週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

山形大学アントレプレナーシップ開発センター「YU-DES」設立、事業計画を発表

直近5年で15社設立。山形大学が進めるスタートアップ創出とアントレプレナーシップ人材開発

 山形大学アントレプレナーシップ開発センターが、2022年4月1日に設立され、事業計画を発表した。

 山形大学の学生に対するアントレプレナーシップ教育の提供、地域の中高校生および社会人へのアントレプレナーシップ教育の提供、アントレプレナーシップ研究による効果的な教育法やプログラム開発などの推進、アントレプレナーシップに関する社会や地域との連携および国内外機関などとの連携、これらの活動を通じたスタートアップ創出支援に取り組む。

 山形大学アントレプレナーシップ開発センター長の小野寺忠司教授は、「起業家としての行動能力を持つだけでなく、新事業創出や社会課題解決に向けて、新たな価値創造に取り組む姿勢や発想、能力を育成したい」と述べた。

山形大学アントレプレナーシップ開発センターの略称は、「YU-DES(Yamagata University Development center for Entrepreneur Ship)」とし、「ユーデスには、『あなた自身が主役です』という意味を持たせた」という。

直近5年で15社のスタートアップを設立

 山形大学では、文部科学省の次世代アントレプレナー育成事業である「EDGE NEXT」を通じて、独自のアントレプレナー教育プログラムを実施し、これまでに延べ2498人が受講した実績を持つほか、山形大学発のスタートアップ企業として11社、企業連携でのスタートアップ企業が4社、EDGE-NEXTベンチャー企業として10社を創出した経緯があり、そのうち直近5年だけで15社のスタートアップ企業の設立に関わっている。

 山形大学発のスタートアップ企業では、山形大学との協業により、感情エンジンを開発して、声や表情、脳波をもとにストレスを自動解析し、見守りから、カウンセリングまでをサポートするYume Cloud Japan、水を用いることなく、瞬間的に米やトウモロコシをアルファ化する温度制御型粉砕技術をもとに、畜産動物に栄養度の高い飼料を提供するアルファテック、Cookieを使わずに、AIを活用した独自の配信アルゴリズムによるインターネット広告配信媒体「Candy」を提供するスリーアイズ、企業の理念や想いをアートで伝える提案行うなど、アートを技術に捉えて事業化するEnoGG(えのぐ)などがある。

 EDGE-NEXTのアントレプレナー教育プログラムでは、大学教育を中核に、中高生、大学生、社会人までの幅広い層を対象に、起業家精神醸成から、スタートアップ支援までの一気通貫のプログラムを実施。中高生向けには、起業家マインド醸成プログラムとして「やまがたイノベーションプログラム」により、地域課題の解決に向けたビジネスアイデアの創出、事業化計画の立案を行っているほか、高校生向けのIT材育成プログラム「スーパーエンジニアプログラミングスクール(SEPS)」では、東北地域全体に広げ、240人が参加。米シリコンバレーのスーパーーエンジニアも作成に参加した教材を用いて、オンラインで直接指導。大学生向けには、コロンビアビジネススクール(VFA) と連携し、山形大学のノウハウを組み込んだ起業家育成プログラムを実施して、事業化の支援も行っている。そのほか、学内ビジネスプランコンテスト、山形県ビジネスプランコンテストの実施や、山形県主導の山形県スタートアップ支援チームとの連携なども図っている。

 「文部科学省や経済産業省、山形県といった行政、産官学の専門家集団による支援、企業による教育および事業化に向けた投資、山形大学や工業高校を中心とした教育機関に還元するエコシステムが構築されており、スタートアップ企業が持続的に創出される環境が生まれはじめている」とする。

 今回のYU-DESは、こうした実績を背景に設立したもので、「社会の持続的な発展に寄与するため、地域資源を活用し、グローバル視点に立った実践的なアントレプレナーシップ教育を提供することにより、新しい価値創造に挑戦する意欲を持ったアントレプレナー人材の育成に取り組む」とし、「時代のニーズに合った先進的な取り組みを、いち早く、教育や地域に還元することで、山形を、世界から必要とされるイノベーション創出の産業地域(クラスター)として、 また、21世紀型のシリコンバレーのような産業地域を実現することを目指す」と述べた。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります