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メタバースにも応用できる、室内向け光通信システムをPureLIFIが発表

2022年03月07日 17時00分更新

 Wi-Fiでも4Gや5Gでもない「第3の通信方式」として実用化が進められているのがLi-Fi(ライファイ)です。光を目の見えない速さでON・OFFすることで通信するLi-Fiは、たとえばWi-Fiの設置ができないところでも設置できます。光を使うのでアクセスポイントは天井のライトのシーリングと合わせて設置できるというメリットもあります。

 1月にラスベガスで開催されたCES 2022ではフランスのOledcomm社がLi-Fiに対応したタブレット「LiFiMAXTab」を展示しており、商用化は目前まで迫っています(Wi-Fi不要、光で通信できるタブレット「LiFiMAXTab」がスゴイ!)。

 一方、2月末にバルセロナで開催されたMWC Barcelona 2022ではpureLiFi社が家庭内のネットワーク体験を向上させる「LiFi@Home」を発表しました。今回、現地で取材を行っている富永彩乃氏(@ayanotdo)にブース取材をお願いしました(以下、写真は同氏撮影)。

MWC 2022に出展したpureLiFi社

 pureLiFiはスマートフォンに装着するケースにLi-Fiのアンテナ(受光器)を内蔵した製品などをすでに発表しています。今回発表したLiFi@Homeは天井などに取り付けるアクセスポイントを使い、室内のスマートTVやケースをつけたスマートフォンなどをWi-Fi無しで接続できるエコシステムです。

LiFi@Homeのイメージ

天井に取り付けるライト型のLi-Fiアクセスポイント

 pureLiFiによると、同社のLi-Fi通信速度は一般向け製品で300Mpbsから1Gbpsとのこと。MWC Barcelona 2022の会場では残念ながら同社ブース内に設置したアクセスポイントから先のネットワークが不安定だったこともあり、スピードテストは行なわれていませんでした。

コンセントに装着できるアクセスポイント

 スマートフォンはモトローラの端末用のものが展示されていました。フロントカメラの横と本体上部、2ヵ所にLi-Fiアンテナが内蔵され、天井などからの光をどちらかで受光することで通信します。

Li-Fiケースをつけたモトローラのスマートフォン

 ケースの裏側にはバッテリーが内蔵されています。現時点ではスマートフォンにLi-Fiモジュールが内蔵されていないため、別途電源が必要となります。ケースをつけたスマートフォン同士での通信も可能で、データ転送だけではなく画面表示のシェアも可能とのこと。Wi-Fiより遅延が少ないとのことで、画面シェア時の相手側端末での表示もタイムラグが少ないようです。

ケース裏側はバッテリーを内蔵

 スマートTVにLi-Fiのアンテナを取り付ける使い方は便利かもしれません。TVは室内で移動させるものではありませんから、天井からのアクセスポイントからの光通信を受光しやすいでしょう。pureLIFIのブースでは実際にスマートTVとケースをつけたスマートフォンの間でのローカル通信のデモも行なわれていました。

サムスンのスマートTVにLi-Fiアンテナを張り付けた例

 さてLi-Fiが最も活躍する用途、それはメタバースかもしれません。VRやARヘッドセットを室内で使用中に移動すると、本棚などにWi-Fiの電波が遮られ速度が低下してしまう恐れがあります。また病院などではWi-Fiの設置ができないケースもあるでしょう。現状ではWi-Fiが使えないときは有線LANケーブルをヘッドセットに接続する必要がありますが、それでは動きにくくなってしまいます。

 Li-Fiならば天井からの光をヘッドセットが受ければ通信できます。障害物に遮られにくいため、室内のどの場所でも安定した通信環境を利用できるというわけです。そしてWi-Fi設置ができない場所でも使うことができるわけです。

AR・VRヘッドセットにLi-Fiは有用な使い道になりそうだ

 pureLIFIはスマートフォンへのLi-Fiモジュール搭載をメーカーと検討中とのことですが、モジュールのさらなる小型化も必要でしょうから、しばらくはケースタイプの製品でスマートフォンに対応するものと思われます。今回発表したLiFi@Homeのターゲットは一般家庭なので、まずは室内のWi-Fi代替用途として近いうちに家電量販店などで「Li-Fi通信キット」のようにして販売されるのでしょう。商用化される日が楽しみです。

Li-Fiのアンテナ。スマートフォンに内蔵するにはより小さくする必要もあるだろう

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