急に気温があがり、ぽかぽかした陽気になってきたのでランチを食べに行ったついでに足を伸ばして自転車で気持ちよくあてどなく走っていたら、昔、猫が多く遊んでいた農地の前に辿り着いた。
あの頃、猫たちが自由に遊んでいた農地やら空き地やらは道路工事やら開発やら何やらで殺風景になっていて、猫の1匹もいなさそうだったので休憩でもするかと自転車を降りて座ってたら、どこからともなくとことこと歩いてくるヤツがいる。
おお、どこに隠れてたんだよ、と思いつつ慌てて買ったばかりの「SIGMA 90mm F2.8 DG DN」をつけたソニー「α7C」を構えて撮る。リアルタイムトラッキング猫瞳AFのおかげで、いきなり歩いてくる猫にフォーカスを合わせ続けてくれるのだ。これはありがたい。
そしてこの猫ときたら、ものすごく人なつこくて、すりすりと甘えてくるのである。おかげで動けなくなってしまった。
こんな距離に来られては写真とれん。今回のレンズはコレなのだ。カメラにつけてるレンズは中望遠。足元にすりよる猫よりもちょっと離れた猫を撮るのに向いてる構成で、足元にこられても困るのだ。こういう日にかぎってこうである。
でも、この90mmレンズは50cmまで近寄れるというのだ。左腕を伸ばしてだいたいこのくらいならいけそう、とレンズを向けてみたのが冒頭写真。さらにギリギリまで寄ってみた。鼻ではなくて目にピントがちゃんときてくれるのがリアルタイムトラッキング猫瞳AFの良さだ。
でもここで「こんなこともあろうかと」と持ってきた24mm F3.5に交換。至近距離でぐぐっと寄れる広角レンズだ。
さて、ずっと猫を撫でていては日が暮れてしまうわけでそれはまずい。後ろ髪をひかれつつ、そろそろ帰宅の途につくかと自転車にまたがって走りはじめるのだが、ついつい何か面白いことはないかとはじめての道に入り込んでしまう。
迷わないようにしなければと方角を確認しながらゆっくり走っていると、周辺視野が「あれ猫じゃね?」と信号を発したのである。自転車で走ってると周辺視野からのささやきに敏感になるのだ。もちろん安全運転という意味で。で、自転車をとめ、ちょっと戻ってみると、確かに猫である。背中を向けてるけど猫である。
猫なら知らない人が近づくと警戒モードになるはずだけど、近寄っても背中を向けたまま何の反応もしない。
もしや、と思って彼の後ろに回って見ると、遠くに猫がいたのである。そっちに気を取られていたのね。どんな関係かはしらないけど。
やはりそういうわけであったか、というと、ふにゃあとあくびをして返事してくれた。
周辺をよく見るとほかにも猫がいる。似た模様の猫が多いところを見ると、血縁関係にあるのだろう。去勢した印である耳のカットがされた猫とされてない猫がいるところを見ると、去勢が間に合わなくて増えてしまったか、捕獲できない個体がいるか、その辺の事情はわからないのだけど、とことこと歩いてる猫がいたらつい撮っちゃうのである。
目の前を横切りつつ去っていった猫を見送って視線を戻すと、さっきのあくびしてた猫がいない。どこだ? と思ったら、なんと足元にいた。鳴くでもなく甘えるでもなく、ただ見てないうちにそっとやってきて足元にちょこんと座ってたのである。
急に猫がきたときはiPhoneの出番だ。アクロバティックな姿勢でもなんとか撮れちゃうのがスマホの強さ。iPhoneを持った右手を猫の前にぐぐっと伸ばしてリアカメラで撮ったのだった。
とまあ、ポカポカ陽気に誘われた距離感が近すぎる猫2匹、それもキジトラ系ばっかになってしまったけど、今回はそういうことで。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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