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道交法改正案の閣議決定で自動配送ロボットの実装へ

2022年03月10日 07時00分更新

 2022年3月8日、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「自動配送ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けたシンポジウム~自動配送ロボによるラストワンマイルの現在を知る~」を赤坂インターシティコンファレンスにて開催。経済産業省による社会実装へ向けた進捗状況についての講演、自治体や企業による自動配送ロボット実証事例の紹介、自動配送ロボットを活用した配送サービス実現を加速させるための社会受容性やビジネスモデル検討などについてのパネルディスカッションが実施された。

 開会のあいさつでは、経済産業省大臣政務官 吉川ゆうみ氏の代読として経済産業省商務・サービスグループ担当審議官 澤井 俊氏が登壇した。

経済産業省商務・サービスグループ担当審議官 澤井 俊氏

自動配送ロボットは実証から実装のフェーズへ

 講演「自動配送ロボットの社会実装に向けて」では、経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課長兼物流企画室長 中野 剛志氏が登壇。

 物流業の人手不足、宅配個数の急増、高齢化による生活必需品の調達需要の増加など、ラストワンマイル問題の解決策として自動配送ロボットの活用が期待される。米国や中国では自動配送ロボットの実用化が加速している。

 日本では、道路交通法上で公道走行が認められていないことがネックになっていたが、この2022年3月4日に道路交通法の改正案が閣議決定され、一気に自動配送ロボットの制度化が進む見込みだ。また産業界でも2022年2月18日に一般社団法人ロボットデリバリー協会が発足し、実装へ向けた環境が整ってきている。

2022年2月18日に発足式も行われたロボットデリバリー協会
https://robot-delivery.org/

 今後、経済産業省・NEDOでは、公道における自動配送ロボットの早期社会実装に向けて、様々な地域での実証実験を継続して地域のニーズに合ったサービスを検証していくとともに、社会受容性を確保するための情報発信や事例の見える化、関連情報の集約の整備に取り組んでいく。

経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課長 兼物流企画室長 中野 剛志氏

 続いて、茨城県つくば市と岡山県玉野市における自動走行ロボット実証の取り組みと、令和2年度補正NEDO事業「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」での楽天グループとパナソニック株式会社の実証事例が紹介された。

 つくば市政策イノベーション部長の森 祐介氏は、つくばスーパーサイエンスシティ構想の取り組み事例と、スマートシティ推進にあたっての倫理原則を策定した「つくばスマートシティ倫理原則」を紹介。

つくば市 政策イノベーション部長 森 祐介氏

 玉野市 公共施設交通政策課 主査 甫喜山 昇平氏は、玉野市の抱える公共交通の課題と、三菱商事・三菱地所・東京海上日動が玉野市で実施した自動配送ロボットの実証実験を紹介。

玉野市 公共施設交通政策課 主査 甫喜山 昇平氏

 楽天グループ株式会社 ドローン・UGV事業部 シニアマネージャー 牛嶋 裕之氏は、2019年の横須賀市うみかぜ公園内、2020年の東京リゾートタウン蓼科グランピング施設内での配送実験と、2021年3月~4月に実施した横須賀市馬堀海岸での公道走行の実験を紹介。

楽天グループ株式会社 ドローン・UGV事業部 シニアマネージャー 牛嶋 裕之氏

 パナソニック株式会社 ロボティクス推進室室長の安藤 健氏は、パナソニックの工場跡地であるFujisawa SSTにおける実証実験を紹介。

パナソニック株式会社 ロボティクス推進室 室長 安藤 健氏

 後半のパネルディスカッションには、経済産業省中野 剛志氏、楽天グループ株式会社の牛嶋氏、パナソニック株式会社安藤 健氏、つくば市の森氏、玉野市の甫喜山氏と、モデレーターとして日本総研の東博暢氏が参加。自動配送ロボ・サービスの本格展開や、社会実装を実現するための具体的な方法について議論した。

 イベントの最後には、デジタル庁 統括官国民向けサービスグループ長の村上 敬亮氏がオンラインで特別講演を実施。「デジタル田園都市国家構想の紹介」と題して、地域におけるデジタル田園都市構築の課題とデジタル庁によるデータ連携基盤の整備の支援について講義した。

 なおNEDOでは、「自動走行ロボットを活用した配送サービスを普及・発展させていくための人材の育成・交流・研究の活性化にかかる特別講座」として全5回のシンポジウム・セミナーの開催を開始。今回がシンポジウムがその1回目にあたり、次回は5月に開催予定だ。

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