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AMD Ryzen 5周年記念企画座談会、ライター3人に聞いたRyzenの快進撃とその印象とは?

2021年12月24日 11時00分更新

文●
提供: 日本AMD

ATIを買収したことが、後のコンソール採用に繋がった

笠原 あと、ここ最近のAMDで良いな、と思っているのはRadeonですよね。ようやく競合他社に性能で戦えるようになったというのも大事ですよね。

大原 Vegaが出てから、Naviが出てくるまでが長かったなぁ~。

笠原 ちなみに松野さんは、ATIだったころなどは覚えていますか?

松野 全然ですね。

笠原 じゃあ、Radeonにどういったイメージを持っているんですか?

松野 CPUよりは、まだ良かったという感じですね。小型の「Radeon R9 Nano」などが良かったという印象です。どちらかと言えば、AMDと言えばGPUというイメージの方が強かったですね。

「Radeon R9 Nano」は、HBMメモリーを採用した「Radeon R9 Fury」シリーズの中でもMini-ITXマザーボードとの相性も良いことで注目された

大原 ATIを買収した直後は割と上手くいっていて、そのあと40nmに移ったあたりから、少しビハインドになってきて、そのころからCPUが盛り返してきた。そのあと、Vegaが出てビハインドが縮まって、Navi 2Xになって同じ土俵に立ってきましたね。

笠原 AMDがATIを買った時って、ちょうどPCI Expressの移行期だったんですよね。ATIのハイエンドビデオカードはPCI Expressのコントローラーをすぐにネイティブで統合したので、もの凄く良かったんですよ。

大原 一方、競合の方はAGPのポートにPCI Expressのブリッジを付けてたんだよ。ATIのローエンドもそうだったんだけど。

笠原 そうですね。だから、競合のハイエンドは、そのころ微妙だったんですよ。そういう時代もありましたよね。

大原 そのあとAPUがコンソールに採用されたので、ATIは買って良かったよね。

佐藤 そうですね、CPUにグラフィックスが統合されたAPUを世界で初めて出しました。それを見越していて、コンソールに採用される流れもあったので良かったですね。

大原 あのころのAMDは、Hi-Lo MixといってBulldozerとBobcat(ボブキャット)※と、2つのコアを出していたんですよね。Bobcatは、省電力で小さいから安くできますよ、ということで、そのあとXboxなどに採用されていくんですよ。

後継のJaguarは、PlayStation 4やXbox Oneシリーズに採用された

松野 コンソールのイメージは確かにありますね。

笠原 AMDはパチンコなど遊戯マシンに非常に強いんですよね。そんななか、今度は競合他社がGPUに力を入れ始めているので、そこでまた競争が起きそうで面白いですよね。なので、今後AMDがどんなGPU内蔵CPUを出してくるのか、凄く楽しみにしているんですよ。

大原 来年あたりが3つ巴になっているのが面白いですよね。今までCPUをメインとしていた競合のGPUは性能を上げてくるでしょうし、AMDさんも次は内蔵GPUがNaviになってくるでしょう。元々メモリーが少ないのが統合GPUの欠点ですが、AMDさんには3D V-Cacheもありますよね。競争が激化しそうですね。

笠原 この前AMD「Instinct MI250」を出したじゃないですか。あのアーキテクチャーを見ていて、このままRadeonに持ってきたら面白いんじゃないかと思ったんですよね。

大原 それはたぶん厳しいかな。ベンダーバックエンドを共通化できないのが、今の最大の問題なので、もしやるとなるとベンダーバックエンド用のダイと、フロントエンド用のダイという恐ろしい構成になるんじゃないかな。GPUには厳しい、GPGPUには凄くイイと思うんだけど。

笠原 マルチGPUをどういうアーキテクチャーにするかということですよね。

大原 各社今のアーキテクチャーだと厳しくなってきているので、次の世代がどうなってくるのか。

笠原 煮詰まってくると、どこも同じような感じになってくるんだけど、楽しみですね。

ノートPCやデスクトップPCで、Ryzen採用が増えている

笠原 話は変わりますが、ノートPCもどんどんシェアが伸びて来ていますよね。ここ2~3年、Ryzen 4000~5000シリーズが、物凄く好評ですよね。最初のAPU、Raven Rigdeの時は、競合他社より安いノートPCの選択肢でしたが、Ryzen 4000~5000になったらハイエンドなノートPCとして買えるようになりましたよね。

