マイクロソフトの「Surface Duo 2」は、「Surface」の名前を冠しながらAndroidを搭載し、なおかつ2枚のディスプレーを360度開閉できるヒンジでつなげて折りたためるという独自色の非常に強い機構を採用した、非常に特徴的なスマートフォンだ。2つの画面とマイクロソフトのサービスを連携してビジネスに活かせるだけでなく、カメラを搭載してよりスマートフォンらしい使い方もできるようになったSurface Duo 2を、実機で確認してみたい。
開くと薄いが横幅が広く片手持ちに注意
まずは外観を確認すると、Surface Duo 2は5.8型のディスプレーを2つ搭載しており、閉じた状態でのサイズは92.1(W)×145.2(H)×11.0(D)mm、開いた状態では184.5(W)×145.2(H)×5.50mm(D)。重量は284gとなる。
閉じた状態での厚さは、折りたたみタイプの「Galaxy Z Fold3 5G」と比べて3mmほど薄いが、幅は70mm台が多い通常のスマートフォンと比べるとかなり広い。これはビジネス系のアプリを利用しやすくするために、横幅が広いディスプレーを採用している影響によるものと考えられるが、360度開いて片手で持ち、通常のスマートフォンと同じ感覚で操作したり、ポケットに収納したりする時はこの幅の広さがマイナスとなってしまう。
ただ開いた状態では5.5mmと非常に薄いことから、両手で持って利用する時のホールド感は悪くない。片手で持つ際も文庫本のようにやや折り曲げて持つと持ちやすいことから、2画面であることを生かし通常のスマートフォンとは違った使い方をしていく必要がありそうだ。
背面は、開いた状態で左の画面側にマイクロソフトのロゴ、右側にカメラが搭載されているのみと、非常にシンプルなデザイン。ガラスを用いた素材感は指紋は付きやすいが触感は非常によく、高級感がある。ただ本体が薄いぶんカメラ部分の出っ張りはかなり目立っており、360度開いた際にもカメラの出っ張りがあるため完全に閉じた状態にはならないのが惜しい。
日本未発売の初代「Surface Duo」はカメラがなかったため出っ張りを気にする必要はなかったが、一方でカメラがなければスマートフォンらしい使い方ができないというのもまた事実。マイクロソフトとしても悩んだ末に、このような形を取るに至ったのだろう。
側面のインターフェースは右の画面側に集中しており、右側面に音量キーと指紋センサーを搭載した電源キー、下部に充電用のUSB Type-C端子が用意されている。また閉じた状態でのヒンジ部分には時計や通知などが表示される仕組みも用意されている。
2画面の有効活用が真骨頂
1画面にしても違和感は少な目
Surface Duo 2の最大の特徴はやはり2画面ということになるだろう。先にも触れたとおりSurface Duo 2は5.8型のディスプレーを2つ搭載しており、それぞれの画面で異なるアプリを動かすことができる。
マイクロソフトとしては、これら2つの画面で別々のアプリを動かし、仕事を効率よくこなすことを重視しているようだ。実際Surface Duo 2には「Office」や「OneDrive」「Teams」などマイクロソフト関連のアプリがプリインストールされていることから、「Microsoft 365」の利用者であればあからじめマイクロソフトのアカウントでログインしておくことにより、これらアプリを活用してパソコンとSurface Duo 2で仕事をシームレスにこなせる仕組みが整えられている。
中でも便利だと感じたのは、一方の画面でTeamsでビデオ会議をしながら「OneNote」でメモを取る、あるいは「Edge」で調べ物をしながら「Outlook」でメールを書くなど、2つのアプリが同時に動かせることを生かした連携プレーだ。別売りの「Surface スリム ペン 2」を使えばOneNoteでのメモも取りやすくなるので、より便利だ。
ちなみに同時に利用する頻度が多いアプリは、アイコンをドラッグして重ねることで「グループ」を作ることにより、2つのアプリを同時に呼び出せる仕組みも用意されている。どちらの画面でどのアプリを開くか設定することも可能なので、2画面を有効活用したいならぜひ作成しておきたい。
もちろん他の2画面スマートフォンと同様に、2つの画面を1つにして8.3インチの大画面で利用することも可能だ。1画面表示をするには、アプリを立ち上げると画面下部に現れるバーを開いた画面の中央までドラッグすればよく、非常に簡単だ。
ただ構造上画面中央のヒンジ部分に縦の線が入ってしまうこと、360度開いてしまうこともあって、折りたたみ型のスマートフォンと比べると1画面にして使う際のデメリットは確かにある。とはいえ、これまでの折りたたみ型スマートフォンよりはディスプレーのベゼル幅が狭くなっているので違和感は減少している。ゲームや動画を楽しむ上ではどうしても限界があるが、電子書籍などであれば有効活用できるのではないだろうか。
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性能は申し分なく2画面同時のゲームプレイも
続いて性能面を確認すると、チップセットにはクアルコム製のハイエンド向け「Snapdragon 888」を搭載し、メモリーは8GB、ストレージはモデルによって128GB、256GB、512GBの3種類が用意されている。発売のタイミングもあって「Snapdragon 8 Gen 1」ではなく1世代前のチップセットとなるが、実績のあるチップだけに性能は申し分ない。
Surface Duoは2画面を活用するだけにゲームプレイ時のグラフィック処理も気になるが、「原神」のグラフィック設定を確認したところ、一般的なSnapdragon 888搭載機種と同様、デフォルトの設定は「中」となっていた。2画面のうちどちらの画面を使ってゲームをプレイすれば快適か? というのは少々悩ましいのだが、いくつかのゲームを最高画質にしても動作は問題なく、プレイ自体は快適だ。
さらに言うならば、高い性能を生かして2つの画面で別々のゲームを動かして同時にプレイしても比較的快適に動作してくれる。もちろんアクションゲームを2つ動かすのは現実的ではないが、一方の画面でアクションゲームをプレイしながら、もう一方の画面でシミューレションゲームを動かす、といった使い方をすれば便利だろう。
バッテリー容量は標準で4449mAhと、最近のスマートフォンでは一般的な容量。2画面動作が必要なだけに、ほかのスマートフォンよりバッテリー消耗は大きいと考えられるが、実際に使用した限りでは大幅に不足するという印象は受けなかった。なお、急速充電は別売りのUSB充電器を用いて、23Wの急速充電が可能となっている。
通信は5Gにも対応しており、物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM構成。5Gはオープン市場向け端末としては珍しく、ドコモの4.5GHz帯(バンドn79)にも対応しているのはメリットだ。
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