カセットテープはなぜ《萌える》のか?
音楽カセットが、海外では人気上昇中だそうで、国内ミュージシャンもカセットテープで新曲リリースなんて話になってきている。私の世代には、カセットテープといえば《青春そのもの》という感じだったが、なぜいま頃人気がでているのか?
「ブロックdeガジェット」でカセットテープ(正式名称はコンパクトカセット)を作りたくて、収納の奥から現物を取り出してきた。プラスチックのガチャガチャした外装に中に、なめらかで繊細な0.15インチの磁気テープが収まれているところはちょっとエロい。
時間とともに進行する音楽がそのまま巻き取られているその構造がソソる気もしてくる。しかも、ポケットに入れて運べるパッケージなので、ガチャガチャと曲を入れ替える手応えもある。これはiPodやSpotifyデジタルミュージックではありえないことだ。さらには、好きな曲を集めて編集したテープを作って女の子に渡すこともできるし、テレビやラジオでは困難な国境を超えもしたりもする。
ブロックdeガジェットという動画シリーズは、主にコンピューターやデジタル機器を中心に作ってきている。実は、フロッピーディスクが一般的になるまで、初期のマイコンの外部記憶メディアとして音楽カセットが使われていたのだ。前回のMZ-80Kの回はまさにそれだった。
そういえば、カセットテープと3.5インチフロッピーディスクは、そのカジュアルな使い勝手においてとても似ていると思う。少し大げさにいえば、それは、音楽やプログラム(あるいはデータ)の民主化ともいうべきものだったのではないか? 中身を自由に作り、パクり、ソーシャルメディア的に拡散することもできた。
以下の動画、過去最大難易度の★★★★となり、途中うまく見せきれているかどうかあやしい部分もあるのだがご覧いただければ! 割りと真面目なカセットテープの由来などについても触れている。
■ 「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/rNsghjqFuhw
■再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
■ 「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/
遠藤諭(えんどうさとし)
株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。その錯視を利用したアニメーションフローティングペンを作っている。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。
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