山根博士のグロスマレビュー
アンダーディスプレーカメラが大きく進化したZTE「AXON 30 5G」
2020年秋に世界初のディスプレー埋め込み型フロントカメラを搭載した「AXON 20 5G」を発表したZTEから、第二世代モデルとなる「AXON 30 5G」がグローバル市場で販売されている。AXON 20 5Gとそれをベースにして作られた楽天モバイルの「Rakuten BIG」は6.92型の大きい画面を遮るフロントカメラがなく、最高のコンテンツ視聴環境を提供してくれた一方、フロントカメラ画質にはやや不満があった。AXON 30 5Gはそのフロントカメラを大きく改良した製品である。
AXON 30 5Gの主なスペックはチップセットがSnapdragon 870、今回テストしたモデルはメモリー8GBとストレージ128GB。ディスプレーはAXON 20 5Gと同じ6.92型(2460x1080ドット)、フロントカメラは1600万画素。背面のメインカメラは6400万画素で800万画素の超広角、500万画素のマクロ、200万画素の深度測定の4つを2つの台座に分けて搭載する。バッテリーは4200mAhで65W高速充電対応だ。
本体を側面から見るとディスプレーはフラットで、側面は背面側だけがカーブを描いた形状になっている。リフレッシュレートは自動、90Hz、120Hzを切り替え可能だ。本体サイズは約77.8×170.2×7.8 mm、重さは189gとなっている。手で持ってみると握りやすい印象を受けた。指紋認証センサーはディスプレー内の前面下部に内蔵されている。
OSはAndroid 11、ZTE独自のUIをかぶせたMyOS11を搭載している。プリインストールアプリはAndroid標準のものを搭載。Snapdragon 870搭載の上位機種であるが、最大の特徴はアンダーディスプレーカメラであり、それ以外の機能は特に目立ったものはないようだ。
本体のパフォーマンスはAnTuTu(V9)が594204、Geekbench 5のシングルコアが724、マルチコアが2861。ハイパフォーマンスを求められるゲームなどを使わない限り不満になることはないだろう。
その最大の特徴であるアンダーディスプレーカメラはやはりAXON 30 5Gを使っていると快適に感じる。パンチホールのような画面を遮るものは一切なく、全画面をまるまる表示エリアとして使うことができるからだ。アンダーディスプレーカメラ部分のディスプレーは、実は周りの部分と解像度が異なるがそれほど目立たない。
AXON 20 5GやRakuten BIGではディスプレーを斜め方向から見るとアンダーディスプレーカメラが埋め込まれている部分が際立って見えたが、AXON 30 5Gではそれもほとんど目立たなくなった。なお、AXON 20 5Gのアンダーディスプレーカメラ部分の解像度は200ppi、AXON 30 5Gでは400ppiとなった。両者を比べると確かにAXON 30 5Gのアンダーディスプレーカメラ部分は目立たなくなっている。
アンダーディスプレーカメラを使って実際に自撮りをしてみた。AXON 30 5Gは1600万画素、AXON 20 5Gは1600万画素のためリサイズしてほぼ同じ大きさで比較してみた。どちらもディスプレーの下にフロントカメラがあるため、AI処理による美顔効果は自動的にかかる。実際に自撮りをするシチュエーションである室内で撮影してみると、AXON 30 5Gは若干補正を強めにかけた顔写真と思える程度。それに比べてAXON 20 5Gは加工処理感が強く、さらに暗い。AXON 30 5Gなら自撮りも常用できそうだ。
背景にライトなどの明かりがある場所での自撮もよく見るが、AXON 30 5Gは光のかぶった顔の側面部分もうまく写せているのに対し、AXON 20 5Gではややぼけてしまう。2世代目となるアンダーディスプレーカメラの性能が大きく向上していることがわかるだろう。
さてアンダーディスプレーカメラが注目されるものの、AXON 30 5Gは6400万画素カメラを搭載するカメラフォンとしても優れた性能を誇る。カメラデザインを見ると6400万画素カメラを独立させ、超広角・マクロ・深度測定のカメラは別にまとめている。以下はAXON 30 5Gで実際に撮影してみた写真だ。
AXON 30 5Gは一般的な写真撮影もセルフィーも難なくこなせ、しかもコンテンツを表示するときに全画面を使える快適なビュワー環境も提供してくれる。AXON 30 5Gのアンダーディスプレーカメラ性能はまだ完ぺきに一般的なフロントカメラ性能と同等とはいえないだろうが、これだけの画質が得られるのであればミドルレンジクラスのモデルに搭載されても不満が出ることはないだろう。今後アンダーディスプレーカメラがどこまで進化していくのか、ZTEのこれからもモデルに期待したい。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります