PCケースはCooler Masterの「MasterBox CM694」を採用
第12世代Core i7をNoctua製空冷クーラーでしっかり冷やす! エアフローにこだわったケースも魅力のゲーミングPC「G-Master Spear Z690/D4」
CPUは高性能なものほど発熱も大きくなりがち。冷却をおざなりにしていると、動作はするものの本来の性能が出ない、なんてこともある。それだけに、熱との戦いは、ゲーミングパソコンにおいて最も重要なことだといっても過言ではないだろう。
多くのBTOパソコンをチェックしていくと分かるが、エントリークラスやミドルクラスでは空冷クーラーが多数で、ハイエンドクラスになると、簡易水冷クーラーを採用しているものが増えてくる、という傾向にある。
これは、ミドルクラスまではコスト重視で空冷クーラーを選んでいるというのもあるが、それよりも、純粋に空冷クーラーで十分冷却できる範囲だというのが大きい。具体的にはCore i5やRyzen 5クラスまでであれば、大抵の空冷クーラーで冷却できるレベルとなる。
しかし、これを超えるクラス、Core i7やRyzen 7以上となると冷却しきれない危険が高くなる。もちろん、ファンの回転数を上げれば冷却性能も上がっていくが、今度は静音性が犠牲になってしまう。いくら安全な温度で使えるといっても、掃除機のような轟音のするパソコンは使いたくない。
では、空冷クーラーを採用するハイエンドゲーミングパソコンはすべてダメなのかといえば、そうではない。パソコンの構成時点からしっかりと冷却が考えられており、対策が施されたものであれば、水冷クーラーに劣らない冷却性、静音性を実現できる。
そんなハイエンドゲーミングパソコンの1つが、今回紹介するサイコムのゲーミングパソコン「G-Master Spear Z690/D4」だ。BTOにも対応するこのマシンについて、詳しくみていこう。
G-Master Spear Z690/D4の主なスペック | |
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CPU | Core i7-12700K (3.6GHz~最大5.0GHz)、12コア(Pコア8+Eコア4)/20スレッド |
CPUクーラー | Noctua NH-U12S redux |
グラフィックス | GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC(試用機はGeForce RTX3070 8GB MSI製GeForce RTX 3070 VENTUS 2X 8G OC LHR採用) |
マザーボード | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4 |
メモリー | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 521GB SSD(Intel SSD 670p Series) |
内蔵ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ(ASUS DRW-24D5MT)+ 書込みソフト |
通信規格 | 有線LAN(2.5GBASE-T)、無線LAN(IEEE 802.11ax/ac/a/b/g/n)、Bluetooth 5.1 |
電源 | SilverStone SST-ST75F-GS V3、650W/80PLUS Bronze(試用機はSilverStone SST-ST85F-PT 、850W/80PLUS Platinum) |
PCケース | Cooler Master CM694(試用機はCoolerMaster CM694 TG) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
よく冷える空冷パソコンは、ケースとCPUクーラーがキモ
G-Master Spear Z690/D4の最大の特徴は、空冷パソコンとしての基本をガッツリ押さえていること。この基本というのは、「ケース内に熱をこもらせない」ことと、「CPUの熱をしっかり放出する」ことの大きく2つだ。
空冷パソコンでは、CPUの熱はケース内に放出される。そのため、ケースの放熱性が悪ければ熱が外に出ていかず、ひたすらケース内に蓄積され続けてしまうわけだ。この状態が長く続くとケース内温度が上昇し、CPUクーラーからの放熱量が激減。CPU温度が高止まりになり、保護のため動作クロックの低下などが起こってしまうだろう。
これを防ぐのに有効なのが、冷たい外気を大量に取り込み、熱せられたケース内の空気を素早く排出することだ。ケース内の空気の流れ、つまり、エアフローが重要とよくいわれるのは、こういった理由がある。
G-Master Spear Z690/D4で採用しているのは、Cooler Masterの「MasterBox CM694」。このケースはフロントと天板のほとんどがメッシュとなっており、非常に通気性に優れているものだ。
熱はケース内の上部に溜まりやすいだけに、天板がメッシュとなっていれば、自然と熱が逃げやすくなる。空冷パソコンとしては、理想に近いケースといえるだろう。
続いてケースの内部をみてみよう。
エアフローをジャマするケーブルは、裏配線を多用することで表面にほとんど出てこないようになっている。これはサイコムが得意とするところで、長年BTOパソコンを手掛けているだけに、この仕上がりはかなり美しい。
中央左上にあるのがCPUクーラーで、Noctua製の「NH-U12S redux」を採用。これは側面にファンを取り付けるサイドフロー型で、大きなヒートシンクでCPUを強力に冷却できるのが特徴だ。
CPUクーラーから出た熱風は、そのまま背面のケースファンから排出できるというレイアウトになっているのもポイント。こうすることで、熱がケース内に拡散されにくくなり、ケース内温度の上昇が防げるというわけだ。
また、ファンは120mmと大型。回転数が低くても風量があるため、静音性にも優れているというのがうれしい。
ビデオカードは、高性能になるほどヒートシンクが大きくなり、重量がかさんでしまう。すると自重でスロットに負担がかかってしまうほか、ファンなどの振動で揺れ、抜けてしまうことまである。こういった負担の軽減や揺れ対策として活躍してくれているのが、スタビライザーだ。これでビデオカードを挟むことで、スロットの負担を軽減し、輸送時の振動などでビデオカードが落ちてしまうということも防いでいる。
もちろん拡張性にも優れており、フロント部に2つの5インチベイ(うち、1つは光学式ドライブで使用)、6つの3.5インチシャドウベイ、背面に2つの2.5インチベイを搭載。ゲームのインストールやプレー動画の保存などで圧迫されがちなストレージだが、これだけベイがあれば、増設で悩む必要はない。
冷却性はもちろん、ストレージの増設、将来のパーツ換装も視野に入る
高性能なCPUほど冷却性能や騒音で悩まされるが、G-Master Spear Z690/D4は冷却性に優れたケースとCPUクーラーを採用することで、空冷ながらも安定した動作を実現しているのがポイント。さらに、ストレージの増設がしやすいほか、ケース内のスペースも広いので、将来のパーツ換装も比較的簡単に行えるというのが魅力だ。
ハイエンドゲーミングパソコンがほしいけれど、水冷モデルは高くて手が出しにくいと考えているなら、G-Master Spear Z690/D4は魅力的な選択肢となってくれるだろう。
次回は、気になる性能や高負荷時のCPU温度などを紹介していく。
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