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NTT Com データセンター1拠点1.5億円の削減へ ロボット活用による無人化を創出

2022年03月17日 12時00分更新

 ASCII STRARTUPは、AI、ウェアラブル、HR、ロボットにとどまらないさまざまな事業者が集結するビジネス交流イベント「JAPAN INNOVATION DAY 2022 by ASCII STARTUP」を2022年3月11日から18日にかけて開催。3月18日の13時からのセッションでは、「ロボット活用による完全無人化次世代データセンターの創出に向けた共創の取り組みについて」をオンライン配信する。登壇する NTTリミテッド・ジャパン株式会社 主査 今枝 佑介氏に、データセンターの課題とソリューションの概要、セッションの見どころについて伺った。

 NTT コミュニケーションズ(以下、NTT Com)では、オープンイノベーションプログラム「ExTorch」を、2019年度から実施している。第2期の共創プログラムに採択された今枝氏のチームは「完全無人化された次世代データセンターの創出」をテーマに、2021年5月より共創パートナー企業とともに事業化へ向けたPOCを実施している。

 データセンターは年々増加しており、メンテナンスコストの増大と人材不足が課題となっている。データセンターは、1拠点当たり年間約6億円の運用コストがかかっており、その45%が人件費だ。今は人手で行なっている設備点検や巡回をロボットに置き換えれば、1拠点当たり1.5億円のコスト削減が見込める。

 ロボットには、THK株式会社のヒト型ロボットと東京通信機工業株式会社のレール型ロボットの2タイプを採用。ヒト型ロボットは、顔認証による受付/アテンド、設備点検を行なうもの。VPNで遠隔操作するか、またはプログラムで自律移動させることも可能だ。レール型ロボットは、データセンターの天井に張り巡らされたレールを走行し、ブラウザーからの遠隔操作でラック内を360度カメラで映して点検する。

 同時に、ラックやエレベーターなど建物側のロボット対応にも取り組んでいる。現状の建物は人向けに設計されているため、ロボットにはドアやラックの開閉が難しく、ロボット側だけで対応させるには開発コストがかかりすぎる。とはいえ、1つのデータセンターには約4000ラックほどあり、丸ごと新しいものに入れ替えるのも大変だ。

 そこで、部分的なパーツ交換やオプションの追加で対応できるように、リョービ株式会社やタキゲン工業など建具メーカーと連携。設備室の扉にはリョービの既存ドア自動開閉装置「RUCAD」を取り付けて、自動ドア化を実現。ラックにはタキゲン工業が新たに開発した自動開閉装置を装着し、ロボットから信号を送ることで開錠/施錠ができるようにしている。

 現在は、NTTグループが所有するデータセンター内の実験スペースで運用しながら検証をお行なっており、2022年度はデータセンターに加えて、通信ビルでのテスト導入や、他企業や公共のインフラ施設でのPOCも予定している。

「約1年間の実証実験で、データセンターの運用業務をロボットで代用できることがわかってきました。まずはデータセンターで運用実績をつくり、他の電気やガス、水道などのインフラ設備の点検などへとサービスを展開していきたいです」と今枝氏。

 2023年には遠隔操作によるデータセンターの実運用や他社へのサービス提供へと進めていく計画だ。

 1台の汎用的なロボットに複数の業務をさせるのがいいのか、タイプの異なる複数のロボットを組み合わせたほうが効率的なのか、強化すべき機能はどこか、あるいは建具側を改良したほうが早いのか、など検証することは多い。データセンター内は、小さな段差やスロープがあり、ロボットが段差でつまずいたり、パワーが足りずにスロープが登れなかったりしたことから、THKの4輪台車タイプが採用されているが、ほかの施設の構造や保守の内容によっては、別のロボットやドローンなどの選択肢も出てくる。また施設内を複数のロボットが稼働するようになれば、お互いが干渉しないように全体を制御するシステムも必要になってくる。

 今枝氏のチームでは、サービスの拡充や横展開へ向けて、さまざまなロボットメーカーや建物・建具メーカーの共創パートナー、またPOCの場所を提供してくれる施設を広く募集している。バリアフリーやユニバーサルデザインと同様、今後はロボットに対応した建築・建具のニーズが確実に高まってくる。これまでロボットやITとは縁のなかった業界も今のうちに参入しておくと将来のビジネスチャンスになりそうだ。また共創パートナーは、データセンター内の実験スペースと、NTT Comが新たに開設した共創スペース「OPEN HUB Park」(参考リンク)が利用できるのもメリット。この取り組みを通じて、5G環境とロボットを活用した新しいサービスをつくることも可能だ。

 なお、18日のセッションでは、NTT Comの共創プログラム「ロボット活用による完全無人化次世代データセンターの創出」の取り組みの紹介とともに、ロボットを遠隔操作するデモストレーション、データセンター内で受付や点検作業をしている様子の動画を紹介する予定だ。NTT Comとの共創やロボットの社会実装に興味のある方はぜひチェックしよう。

ロボット活用による完全無人化次世代データセンターの創出! 
オンラインセッション「JAPAN INNOVATION DAY 2022」3/18配信

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