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最上位機の価格は40万円弱

ソニーが最上位ウォークマン刷新、金メッキ銅筐体の「NW-WM1ZM2」とアルミ筐体の「NW-WM1AM2」

2022年02月09日 10時00分更新

 ソニーは2月9日、ウォークマンシリーズのハイエンドモデル「NW-WM1ZM2」と「NW-WM1AM2」を発表した。価格はオープンプライス。ソニーストアでの販売価格はWM1ZM2が39万6000円、WM1AM2が15万9500円になる見込み。発売は3月25日を予定している。

中央の2モデルが新製品

 先週からウォークマンの製品サイトでティザー告知されていた。Signatureシリーズのウォークマンとしては、2016年に「NW-WM1Z」と「NW-WM1A」の2製品があった。新製品はこれらの型番の末尾にM2が付いていることから分かるように、その後継機種となる。WM1Zは金メッキした無酸素銅切削筐体のプレミアムモデル、WM1Aはアルミ切削筐体のスタンダードモデルだ。

NW-WM1ZM2

NW-WM1AM2

 本体サイズは約80.5×142.5×21mmで重量は約490g(WM1ZM2の最大外形寸法、WM1AM2は0.2mm薄く、約299gと軽量になる)。

 市場ではストリーミング対応モデルが人気であり、ハイレゾ対応の高音質機への関心も高まっている。これを背景に5年ぶりに刷新されたフラッグシップ機となる。ストリーミングサービスやアプリ追加に対応するため、OSがLinuxベースからAndorid 11に変わった。また、ウォークマン専用のWMポートからUSB 3.2 Type-Cを搭載。画面サイズが4インチから5インチに大型化し、解像度も1280×720画素に向上。連続再生時間も最大40時間に伸びている。

 内蔵メモリーの容量は256GB(WM1ZM2の場合)、デジタルアンプS-Master HXの搭載といった点は変わらないが、ハイレゾ相当の再生をするDSEEは、AI機能などを活用して高精度なアップスケールをする最新のDSEE Ultimateとなった。CD相当のロスレス音源をアップスケールできるほか、ZX500やA100に搭載していたものよりもバージョンが新しく、ストリーミング再生アプリやワイヤレス再生時にも効果が得られるのが特徴。DMP-Z1が採用したDSDリマスタリングエンジンも対応する。DMP-Z1は5.6MHzだったが11.2MHzに向上している。

背の高いコンデンサーを要所で使用している。ポータブル機でカスタムパーツを選択するメーカーはソニー以外ではあまりない。

 音質面ではデジタルアンプのチップこそ同様だが、パーツとシャーシを大きく進化させ、音質についても最初から作り直した。特にWM1ZM2ではシャーシの低抵抗化にも取り組み、銅の純度は99.96%から99.99%(4N)にアップしたという。リアカバーはアルミだがコストのかかる削り出しにしている。WM1AM2ではアルミ筐体、削り出しではないプレス加工のアルミリアカバーとなっている。

銅から削り出したシャーシ

リアカバー

 内部的な改善点は多い。まず電源部は新開発の高容量個体高分子コンデンサー、FTCAP3 6.3mm大型パスコン、巻き線コイル、無酸素銅切削ブロック、バッテリー電源ケーブルにOFCケーブルを採用といった強化ポイントを持つ。フルサイズコンポではカスタムコンデンサーを採用する例は多いが、ポータブル機でここまでやるのは珍しい。結果、クリアな音質と表現力の向上に寄与するとする。

 オーディオラインの最適化という観点では、全接点に金を添加した高音質ハンダを使用。Filled Via構造に加え、WM1ZM2ではバランス駆動用の4.4mmヘッドホン端子にキンバーケーブル製の極太線材を使用している。広がり感や定位感、微細音の再現力アップにつながったとする。

4.4mmのヘッドホン出力用に用いられている極太線材。

 クロックの最適化については、金蒸着超低位相ノイズ水晶発振器を採用。水晶片の電極を通常の銀ではなく金蒸着で形成している。DMP-Z1と同サイズで、WM1よりサイズが大きくなってしまったが、性能向上が得られた。楽器の分離、低音の量感アップができたとする。

水晶発振器には金蒸着を使用している。

 Andoroid化のメリットはアプリが追加でき、SpotifyやAmazon Music、Apple Musicなど幅広いサービスを活用できる点だが、音質面で不安を感じる人がいるかもしれない。新製品では徹底したノイズ対策と電源部の強化によって、音質への悪影響を減らしている。ちなみに、音楽ストリーミングアプリ以外も追加可能だが、音質最優先の設計でGPSは非搭載のため、GPSが前提になっているアプリは動かない可能性があるという。

Amazon Musicなどでストリーミングされたハイレゾ音源もしっかりと再生できる。

 UIについてもカスタマイズされている。ホーム画面と再生画面が新仕様になっている。音楽再生用のウィジェットが追加されたほか、音楽アプリで再生中のUIではジャケットの色が適用され、楽曲ごとに背景色が変わる仕様となっている。

エイジングカウンター

 面白いのはエイジングカウンターの機能だ。新製品では200時間のエイジングが推奨されているが、W.MUSICで再生した際に4.4mmバランス駆動用端子で200時間、3.5mmのアンバランス端子で200時間再生できているかを確認することが分かる。

 大画面化によって搭載できるバッテリーの容量が増え、2.8MHzのDSDファイルの再生時で約15時間、FLACのハイレゾ音源(192kHz/24bit)で35時間の再生が可能となった。バッテリー容量の増加は低域の安定感など音質面での効果もあるという。

専用カバー

 装着したままUSB Type-C経由で充電できる革製の専用カバーも実売1万1000円で用意されている。

 短時間試聴できたが、音場感、S/N感、空間の広さ、臨場感などすべての面で従来機種からのクオリティアップを実感できた。面白いのは新しい「WM1AM2」と旧世代の上位機「WM1Z」を比較した際に、かなり近いクオリティの再生ができている点だ。WM1Zのユーザーでストリーミング機能などが欲しいが、40万円の出費は厳しい……と考えている場合、WM1AM2でもかなり満足できるクオリティが得られるかもしれない。

 ちなみに、これがWM1ZM2になるとどうなるかというと、かなり音が柔らかくほぐれ、低域の量感も増してくる印象を持った。アルミ筐体のWM1AM2のほうが忠実再現、WM1ZM2はこれに音楽性やリスニング寄りの味わいが乗ると言ってもいいかもしれない。音質の差は確かにあるのだが、好みの傾向もあるので価格だけで優劣を決めるのは得策ではないかもしれない。組み合わせるヘッドホンによる差などもあるだろうから、気になる人は店頭などで体験してはどうだろうか。

エコを意識したパッケージ

 ソニーでは「NW-WM1ZM2」と「NW-WM1AM2」の発売に合わせて開発ストーリーやエンジニアパネルディスカッションなどのコンテンツを掲載する予定。そのための質問もTwitterなどで受け付けているそうなので興味がある人はソニーのサイトなどで確認してほしい。

編注:より正確な内容にするため表記・内容を一部修正いたしました。(2022年2月9日)

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