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Microsoft Developer Dayのキーノートは開発者へのフォーカスをアピール

マイクロソフトがつねに描いてきた未来 開発ツール、コミュニティの価値

2022年02月09日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII
提供: 日本マイクロソフト

Visual Studio 2022、GitHub、Azureで開発者のベロシティを上げる

 バトンタッチされた井上氏は、開発ツール「Visual Studio」や開発フレームワークの「.NET」について紹介する。

 まずはVisual Studioの紹介。1998年にリリースされたVisual Studio 6.0は、C++やVisual Basicの開発ツールをバンドルしたVisual Studio 97の後継にあたり、その後は統合開発環境として提供されている。そして、昨年11月には今回のイベントの主役とも言えるVisual Studio 2022がリリースされている。

歴代のVisual Studio。長らく箱売りされていた

 ここで井上氏はデモを披露。しかもWindows Vista上で、なつかしのVisual Studioの開発を振り返るという趣向だ。最初はVisual C++ 6.0を立ち上げ、シンプルなWin32アプリの作成をデモ。次はVisual Studio .NET 2002で.NET Framework 1.0を使ったWindowsフォームのアプリの開発。コントロールをデザイナ上でドラッグ&ドロップで画面に貼りつけ、ボタンを押された際の動作をイベントハンドラとして記述していった。

 そして最後に紹介されたのは、もちろん最新のVisual Studio 2022だ。詳細はブレイクアウトセッションに譲りつつ、井上氏が強調したのは実行ファイル(devenv.exe)がいよいよ64ビット化されたことで、パフォーマンスや使い勝手などさまざまな恩恵を受けられるという(関連記事:開発生産性の向上を実感!64ビット化した「Visual Studio 2022」の魅力)。Visual C++ から、Visual Studio .NETの開発環境上での動作から、最新のVisual Studio 2022まで実際に動かすことで、統合開発環境の使い勝手や、こまごまとしたところの進化を印象付けた。

 続いて井上氏は、macOSネイティブUI対応、Apple M1プロセッサーサポートを果たしたVisual Studio 2022 for Mac、OSSベースのスマートエディタであるVisual Studio Codeを紹介。「Visual Studio 2022 for Mac、Visual Studio Code、Windows版のVisual Studio 2022などのツールをいろいろな形で使い分け、Visual Studioファミリーを使って欲しい」と井上氏は語る。

 マイクロソフトは開発ツールとしてのVisual Studioに加え、ソースコード・バージョン管理や開発者コラボレーションを実現するGitHub、アプリケーションのデプロイ先としてのMicrosoft Azureなどを提供している。「これら3つのプラットフォームを組み合わせることで開発者のベロシティを向上できる」と井上氏はアピールした。

Visual StudioとGitHub、そしてMicrosoft Azureという3つの開発プラットフォーム

Windows DNAから描いてきた未来に近づいた最新の.NET 6

 続いて、開発プラットフォームである.NETの紹介だ。当初、デスクトップやWebのアプリ開発を前提としていた.NETだが、今ではクラウド、モバイル、ゲーム、IoT、機械学習に至るまで幅広いアプリケーションモデルをカバーしている。また、Windowsのみならず、さまざまなプラットフォームで利用できるのも現在の.NETの到達点だ(関連記事:あらゆるプラットフォームで、どんなアプリでも .NETが20年目に到達した高み)。

 あらゆるプラットフォームで、どんなアプリケーションでも開発できるという.NETの構想はマイクロソフトにとって、長年の悲願でもある。井上氏が披露したのはまたもや懐かしい「Windows DNA」と、そのWindows DNAについて特集した1997年出版の「MSJ(Microsoft Systems Journal)」と「Inside Windows」だ。このWindows DNAが前進となり、.NET Framework 1.0が2002年にリリース。2月13日で.NETはちょうど誕生から20年を迎えることになる。

Windows DNAを特集したMicrosoft Journalを井上氏が披露

 さて、.NET Framework 3.0で追加されたのが、WinFXと呼ばれるライブラリ群。その中には、コードネーム「Avalon」で知られるWPF(Windows Presentation Foundation)や、Indigoで知られるWCF(Windows Communication Foundation)などが含まれる。

 そして昨年11月に.NET 6が発表。井上氏がアピールしたのは、GitHubでソースコードが公開されているOSSであるという点だ。.NETの開発をリードするマイクロソフトのスコット・ハンセルマン氏が2012年2月に公開したブログには、「ASP.NETがもっともっとオープンソースになる」と表明されており、OSS化を示唆していたという。

ASP.NETのOSS化を示唆していたというスコット・ハンセルマン氏の2012年のブログ

 実際、その後はASP.NETのコンポーネント化とOSS化が進み、.NET Coreとして進化を続けることになる。実は2002年に.NET Framework 1.0がリリースされたと同時に、.NET Framework互換のクロスプラットフォーム環境を実現するためのオープンソースプロジェクト「Mono Project」がスタートしている。、Xamarinや、.NET Core、.NET 5、.NET 6はこのMono Projectをベースにしている部分もあり、その点ではOSSとしての歴史も20年に渡っているわけだ。

OSSとしての.NETの道のり

 .NETの進化は、マイクロソフトのエンジニアリングチームだけではなく、多くのコントリビューターの貢献によって実現しており、こうしたコントリビューターには日本人も存在している。「コントリビューターに支えられて、.NETや今のマイクロソフトがある」と語った井上氏は、日本マイクロソフト デベロッパーマーケティングマネージャー/エバンジェリスト 小田祥平氏にバトンを渡した。

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