、病院、企業、大学、会議場、複合居住施設など、全米で約50カ所に設置。これまでに20万食以上の提供実績があるとのこと。
購入方法は簡単で、タッチパネルで好みのラーメンを選択。支払いはキャッシュレス決済のみに対応のため、Suicaなどで支払う。支払いが完了すると、自販機の中でスチームの出るような音がなり調理スタート。90秒ほどで取り出し口に蓋がされたラーメンが提供される。
ひとつの自販機にセットできる丼は最大50食。日本で見かけるラーメン自動販売機と違い、すでに丼にセットされた状態で保存されているので、メニューのレパートリーを複数用意できるのがポイント。
実際、東京駅のほかすでに設置済みの羽田空港第2ターミナル、首都高芝浦パーキングエリアでは、「鶏 Yuzu Shio」「東京 Shoyu」「札幌 Spicy Miso」「九州 Tonkotsu 」の4種類を各790円(税込)で提供している。
さらに、ラーメンチェーンの一風堂を運営する力の源ホールディングス と提携しており、「一風堂博多豚骨ラーメン」「IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン」今後提供予定(価格未定)とのこと。
アメリカではラーメン以外にもトムヤムヌードル、フォー、台湾風、天ぷらうどんなども提供している。またご飯物の丼なども今後提供可能となるとのこと。
力の源ホールディングスは、2年半前からYo-Kai Expressに協力しており、今回の日本導入でも係わっている。一風堂創業者で、力の源ホールディングス河原成美氏は、当初提供されるラーメンがぬるかったため、「ぬるいのは致命傷。温度はどうにかならないかと思ったが、本当にアツアツの職人が作るより熱いのではないかというラーメンを提供できた」と、現在のレベルに達するまでその腕を貸していたようだ。
海外でラーメンを食べると、意外にぬるいことが多いが、やはり日本ではそれが許されない。しかし、このアツアツで提供するというのはかなり難しいポイント。実は、羽田空港へのYo-Kai Express導入は3月23日からと一足早かったが、筆者が3月下旬にテストしに行った際には、提供中止となっていた。
どうやらアツアツの状態で提供することにより、機械が想定よりも熱をもってしまい、冷却に時間がかかるトラブルがあったようだ。日本導入モデルの機器は、改良やメンテナンスなどを、ソフトバンクロボティクスが行っているが、担当者に話を聞くと、その改良に苦心したとのこと。ちなみに、現在の状態でも何食か連続で提供すると、冷却のためのインターバルが必要となる。
日本は自動販売機先進国で、調理自動販売機も昭和の時代にそれなりのカルチャーとして存在していた。アンディ・リン氏は、この日本にかつて存在した調理自販機を動画でみて着想したと説明。ただしアンディ・リン氏は実際に日本の調理自販機を見たことがなかったそうで、今回の来日でいわゆる「レトロ自販機」が集まっている場所へ行って初めて試してみたとのこと。
Yo-Kai Expressが提供するラーメンの味は、自動販売機が調理したラーメンと考えれば合格点以上。今回の発表会では「一風堂博多豚骨ラーメン」と「IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン」を試食したが、実際に人が調理して店舗で提供されるラーメンと比べれば劣る物の、出先で暖かい物という状況なら十分に満足できるレベルだ。
東京駅での提供は4月12日17時頃までの期間限定。羽田空港と芝浦パーキングエリアは常設で、今後は全国に展開していきたいとのこと。
今回のYo-Kai Express進出には、スクラムスタジオがビジネス開発とマーケティングを全面支援している。同社がアメリカのスタートアップ企業の日本支出に協力するのは「Miles(マイルズ)」に続き、2社目となっている。
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