正しいプロセスを身につけて効率良く英語を学ぶフェーズ7の学習方法
英語を流暢に話し、書くための4つのアウトプットトレーニング
社会人になってから「英語をマスターしたい」と、一念発起して勉強を始めたものの、思うように身に付かず、中途半端なまま学習を止めてしまったり、せっかく通っていた英会話教室に行かなくなってしまったりする人は多いのではないだろうか。
そこで本連載では、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」や、英語学習コーチングサービス「STRAIL」などを運営する株式会社スタディーハッカーに取材し、目標達成まで挫折せず効率的に進められる英語の学習方法を紹介する。
前回のフェーズ6からは、フェーズ0からフェーズ5でインプットした単語や文法などをスピーキングやライティングでアウトプットするスキルを学んでいる。今回も引き続き、フェーズ7の目標である「流暢に話し、書くことができる」を達成するための学習方法を伺った。各フェーズの詳細については、連載の初回で解説しているので、併せて参考にしてほしい。
フェーズ0:基本文法・基本語彙(基礎知識)
フェーズ1:ゆっくり読めば理解できる(リーディング)
フェーズ2:すばやく読める(リーディング)
フェーズ3:音声知覚ができている(リスニング)
フェーズ4:理解の処理がすばやくできる(リスニング)
フェーズ5:記憶にとどめておける(リスニング)
フェーズ6:正確に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)
【今回の記事】フェーズ7:流暢に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)
フェーズ8:複雑に話し、書くことができる(スピーキング・ライティング)
「正確性」と「流暢性」をわける理由は?
改めて、英語を「話す」「書く」といったアウトプットスキルを磨くフェーズ6から8の構成を見ると、次の通りになっている。
・フェーズ6 正確に話し、書くことができる
・フェーズ7 流暢に話し、書くことができる
・フェーズ8 複雑に話し、書くことができる
前回も解説した通り、フェーズ6から8は順番に学習するのではなく、バランス良く並行して身につけるのがベスト。フェーズ6と今回のフェーズ7では、学習方法も異なるが、「どのフェーズを学んでいるか目的意識を持って取り組むことが大切です」と、同社常務取締役 兼コンテンツ戦略企画部部長の田畑翔子氏はアドバイスする。
流暢に話し、書くための4つのトレーニング方法
今回のフェーズ7の目標は、「流暢に話し、書くことができる」ことだが、日本人は、正確に話すことにこだわるあまり、流暢に話せなくなる人が多いという。
しかし、コミュニケーションを円滑に進めるには、ある程度はスラスラと話せる必要がある。そこで、フェーズ7では、英語を意味のかたまり(チャンク)でとらえて、思ったことをチャンク単位で話せるようになるためのトレーニングを4つ紹介する。
フェーズ7では、「一定の時間内にどれだけの量を話すか、書けるか」を達成の目安に進めていく。たとえば、TOEIC S&W TESTのライティングの最終問題では、提示されたテーマについて30分で意見や理由を記述する必要がある。ここで300ワード程度書けると理想的だ。流暢に話したり書いたりするスキルは実際のビジネスでも重視されるので、「時間と量」を意識して、フェーズ7の学習に取り組んでほしい。
1.クイックライティングで書き続ける
クイックライティングは、最初にアイデアをまとめる時間を約1分とり、その後10分間英語で書き続けるトレーニング。ブレインストーミングで出たアイデアをもとに、素早く書く練習を繰り返す。
テーマに悩む必要はなく、「人生の目標はなにか」「よい友達とはどのような人か」など、ディスカッションでよく登場するものや、英語のライティングで出される問いなど、身近で書きやすければなんでも構わない。先に考えをまとめる時間をとるため、アウトプットのハードルが下がり、流暢な言語化を助けてくれるのがポイントだ。
2.「4/3/2」トレーニングで3回話す
このトレーニングでは、最初にトピックを決め、話したい内容について考えながらキーワードを並べるなど、大まかなメモをとる。その後、メモを片手に時間を決めて英語で話す。
このとき、英語で話す時間を4分、3分、2分と段々短くして、同じ内容を3回繰り返し話すのがポイント。同じ内容を短い時間で話す練習を重ねるうちに、言いたいことが素早く的確に表現できるようになる。
理想は家族や友人など3人に協力してもらい、違う人の前で3回話せると良いが、もちろん一人でもトレーニングは可能。相手がいないときでも、メッセージを他の人に伝えることを意識して、途中で止まらず話し続けられるように練習しよう。
3.ストーリーテリングで再現する
「ストーリーテリング」は、読んだり聞いたりした英文全体の内容を、思い出せる限り英語で再現するトレーニング。話す内容がある程度わかっているため、スラスラと話しやすい。流暢性を高めるためには効果的な方法だ。
英文をそのまま暗唱するのではなく、聞き手に伝わるように自分の言葉で言い換えたり、感想を付け加えることで、インプットした英文をアウトプットにつなげるトレーニングになる。
たとえば、フェーズ1〜5で音読やシャドーイングに使った英文について、なにも見ずに内容を思い出しながら話してみよう。ポイントは、「4/3/2」トレーニングのように、伝えるメッセージを意識して、他人に聞かせるように話すこと。録音しても良いし、家族や友人に協力してもらうのもオススメだ。
4.写真を見て話し続ける
分単位で時間を区切り、写真を見て話し続けるトレーニングも一定のボリュームでアウトプットをする練習になる。写真はなんでも構わないが、最初は自分で撮ったものや自分が写っているものを使うと練習しやすい。写真の中の人物や撮影時の状況についてのネタが豊富にあるため、話を続けやすくなる。
慣れてきたら初見の写真も使い、写っているものや人の外見を説明したり、季節や人物の心情を想像するなど、思いつくままに話してみよう。数分間一気に話すための効果的なトレーニングになる。
正確に話す・書くトレーニングにも応用可能
最後に、今回紹介した4つのトレーニングは正確さを鍛える上でも役立つ。同社コンテンツ戦略企画部の堀登起子氏は、「1から4で使ってみたものの自信のない英語表現について、辞書や文法書で調べてから再度アウトプットすることで、正確さを身につけるトレーニングになります」と話す。
その日に書いたり話したりした英文を書き出したものを、「プロセスライティング」へつなげるのも効果的だ。与えられたフィードバックによって気づきがうながされるため、流暢さを強化しつつ正確性も担保できるという。
今回は、フェーズ7の学習方法について紹介した。次回の連載では、フェーズ8「複雑に話し、書くことができる」ようになるための、具体的なトレーニング方法を解説する。
■関連サイト
株式会社スタディーハッカー
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