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「α」で始まり「Z」で終わった今年のデジカメ界をそれぞれの機種とともに振り返る

2021年12月28日 12時00分更新

2匹の猫が取っ組み合いのじゃれ合いをはじめたのですかさず連写。α1らしい1枚となったのだった。ちゃんと猫の瞳にピントあってるし。2021年4月 ソニー α1

 2021年は「α1」ではじまった。2021年1月27日、ソニーのフラッグシップミラーレス一眼「α1」が発表されたのだ。とうとうミラーレス一眼にフラッグシップ機がきたー、ニコンやキヤノンに先駆けてソニーが発表したー、ってことで話題になったのは記憶に新しい。高画素センサーとリアルタイム猫瞳AFと高速連写を、コンパクトなボディーに凝縮したハイテクの塊っぽいカメラだ。高性能と小型軽量の両立がすごかった。冒頭写真がそれである。

 そんなわけで今回は「2021年の主な新製品で撮った猫」ってテーマで振り返ってみたい。α1の発売は3月だったので、最初は2月に発売された富士フイルムのラージフォーマットカメラ「GFX 100S」から。2021年最初に発売された超弩級カメラといったらこれだ。

 1億画素のラージフォーマットカメラながら、気軽に手持ち撮影が可能でボディー内手ブレ補正も持っていて、価格も70万円弱というその性能を考えれば破格といっていい値段で登場したのである。これで撮った外猫写真は連載で使ったので、ここでは最初に試し撮りしたうちの猫「かふか」を。

ちょっと不穏なポーズだけれども、毛繕いしてた顔をひょいと上げた瞬間の表情がきれいに撮れていたので採用。2021年3月 富士フイルム GFX100S

 いきなりα1、GFX100Sとすごいカメラではじまった2021年の特徴は、性能を追求したハイエンドのミラーレス一眼機がどどっと登場することなんだが、4月にはこの年唯一の一眼レフも登場したのだった。ペンタックスの「K-3 Mark III」である。ここでは「保護猫シェルターQUEUE」で撮った子猫が固まって寝てるほんわか写真を。頭と頭がくっついてる2匹がミソだ。

この時期は子猫が多くて、4匹集まって寝たのだが、頭と頭をくっつけて寝てる2匹がたまらんのであった。2021年5月 ペンタックス K-3 Mark III

 シグマの「fp L」も忘れてはいけない。メカシャッターを持たない、ミニマルで小さなボディーのフルサイズセンサーカメラfpの高画素版だ。お出しするのは「保護猫シェルターQUEUE」で撮影した寝てる2匹の子猫。おでこの模様が肉球みたいで印象的だったのだが、無事里親も見つかり、引き取られていったそうで何よりである。

「保護猫シェルターQUEUE」にてお昼寝中の2匹の猫。2021年4月 シグマ fp L

 パナソニックからは少し小型化したミドルクラスの「S5」を取り上げたい。パナソニックは猫の身体全体を捉えてくれるので、向こうを向いている猫でもちゃんと捉えてくれるのがよいのだ。これはとあるお寺の猫。古いお堂に猫が似合う(DC-S5は2020年発売のモデルでした。筆者が勘違いしておりました)。

古い木造のお堂にチャトラが似合うしっとりしたしぶい写真になった。2021年6月 パナソニック DC-S5

 オリンパス(会社自体はオリンパスから切り離されて「OMデジタルソリューションズ」になったのは記憶に新しい)からはPENシリーズの「PEN E-P7」。エントリー向けの小さくて軽くて安いデジタル一眼がぐぐっと減ってしまった中、PENは頑張ったのだった。お出しするのはうちのかふか。暗いところにいたので目がまん丸。暗い場所でもマイクロフォーサーズでもこのくらい撮れます。

棚の下、暗いところに隠れてくつろいでたかふかをそっと撮ってみた。目がまんまる。2021年7月 オリンパス PEN E-P7

 春から夏はエントリー機からミドルクラスのカメラが出た季節といっていい。レトロな一眼レフスタイルデザインで、若い人にもおじさまたちにも刺さった、ニコンの「Z fc」もそうだ。価格も手頃で、デジタル一眼入門にも趣味で楽しむカメラとしてもいいものだった。

