京阪神スタートアップアカデミア・コアリション(KSAC)は、内閣府がスタートアップ・エコシステム拠点のグローバル拠点都市として認定した、京阪神エリアにおいて、京都大学が主幹機関となり、京阪神内のl5大学、産業界、金融界、そして京阪神の自治体や支援機関、合計41機関が参画している。
京阪神の産官学金が一体的に連携し、大学発の研究シーズの事業化や、学生起業家育成と輩出、アントレプレナー教育の推進等、大学を中心としたスタートアップの創出に取り組む、プラットフォームである。
また、KSACは、文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構「SCORE 拠点都市環境推進型」、「STAR大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援」に採択をされており、起業活動支援事業(GAPファンド)、アントレプレナーシップ人材育成プログラムの開発と運営、起業環境の整備、拠点都市のエコシステム形成と発展といった4つを軸としている。
その中で、起業活動支援事業(GAPファンド) では、大学の研究成果と事業化のギャップを埋めるための資金である、『GAP ファンド』の公募、審査、そして運営を行っている。
内閣府「スタートアップ・エコシステム拠点都市の選定について」 (https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200714.html)
2022年2月3日、4日の2日間にわたり、そのGAPファンドに 2021年度に採択された26プロジェクト(PJ)が持つ技術シーズをもとにした事業構想を発表する「KSAC Demo Day 2022」が開催された。とかく米国の大学、研究機関と比べて産業を産み出す熱意が薄いと見られがちな日本のアカデミアだが、KSACのDemo Day に参集したPJはすべてここ数年での起業を目指したエネルギー溢れるものばかりとなっている。
コロナ禍によりすべてオンラインでの開催となったDemo Dayは、インターネット上にKSACオリジナルの会場を設営して YouTube経由でライブ配信された。ライフサイエンス、ヘルスケア、ものづくり、情報通信などのカテゴリにわけて発表された26個の新規事業のタネを紹介しよう。
なお、本記事では各PJのほんのさわりのみの紹介となるので、より詳しく知りたい方はYouTubeのアーカイブ動画(https://www.youtube.com/watch?v=POPMQ5zrFV8)をご覧頂きたい。
産官学金の強力な連携がスタートアップエコシステムを離陸させる
26PJのプレゼンテーションに先立ち、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、SCORE 大学推進型拠点都市環境整備型委員長の北岡 康夫氏により、開会の挨拶が行われた。
関西地区は日本で2番目に大きな経済圏ではあるものの、スタートアップの投資額については関東に比べて10分の1程度であると言われている。そういう状況であるからこそ、関西の主要大学や産業界が連携してスタートアップエコシステム拠点になるというのは非常に重要であるという指摘が北岡氏からなされた。
「KSACは“STAR 大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援”の5年間のプロジェクトが採択された中で、初年度を迎えている。本日のDemo Dayを機に大きな発展を遂げて、5年後に関東に並ぶ2つ目のエコシステム拠点都市になることを祈念している。
特に2025年に「大阪・関西万博」が開催されるということで、この5年以内に大きなイベントがある。そういった意味において、関西全域、京阪神地区が一体となって取り組むのは、絶好のチャンスではないかと思っている。
関西の取り組みが全国全世界に波及すると、我々大学を卒業したOBOGももう一度関西に戻ってきて一旗揚げてやろうということにつながるかなというところもある。まずこういうような取り組みの中でそういったOBOGも巻き込んだ形で関西を盛り上げていければと期待している」(北岡氏)
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