佐藤 そうですね、お陰様で某価格比較サイトでは、ノートPCの人気上位10製品中、5~6機種はRyzen搭載製品になりました。

笠原 あと、ゲーミングノートPCにAMDのCPUが採用されるようになりましたよね。以前はCPUは競合他社で、GPUがRadeonというパターンが多かったじゃないですか。ところが今はCPUがRyzenでGPUが競合他社といった組み合わせも増えて来ていますよね。

佐藤 デスクトップPCでもその組み合わせが凄く増えて来ています。

大原 ただ、AMDさんに限らず供給が足りていない。今はチップだけでなくて、GDDRも足りていない、さらに電源用のMOSFETも足りていない、なんて話も聞きますよね。

笠原 本当にCPUやGPUも凄く伸びているんですが、問題はこれをどう維持していくかだと思うんですよね。先ほども言いましたが、CPUメーカーはロードマップどおり出せるかだと思うんですよ。今のAMDさんはそれができている、ただし1年後、2年後にはどうなるか、それが大事ですよね。

ジサトラハッチ ちなみに実際にRyzenを買われて思ったことは何かありますか?

笠原 確かRyzen 5 3600だったかを購入したんですが、Ryzenってラインアップが豊富じゃないですか。6コアのコスパがとても高いですよね。ラインアップが幅広いから、ユーザーとしては買い易いな、と思いますね。

松野 割と細かく対応されますよね。Ryzen 5 1600AFのような製品が出てきた時は驚きました。

2020年に発売されたRyzen 5 1600AF。Zenベースながら、12nmプロセスで製造されていて、当時人気だったRyzen 5 3500よりも安価に手に入る6コア/12スレッド製品として、低価格自作に貢献した

笠原 今だとRyzen 5 5600Xが、6コアでコスパも良くて。そういった製品が出てくるのは、歩留まりの問題があって。8コアのダイを6コアのダイにすると、ちょっと歩留まりが上がるわけじゃないですか。ただし、エンドユーザーからするとお買い得でうれしいですよね。

佐藤 7nmがすでに枯れてる技術なので、結果的にRyzen 7 5700GもRyzen 5 5600Gも順調に出せています。

大原 Ryzen 4000Gは基本OEM向けだけでしたが、Ryzen 5000Gは使い易くて、人にもオススメしやすいですよ。

佐藤 ありがとうございます。

大原 2Dだけだったら競合他社製品でもいいんですが、ちょっと3Dでも使いたい、薄型のPCケースとかでビデオカードが挿せないといった時は、良い選択肢ですよね。

松野 AMD CPU対応のDeskMiniは、売れましたよね。

佐藤 かなり売れましたね。

ASRockが発売したDeskMiniは、Raven Ridge世代に対応したA300、Renoir世代に対応したX300(上記画像)と販売し、小型のベアボーンとして人気を博した

笠原 小型のミニPC用としてはイイですよね。

佐藤 最近はビデオカードが高騰しているので、Ryzen 5000GをベースにPCを組んで貰って、あとでビデオカードを買い足して貰う、という使い方にも凄くイイんですよ。

大原 内蔵GPUの性能は、もっと上がって欲しいけれど、ボトルネックになっているのはメモリー帯域なんですよね。CUの数を増やしてもある一定の性能以上は出ないんですよね。DDR4の世代では無理で、早くDDR5世代にならないかなぁ~っと。

笠原 ただ、そのDDR5も足らないですからね。メモリーモジュールが足らないんじゃなくて、PMICが足らないんですよね。

大原 PMICはそれだけだと商売にならないといって、売りまくられた結果、今は3社くらいしか作ってないんですよね。頑張って作っているけれど、来年はちょうど切り替わる時期で、DDR5の値段が少し下がってくる。2023年には、DDR4とDDR5の値段が逆転して、DDR5が安く手に入るはずです。その時期には、もうAMDさんのプラットフォームもDDR5に対応しているんですよね?

佐藤 そうなると思います。

大原 来年のEPYCはDDR5に対応しますよね。

笠原 最近更新が止まっているのでRyzen Threadripperの新しい製品も出て欲しいですね。マニアとしては64コアのCPUでTwitterしたいじゃないですか(笑)。

大原 どこかに大紅蓮丸とかいうマシン作っている人いたんじゃなかったけ。来年には超大紅蓮丸とかに進化するんじゃないの?

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