富士通は2月24日、ソフトウェアにより仮想化した5G SA(Stand-Alone)方式対応基地局を新たに開発したと発表。3月より通信事業者向けに検証用としての提供を開始する。
近年は汎用サーバーで構成された仮想化基地局の導入に注目が集まっている。仮想化基地局は要件ごとの専用ハードウェアの開発が不要で機器調達や構築コストは削減できるが、従来型の無線基地局と比較して性能効率が低下する傾向があり、安定性や冗長性においてもキャリアグレードの通信品質を十分に担保できない場合があるという。
富士通では、ソフトウェアの制御方式を改善することで通信速度の高速化を図るとともに、通信可能な範囲を2倍から4倍に向上。変化する基地局の利用状況(通信量)に応じて演算リソースを柔軟に変更し、余剰なリソースを削減して消費電力を低減する技術を開発。また、AIにより将来の通信量の変動を予測したうえで、同社独自の量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」を用いて多数の基地局の電波が重なる環境下での無線装置(RU)と仮想化基地局(CU/DU)の組み合わせの中から最適な接続先を導き出す問題を高速に解くことで、最適な演算リソースの配分を可能にする技術を開発。
従来の仮想化基地局の課題であった低消費電力化と高性能化の両立を実現。高品質かつ安定した通信を提供しながら、従来の基地局と比較してシステム全体のCO2排出量を50%以上削減することが可能となるという。
同社では今後、仮想化基地局をグローバルに展開するとしており、2月28日~3月3日の期間にスペインで開催される「MWC Barcelona 2022」に出展する予定。
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