Microsoft Analyst Strategy Days 2022
アジア太平洋地域のスタートアップ企業を対象にしたイノベーション促進への取り組みを紹介 「Empowering Startups and Founders in Asia」を開催
マイクロソフトは、Microsoft Analyst Strategy Days 2022の開催3日目にあたる2022年3月31日、アジア太平洋地域のスタートアップ企業を対象にしたイノベーション促進への取り組みを紹介する「Empowering Startups and Founders in Asia」を開催した。
その場において、同社が推進しているスタートアップ企業向けイノベーション支援施策「Microsoft for Startups Founders Hub」を、アジアでも提供を開始することを発表。先行して同施策に参加しているアジア太平洋地域のスタートアップ企業によるパネルディスカッションが行われ、日本からは、Scalarの代表取締役CEO兼COOの深津航氏が登壇した。
そのほか、オーストラリアのGivvable、インドのSalesken、中国のShopastro、シンガポールのSavour!、ニュージーランドのPhytracの各社が参加した。
Microsoft for Startups Founders Hubとは
2021年10月から提供を開始しているMicrosoft for Startups Founders Hubは、スタートアップ企業が最大15万ドルに相当するMicrosoft Azureサービスを利用できるほか、「アイデア化」のステージにおいて、プロトタイプを開発している場合には、1年間1000ドル分のクレジットが利用でき、「開発」ステージでは、1年間5000ドルのクレジットを利用できる。
またGitHub Enterprise、Visual Studio Enterprise、Microsoft 365などによる10万ドル以上相当の開発ツール、生産性向上ツールを無料で利用できる。そのほか、ベンチャーキャピタルによる投資要件の提示や、第三者によるビジネスの検証、OpenAI によるスタートアップ企業限定の特典や割引提供、Microsoft Learnを通じた起業に特化したトレーニング、メンターリングによるサポートなども受けられる。
日本でも、2021年11月に行われたMicrosoft Azureの関する国内施策の発表会見において、その概要に言及する場面があった。今後、日本においては、中小企業向けビジネスを担当する日本マイクロソフト コーポレートソリューション事業本部のスタートアップ担当チームが中心なって、Microsoft for Startups Founders Hubを推進していくことになる。
アジアのすべてのスタートアップ企業が利用できるマイクロソフトの支援
マイクロソフトアジア チーフストラテジ担当のヘスース・マーチン(Jesus Martin)氏は、「Microsoft for Startups Founders Hubは、技術面からの支援だけでなく、ビジネスのあらゆる場面から、様々な形でスタートアップ企業を支援するものになる。1000人以上の起業家の話を聞き、スタートアップの創業者が直面する課題に確実に対処できるものにしている。アジアのすべてのスタートアップ企業が利用できるものであり、ビジネス創出の障壁を下げ、アジアから世界に向けての成長を促すことになる。創業からユニコーンになるまでを支援できる」などとした。
また、マーチン氏は、アジアが「世界の生産拠点」の立場から脱し、新たなパワーハウスになっていることを指摘。2050年には、アジアが世界のGDPの半分を占めること、2030年には投資の半分がアジアに集中するといった予測データに加え、ユニコーン企業の創出数の成長トップ10のうち、アジアからは中国、インド、韓国の3か国が入っていること、インドでは、毎週のようにユニコーン企業が誕生し、インドのSaaS企業が世界の9%を占めるとの予測があることなどを示し、「世界でベンチャー案件が最も活発な地域はアジアである。アジアは、世界のスタートアップハブであり、メイド・イン・アジアから、ボーン・イン・アジアという言い方に変わることになるだろう」と指摘した。
さらに、「マイクロソフトはスタートアップのライバル企業ではない。これまでに多くのスタートアップ企業の支援を行っており、中国においては過去10年間に、700社以上のスタートアップ企業の成長を支援し、6年連続で中国のBest Acceleratorとして評価されている」などと述べ、「今後もイノベーションのエンジンを持つアジアの企業の成長を、マイクロソフトが支援していくことになる」と語った。
一方、マイクロソフト オーストラリアのSaaSアーキテクトリーダーのケン・トンプソン(Ken Thompson)氏は、「Microsoft for Startups Founders Hubで提供するメンターは、テクノロジーだけでなく、マーケティング、ビジネス、ファイナンスまでをカバーし、必要なアドバイスを受けることができる。
また、マイクロソフトスペシャリストやクラウドソリューションアーキテクトなどの支援を受けて、技術的な意思決定に関わる時間を短縮することもできる。Microsoft Azureで提供される最新のクラウドサービスが利用でき、オープンソース環境も提供されている。オープンソースは開発環境としてはデファクトであり、人材も確保しやすい。
GitHubをはじめとしたコミュニティと協力することで生まれる価値は大きく、スタートアップにとって不可欠なものである。マイクロソフトは、そこも支援をしていく。製品開発の支援とビジネス構築の支援を行うことができるのがMicrosoft for Startups Founders Hubの特徴である」などと述べた。
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