日没後あたりの暗い公園で、ふてくされたような表情がよかったのだ。2021年8月 ニコン Z fc

 9月には新コンセプトのカメラが登場した。ソニーがVLOGCAMシリーズとしてα6400をベースにした「ZV-E10」を発売したのである。動画がメインのカメラなのだけど、ここでは写真で。

 ここに写ってるのはわたしの足。膝の上でくつろいじゃって動かなかったのでそのまま撮ったのである。「保護猫シェルターQUEUE」にて。

足を伸ばして座ったら、そこでくつろいで1時間近く動いてくれなかったというときの1枚。黒猫が挨拶にきたのでその瞬間を。2021年9月 ソニー VLOGCAM ZV-E10

 同じく9月。春先にGFX100Sを出したばかりの富士フイルムからは、GFX100Sの5000万画素版ともいえる「GFX50S II」が登場。画素数が減った分、価格もちょっとお求めやすくなって、ラージフォーマットセンサーカメラとしては素晴らしいカメラになったのだった。

ほぼ夜。木の根元で猫ボランティアのおばさま方を待っているぷくぷくしたチャトラをこっそり撮ってみた。暗いのに実にきれいに撮れるのだった。2021年9月 富士フイルム GFX50S II

 そして年末が近くなると人気カメラのラッシュがはじまる。これはすごかったね。人気な上に部品の供給不足もあって、発表後すぐ予約した人以外は入手困難というカメラたちだ。

 まずはキヤノンのハイエンド機「EOS R3」。視線入力が話題だけど(でも、メガネをかけているとなかなか思った通りに反応してくれないのでオフにした)、本質的には猫瞳AFと高速AFと連写だ。ってことで塀の上を歩いてくる猫を狙ってみた。

こっちを気にしつつ塀の上を歩いてくる猫を連写。レスポンスもよくてハイエンド機ならではの気持ちよさがあったのった。2021年11月 キヤノン EOS R3

 さらに、12月にはいるとソニーからα7IIIの後継機、「α7IV」が登場した。これは前回取り上げたばかりなので割愛。

 こうしてみると、年初と年末にどかんと大物がきたのだ。2021年最後を飾ったのがニコンのフラッグシップ機「Z 9」である。Z 9はプロ向けのフラッグシップ機でありながら、メカシャッターをなくして電子シャッターのみにし、めちゃAFが賢くて速くていくらでも連写できて画素数も4500万画素あって、要するにスゴいカメラなのだが、これがギリギリ間に合ったので、今年最後を飾るカメラってことで2枚。

 1枚は夕刻、ゴツい車の下で見つけた黒猫。夕刻で暗かった上に車の下にいたものだかったら、通り過ぎた後で「あれ? さっきなんか黒いあやしげな塊がいなかったか?」と戻ってみたら黒猫だったというわけだ。カメラを向けたら目が開いたのでその隙に。

なんとか間に合ったZ 9。薄暗い夕刻に暗いところにいる黒猫でもちゃんと捉えてくれたのに感心して撮影。2021年12月 ニコン Z 9

 もう1枚はうちの猫を。廊下をとことこと歩いてきたキジトラのかふかに、隠れて待ち構えていた黒猫のミルが襲いかかった瞬間だ。かふかの瞳にAFを合わせて連写した中の1枚。こういう瞬間をきっちり捉えてくれるのだ。

逃げようとするかふかに襲いかかるミル。ちゃんと目にピントを合わせ続けてくれるのが実にうれしい。2021年12月 ニコン Z 9

 ソニーのフラッグシップ機「α1」の発表が2021年1月27日、ニコンのフラッグシップ機「Z 9」の発売が2021年12月24日なのα1ではじまりZ 9で終わった1年と思うと、すごいよね。コロナ禍にありながら歴史に残る1年だったかもしれない。

 Z 9は年末年始にかけて使わせてもらうので、来年のこの連載はNikon Z 9ではじまります(たぶん)。乞うご期待。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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