「次世代ヘルスケアプロジェクト 2021」スタートアップレポート
異業種活用ソリューションを医療向けにアレンジしたHealthTechスタートアップに注目
日本能率協会が主催する「次世代ヘルスケアプロジェクト 2021」が、11月24日〜26日に開催された。予防医療や健康促進、健康寿命延長を支援する製品・サービスなどを取り扱う企業が一堂に介し、現場の問題解決や新しい価値提案などを行った。
会場では、大手メーカーの新規事業や、スタートアップの展示も多くみられた。本記事では、ASCIIとのコラボブースに出展する要注目企業を中心に、会場でみかけたスタートアップブーズを紹介する。
あっと株式会社:毛細血管スコープの映像をAI分析
ヘルスケアスタートアップのあっと株式会社は、「血管美人」のブランドで毛細血管スコープの映像をAIによる形状分析システムにかけて、毛細血管測定による健康・未病指標として、フィードバックするものだ。
毛細血管の状態が未病指数として期待される理由には、病気などで体の機能低下が起こる際、最初に影響があるのが毛細血管という傾向があることに由来する。毛細血管の形状からは中長期的な体調、状態が、血流などからは短期的な体の状態を読み取ることができるという。
昨年の日本緑内障学会では、緑内障患者の爪床毛細血管は健常者に比べ長さと本数が半分というデータが東北大学より発表され、緑内障患者における毛細血管測定の有用性など、未病指標としての活用が期待されているという。
現在の毛細血管スコープとAIのシステムでは、測定する人に一定の技量が求められるが、現在開発中の機械では習熟したオペレーターが不要で、月額のサブスクリプションも用意されているので、規模の小さい薬局やクリニックにも導入しやすくなるのでは、と期待をにじませていた。
セールスワン株式会社:IoT自動管理システム
持出・予約・棚卸・校正の自動管理システムを展開しているセールスワンは、IoT機器やRFID装置、ICタグを活用した、「収蔵ONE」や「工具ONE」を医療機関向けに提案していた。
工具など、使いっぱなしで放置されがちな道具にRFIDタグをつけて、本来の収納場所に戻されているか、所定の位置に返却されているかなどを確認するほか、使用場所に持ち出された機器が、使用後に戻されているか(次に使える状態に整備できているか)などをシステム上で管理できるというもの。
スキャナーを使用すると、工具箱や保管ケースに納められた機器全てが収納されて数が足りているかを把握できる。箱や棚にもタグやセンサーを取り付けておくことで、所定の位置に戻されているかを確認できるので、間違って戻されていた場合に修正がしやすくなる。出入り口にゲート状のスキャナーを設置することで、持ち出し、返却の際にわざわざスキャン作業しなくてもよくなるなど、効率化のソリューションも整えられている。
また予備品、仕掛品、展示品等、管理業務の効率化を目指した活用事例の紹介のほか、入力支援や管理業務を効率化するパッケージ提案、上位システムと柔軟な連携が可能な連携APIも提供し、自社の管理DBとの連携も可能だという。
株式会社HealtheeOne:医療事務をクラウドとAIで一元管理
HealtheeOneは医療機関の経営者をサポートするスタートアップ。医療機関が診療報酬を請求する際に必要な施設基準項目をクラウドとAIで一元管理し、証憑情報管理と追加取得の最適化を実現する。
医療事務では、日々の業務に追われて必要な書類の準備や、資格所有者や研修修了者の充足、期限管理が疎かになっているケースがあり、そういった不備を理由に「診療報酬返還」を要求されるケースがあるという。
書式が間違っているなど内容だけでなく、そもそも書類が提出されていないなどのミスをチェックリスト化し、進捗を管理することで初歩的なミスを防ぐほか、資格や研修などの期限やスケジュールを管理することで、滞りなく更新が行えるなど、業務フローを支援するという。
株式会社プライムファクターズ:ロボット服薬支援サービス
プライムファクターズでは、開発中のロボット服薬支援サービスとIoTピルケースが紹介されていた。展示のNUWA社製ロボットだけでなく、シャープのロボホンにも対応し、服薬の時間になるとお知らせする「服薬アラーム」で服薬を促し、備わったカメラで動画撮影をしてきちんと服薬したかを確認できる。
そのほかに、IoTピルケースとの連動し、残薬のチェックを行ない、過量服用や飲み忘れなど服用のトラブルを防止するなども実装予定という。
また、服薬記録や活動量計のデータを収集し、医療機関に送ることで、服薬支援サービスなどにも活用できるのではないかとしている。
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