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「量子コンピュータ最新動向」セッションレポート

巨大市場を目指す量子コンピュータ開発競争に乗り遅れるな

2022年01月07日 09時00分更新

量子コンピュータのアプリケーション開発

 量子コンピュータに期待されているアプリケーション分野として、湊氏は4つを挙げた。1つは医薬品やエネルギー分野におけるシミュレーション。2つ目は保険や物流分野における最適化。3つ目は機械学習で自動運転や金融の領域で利用可能と考えられている。4つ目が暗号解読でマシンの開発ができればソフトウェアとして、8時間で2048ビットのRSA暗号が解読できるという論文も出ている。

 湊氏が代表を務めるblueqatは、量子コンピュータのアプリケーション開発環境「blueqatSDK」を提供している。まずblueqatSDKを用いてプログラミングを行うのが第1ステップ。第2ステップとしてそれをSDKに含まれるシミュレータでテストをする。正しく動くようならインターネット経由で量子コンピュータの実機(現在はAWSの量子コンピュータを利用している)で動作させ(第3ステップ)、その計算結果を受け取る。計算結果の後処理を行い、全体をアプリケーションとして仕上げる(第4ステップ)。

 SDKになっているとはいえ、量子コンピュータのプログラム開発はかなり難しいため、いつでもどこでも量子コンピュータのアプリケーション開発が行えるというクラウド型開発環境サービス「blueqat cloud」の提供も開始した。基本料金は無料で始められるが、チュートリアルやサンプルなどもあり、初めて量子コンピュータのプログラム開発を行う開発者向けのサービスと言えるだろう。こちらはサポートなどを含む月額有料版のサービスも提供している。

 「材料メーカーの場合、開発のための量子化学計算、AI・機械学習、組み合わせ最適化問題などに利用できる。自動車メーカーだと量子化学計算、機械学習、生産最適化と流体計算などに利用できる。また金融系だとモンテカルロ、暗号関連のセキュリティー、業務の効率化などに使える。ソフトウェアとハードウェアを組み合わせることによってどれを使えばいいかというのは2021年でだいぶクリアになってきている。そのためユーザー企業も参入が相次いでいる」(湊氏)

 2040年ごろとされている汎用量子コンピュータの実現に向けた課題の1つに「誤り訂正」が挙げられていた。2021年に米国のIonQとHoneywellが、それぞれ異なる方式のリアルタイム誤り訂正をイオントラップ方式の量子コンピュータによって実現した。これによって量子コンピュータの高性能化に向けて1つのめどがついた。

 湊氏は、これからの10年間には現在の最新方式であるイオントラップ方式による量子コンピュータの開発、ハードウェアの小型化、光量子コンピュータの開発など、さまざまなテーマ・トレンドがあると語る。次世代コンピュータの本命として、巨大な産業を産み出す量子コンピュータにぜひ注目してほしい。

■関連サイト

blueqat株式会社

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