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デジタル1眼「OM-1」が出るぞ記念で初代OM-D(オリンパス)で撮った猫を発掘

2022年03月03日 12時00分更新

多摩丘陵を歩いてるときに見つけたチャトラ。遠かったのでパナソニックの100-300mmという超望遠ズームで撮影したのだった。緑によく映える。2012年4月 オリンパス OM-D E-M5

 1972年、オリンパスは小型軽量の一眼レフ「OM-1」を発売した。いや正確にいえば1972年に出たのは「M-1」で、ライカ社から製品名変更の申し入れがあり、翌年から「OM-1」になったのである。

 それから40年たった2012年、オリンパスからOM-Dシリーズとして「E-M5」が発売された。デザインやコンセプトはフィルム時代のOMシリーズを受け継いでいたけど(あの頃はまだ頭が三角に尖ったレトロな一眼レフっぽいミラーレス一眼は他になかったのだ)、レンズマウントの互換性は無し。そもそもOMシリーズはMFカメラだったし。

左が1972年発売の初代OM-1(M-1)。右が2012年発売の初代OM-DであるE-M5。よく似てる(似せたんだから当たり前だけど)

 そしてさらに10年。オリンパスの映像事業が切り離されて「OMデジタルソリューションズ」という会社になり、その最初のフラッグシップモデルが先日発表されたのである。その名も「OM-1」。そのまんまやん、とツッコミたくなる名前なのだけど、新会社の新モデルとして原点に立ち返って今の時代の小型軽量で実用度が高いカメラとなると、妙にいじくった名前よりシンプルに「OM-1」にした方がいいということなんだろうなと思う。

 今回は「OM-1」復活記念(って書くと、50年前のOM-1の復刻モデルかと思っちゃいそうだけど)である。さすがに新しいOM-1は間に合わなかったので、10年前に出た最初のOM-Dである「E-M5」で撮った猫写真を引っ張り出してみた。OM-Dの歴史はここからはじまったのだって感じだ。実は当初E-M5を買う気はなかったのである。でも、ちょっと使ってみたら予想以上に使い勝手も性能もよく、それまで使っていたマイクロフォーサーズ機(パナソニックのDMC-G3を愛用していた)のレンズをそのまま使えることから、買っちゃったのである。

 あの頃はモニターがチルト式なので地面すれすれの猫目線で猫を撮れるのも気に入っていたのだけど、まさか背面モニターがいつのまにかバリアングル式に変わっちゃうとは夢にも思わなかったわ。そして撮ったのがこの枯葉に埋もれた長毛猫。ちょうど10年前だ。

当時よく通ってた公園でなじみの(でも警戒心が強くて懐いてくれなかった)長毛猫。名前は「モップ」。這いつくばって撮りました。2012年2月 オリンパス OM-D E-M5

 冒頭写真なんか、100-300mmの望遠ズーム(パナソニックのやつです)をつけて、地面すれすれで遠くの猫を撮ったもの。今のミラーレス一眼と比べるとディテールの描写が甘いとか思っちゃうけど、10年前は最高に楽しめるカメラだったのだ。

 今回、10年前の写真をあれこれ見返してると、ミラーレス一眼ってこの10年でものすごく進化したなあと思う。同じマイクロフォーサーズでも全然違う。レンズがすごく進化してディテールの描写力が上がってるし、AFも速く正確になってるし、高感度時の画質も上がってる。

 10年前はちょっと暗いとディテールがつぶれちゃってたんだよなあ、と思いつつ、舌でペロッと鼻を舐めた瞬間の写真が気に入ってるのでそれを。なじみの公園にいたきれいなハチワレ猫だった(過去形)。

 この公園にはもう猫はいない。猫ボランティアの方がちゃんと捕獲して去勢して、里親希望の人がいれば探して、と地味に活動しつづけた結果、猫がいなくなったのだ。地域猫活動が成功した例といっていいだろう。

こちらも「モップ」と同じ公園で。薄暗かったけどシャッタースピードを上げて高感度で撮影したおかげで舌がきれいに撮れた。2012年4月オリンパス OM-D E-M5

 E-M5発売直後からの猫写真を探していたのだけど、この頃はサイズ感が気に入って毎日の様に持ち歩いてたので、猫写真もやたらいっぱいあって選ぶのが大変だった。モニターを開いては猫目線アングルで撮りまくってたのだ。

 次の猫は河原にいた灰色猫。どう撮っても顔にフェンスがかぶるんだけど、ちょうどあくびをしてくれたのでそれでもいいや、と撮った1枚だ。ピントはフェンスの下に覗いてる猫の胸元に合わせた。今思うと、あくび顔がフェンス越しというほどよい残念さがいい感じに思えるから不思議だ。

多摩川河原猫。フェンスの下から顔を出してくれないかなと狙ってたら、大あくびしたのでとっさに撮ったのだった。2012年5月 オリンパス OM-D E-M5

 塀の上にいる猫を下から狙うときも、チルト式モニターは重宝したものである。この写真は谷中。塀の上を歩いていた黒猫がぎりぎりまで出てきてくれたのでローアングルで狙ったら、舌がちょろっと出てたのだ。ローアングルだからこそ見えた舌。

塀の上猫をローアングルで。ちょっと身を乗り出してくれたおかげでいい感じに赤い舌も撮れた。2012年5月 オリンパス OM-D E-M5

 もうちょい行こう。夕方、帰宅しようと駅に向かって歩いてたら、猫を散歩に連れ出してたおばあさまがいたので撮らせてもらったのだ。いつも夕方になるとハーネスをつけて神社に散歩に来てると言ってた。

ハーネスをつけられてお散歩に来たキジトラ。もう慣れたもので、このあと地面に下ろされておばあさまと一緒に仲良く神社を散歩したのだった。2012年5月 オリンパス OM-D E-M5

 もう1枚抱っこ猫を。ここまではズームレンズで撮った猫だったけど、最後の1枚は単焦点。パナソニックから出てたLEICA 25mm F1.4。

 とある公園で保護された猫。どうやら捨てられたばかりだったみたいですごく人なつっこく、保護猫活動をしているおばさまにおとなしく抱っこされてたので、左手の人差し指をくんくんさせつつ、ふがふがしてる顔を撮ったのだ。

ボケがきれいなレンズだった。この人なつこい猫、そのあとどうなったのか聞いてないけど誰かの家で元気でいるといいなあと思う。2012年6月 オリンパス OM-D E-M5

 そんなわけで、E-M5発売から4ヵ月分の猫写真から発掘してみた。新しく出るOM-1は、E-M5より大きく重くはなってるものの、めちゃ高速で高感度にも強くなってとうとう猫AF機能もついたというので今から楽しみである。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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