Microsoft Developer Dayのキーノートは開発者へのフォーカスをアピール
マイクロソフトがつねに描いてきた未来 開発ツール、コミュニティの価値
アウトプットがないのは真の意味で学んだとは言えない
コミュニティ担当の「おだしょー」こと小田祥平氏は、「OSSの成長はコントリビューターの貢献がベースとなっています。それらを支えるコミュニティなしには語れないと考えています」とコメント。そして、自由でオープンな環境で技術を学ぶためのプラットフォームとして、コミュニティは欠かせないと指摘し、.NETラボやDEVBLOGラジオなどのコミュニティを取り上げ、勉強会への参加を呼びかけた。
では、コミュニティで成長するためにはなにが必要か? これに対して小田氏は、「インプットとアウトプットのサイクル」だと指摘する。
インプットに関しては、技術力の強化や学習習慣の獲得が実現できる。最近はコロナ禍でイベントがオンライン化され、アーカイブされるようになったので、場所や時間にとらわれずに勉強できる環境が充実してきたという。「極端な話 日本にいなくても、好きなときに、好きなスピードで、好きな技術領域で学ぶことができる」(小田氏)。実際、IT人材白書では技術者の約7割は書籍、学習で学び、77%がWeb上で情報収集しているという。
一方、アウトプットの方はどうか? 同じくIT人材白書によると、先端技術を学ぶ技術者のうち、勉強会やコミュニティへの参加はわずか25%に過ぎないという。「多くの技術者はインプットだけにとどめている。これは非常にもったいないと思う。学びはアウトプットすることで完結する」と小田氏は持論を展開。身についたことをアウトプットしなければ、真の意味で学んだとは言えず、さまざまなメリットを捨ててしまっているという。
コミュニティでインプットとアウトプットを意識的に行なおう
アウトプットのメリットとして、小田氏は「技術力の可視化」「外のモノサシ」「仲間との出会い」「製品/OSSへの貢献」「ソフトスキル向上」などを挙げる。
たとえば、あるエンジニアはブログを自らの学習の外部記憶として使い、またあるエンジニアは別のエンジニアからフィードバックを得て、アウトプットをさらに洗練させている。アウトプットした技術を通じて仲間を作ることもできるし、外のモノサシと呼ばれる外部の価値基準を得ることも可能だ。コミュニティに参加し、アウトプットを繰り返すことで、いつかはコントリビューターになるかもしれない。プレゼンやドキュメントの作成手法も向上し、コミュニティの運営にたずさわれば、マネジメント能力も上がるはずだ。
小田氏もコミュニティでの学びの体験を自ら実感したからこそ、マイクロソフトでコミュニティを盛り上げる今の役割に就いた。「コミュニティに参加し、インプットとアウトプットをぐるぐる回していくことは、技術者にとっていいことしかない」と小田氏は語る。実際に小田氏の元には、「イベントでベストスピーカーとして選ばれた」「商業雑誌や書籍の寄稿を依頼された」といった喜びの声も届いているとのことだ。
小田氏は、「コミュニティに参加し、アウトプットを意識的に行なうことで、楽しみながらチャレンジする環境に自らを置いてみるのもいいかもしれません。そんなみなさんをマイクロソフトは全力で支援していきます」とまとめた。
その後、キーノートでは「App Dev」「DevOps」「Community」という3つのトラックで構成されたMicrosoft Developer Dayの歩き方、最後のラウンドテーブル、イベント終了後に行なわれるMicrosoft Developer Nightもあわせて紹介した。セッションの模様や最後のラウンドテーブルは別稿で紹介する。
(提供:日本マイクロソフト)
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