CES2022 J-Startupブースレポート
CES、J-StarupブースにてSkyDriveの有人試験機「SD-03」の実機展示
それでもJ-Startupブースは全体の中でかなりの存在感を見せていて、数はそれほど多くないながらも目立っていたといって良いだろう。今年は例年数百社以上出展しているフランス勢に加えて、韓国のスタートアップが一昨年以上に数を多く増やして100社以上出展していたが、大韓貿易投資振興公社や、ソウル市としての出展などで出展主体によりブースの特徴がわかれており、国としてのイメージの打ち出しは弱かったものの大きく勢いを増していた。
多くのスタートアップが出展していたVenetian Expo 1階の上の2階でも、オランダやベルギーなど国別のスタートアップがあり、J-Startupでも弊社を含め約10社が出展を行っていた。Eureka Parkには2回までしか出展できないという決まりがあり、3回め以上のCESの出展となる企業が主に、こちらのブースで出展を行っている。
1階よりも、出展者数が少ないが、その分、シンプルな導線のブースとなっており、例年よりも少ない来場者でありながら、人が途切れることもほとんどなかった。こちらはブース数が少なく、導線がシンプルであったことが逆に見やすさに繋がり、例年よりもかなり少なかったとはいえ集客に繋がった格好となった。
2階のJ-Startupパビリオンでは、甘噛みを体験できるユカイ工学社のぬいぐるみ、甘噛みハムハムが人気を集めていた。ただ、コロナ禍ということもあって接触を伴う製品はデモをしづらい面や、体験してもらうのに来場者側の遠慮もあり、難しい面もあったようだ。
また人に追従して動くデモを行っていたDoog社の運搬ロボット「サウザー」も人気を集めていた。このような見てわかりやすく理解できる製品はやはりリアルの展示にはとても注目を集めやすい。
残念ながら、コロナ禍で担当者が不在であったmercari R4Dの、電動ポータブルモビリティpoimoの紹介動画にも注目をして足を止める来場者が多かった。普段は空気を抜いた状態で収納しておき、持ち運んだあと、膨らませることができるモビリティ製品として研究されており、実機による展示があればより注目を集めたことは想像に難くないのが残念だ。
最後に、手前味噌ではあるが2階のJ-Startupパビリオンに展示した弊社FutuRocket社のブースを紹介して終えたい。2年前のCES展示したAIカメラはまだ実証実験前であったが、昨年から大企業やインキュベーション施設での実証実験を行っている実証機の展示を行った。2年前はエッジ処理の手軽に扱える安価なAIカメラというコンセプトは伝わる人も多くはなかったが、今年は非常に共感・理解してもらえる来場者が多く、幾つか今後の取引にも繋がりそうな話があり弊社としては十分収穫となった。
一方で、CES全体としては2020年は17万人だった来場者が、今年はコロナ禍の影響が大きく4万人にとどまった。この数字は出展者なども含めた数字のため、実際にブースに立って接客した感覚では、例年の1/5から1/10の間という印象を受けた。特にメディア、バイヤーの来訪者が少なく、またいつもは数十人ほどは会うことになるVCの名刺を持った人もほとんどいなかった。それでも久しぶりのリアル開催は、昨年の完全バーチャルでのCESに比べて非常に得られるものが多く、他国のスタートアップの動向を含め非常に刺激になった。次の記事では、現地で筆者が興味深いと感じた海外ハードウェアスタートアップの製品を紹介したい。
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