2DアクションのX(極限)突破(ブレイク)。ゲームオブゲームを駆け抜けるスピード感
テレビゲームの歴史の初期から、画面横方向に進み続ける「2Dアクションゲーム」は数え切れないほど制作されてきた。今でこそ3Dゲームが主流になっているが、それでも「ゲーム」と聞いてイメージされる一般的なイメージは2Dアクションゲームであると思われる。王道中の王道のジャンルであり、だからこそゲームクリエイターの地力というものが如実に現れるジャンルといえるだろう。
ハードが進化し、2Dアクションがマイナーなジャンルとなっていく中で、ゲーム全体に大きな変化があった。それは、「HD化」だ。ゲームの多くが3Dになっていった「その後」に、画面の比率は「16:9」が標準となった。つまり、画面が横に広くなったわけだ。これが、2Dアクションに何をもたらしたのか。
答えは、「画面の変化の少なさ」だ。画面内のキャラクターの大きさと移動速度が従来と同じなら、4:3の画面よりも16:9の画面の方がスクロールや画面の変化が少なくなり、ゲーム全体が鈍重に感じられる。『白き鋼鉄のX2』はこの問題に対し、正面から解決を試みている――そう、移動が非常に高速で快適なのだ。
『白き鋼鉄のX2』のダッシュ速度は速く、距離も長く、角度も自在に調整できる。残像が発生するところに「中二心」をくすぐられる人も多いだろう。アクションゲーム制作のベテラン、インティ・クリエイツのダッシュだけあって、その手触りは抜群で、プレイは心地よい。これはただキャラクターアクションだけを作り込んでいるというシンプルな理由ではなく、レベルデザインとの総合的な調和がこのプレイ感覚を生み出しているのだ。
2Dアクションを遊ぶときの視点を思い出してほしい。プレイヤーは画面右半分を注視していることが多いだろう。この領域が広くなったということは、敵キャラを発見したり、その敵キャラに対する判断に対して猶予が多く発生しているということだ。プレイの過程で熟練したプレイヤーは、この猶予を短くしたいと無意識に考えている。
「倒し方はわかっている」「安全に避ける方法をしっている」としたら、「速く移動して自分の操作を実行したい」そして「そのために何度もダッシュできる」。こうして欲求が次々に解決されていくので、このゲームは「キモチイイ」のだ。広くなった画面を惜しみなく高速で通過していくことで、誰がプレイしてもスピード感を感じることができるだろう。
達人の境地を味わう「モードディーヴァ」によるオーバードライヴ
本作はけっして簡単なゲームではない。しかし一方で、けっして理不尽なゲームではない点を強調したい。敵や地形それぞれに明確な攻略法があり、プレイ中に提示された手段で必ず撃破できるようになっている。
苦戦しつつもコツを掴みかけたとき、本作のスコアである「クードス」が増え始めるのだ。やがてクードスが1000を超えたとき、相棒のRoRoが球状の姿から「モードディーヴァ」の歌姫へと変身してBGMを変化させ、主人公・アキュラはオーバードライヴ状態となる。
オーバードライヴではアキュラの機能が大幅に強化されるので、より爽快なプレイが可能だ。とくにダッシュの回数制限が緩和される点に開放感があり、RoRoのボーカルに合わせてステージを突き進む快感は特筆に値する。是非プレイして味わっていただきたい。
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