モーハナラージャ・ガジャンCEOが講演 DeepTechスタートアップの創出や成功に向けた支援の実態と展望(前編)
ソリューションがなければユーザーも生まれない。ラピュタロボティクスが目指す「ヒトとロボットの共存社会」
ラピュタロボティクスの目指すソリューションプロバイダーの姿
ラピュタロボティクスは、そんなNEDO事業の支援を受けたスタートアップ企業の1つだ。
代表取締役CEOのモーハナラージャ・ガジャン氏(以下、ガジャン氏)は、スリランカ出身、文部科学省の奨学金を得て来日し、久留米高専、東京工業大学で修士過程を修めた後、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で博士号を取得。2014年に、スイス連邦工科大学チューリッヒ校からスピンオフし、同郷かつ東工大で共に学んだクリシナムルティ・アルル氏とラピュタロボティクス株式会社を設立した。
NEDOからは、これまでに「Connected Industries実現のための開発」の費用として2020年9月に1億7000万円、「フォークリフト自動運転のための認識システム開発」の費用として2021年に1億円の支援を受けている。
事業化も進んでおり、日本通運の平和島倉庫や、佐川グローバルロジスティクスの柏SRCや堺SRCなどで、同社による協働型ピッキングアシストロボット(以下、ラピュタPA-AMR)が導入されている。
同社は2014年に設立したスタートアップ企業で、現在の社員数はおよそ140名にもおよぶ。本社は東京都江東区にあり、インドに連結子会社としてRapyuta Robotics Private Limitedを構えるなど、順調な成長を遂げている。
代表取締役CEOのガジャン氏は、事業にロボティクスを導入して自動化を図ろうとした際に、「柔軟性の欠如」が課題になると話す。その理由として、企業が、ハードウェア主体の自動化オペレーションを組もうとするケースが多く、ハードウェアの機能にプロセスが依存し、他のソリューションと連携したオペレーションが組みにくくなっている点などを挙げた。
ハード依存の考え方が浸透しているために、ロボティクス分野で事業化を進めようとしても、“少し先の未来が見通せる範囲”にしか投資が進まないという現状にも言及した。
ガジャン氏が目指すのは、「WindowsというOSがさまざまなハードウェアで扱えるように、あるいはAndroidというOSがさまざまなスマートフォンで扱えるように」、ラピュタロボティクスの開発しているクラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」が、多彩なロボットに実装される未来だ。
このような世界観を「ニワトリと卵」の例になぞらえ、「ソリューションがないからユーザーがいない」「ユーザーがいないからソリューションが生まれない」という状態を説明。ラピュタロボティクスがソリューションプロバイダーになることで事例が生まれ、成功事例が新たなユーザーをプラットフォームに集める結果になると語った。
提供:国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)
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