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Web EDIでの自動化にフォーカス カスタマーサクセスプランのねらい

レッドオーシャンのRPA市場 ユーザックシステムの生き残り戦略は?

2021年10月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII
提供: ユーザックシステム

 DXの進展とともに業務の自動化を推進するRPAの導入も増えており、RPA製品を展開する各社も生き残りを模索する時代となってきた。Autoジョブ名人を展開するユーザックシステム 執行役員 マーケティング担当の大崎 豊氏に、RPAが当たり前になってきた今、同社がとる生き残り戦略とカスタマーサクセスプランについて聞いた。

ユーザックシステム 執行役員 マーケティング担当 大崎 豊氏

流通や製造業での実績を元にWeb EDIの自動化にフォーカス

 RPAという言葉が生まれる以前から、17年に渡って業務の自動化に取り組んできたユーザックシステム。同社のRPA製品の導入企業はすでに1000社を超える。しかし、RPAの普及やDXの伸張を見据えた、次なる戦略は選択と集中だ。「RPAの市場はかなりレッドオーシャン。こうした中で、どのように弊社の製品をアピールし、使ってもらうかが大きなテーマ」と大崎氏は語る。

 ユーザックシステムのRPAならではの強みは、長年かけて積み重ねてきた流通や製造業の分野での実績だ。特にWeb EDIの自動化は、いわゆる「ランチェスター戦略」で言うところのニッチながら差別化できるポイント。「今後、モノの販売を手がけている企業は、EDIやECの導入に取り組んでいくはず。ユーザーにはWeb EDIでの強みを理解してもらい、パートナーともWeb EDIの分野で組んでいきたい」と大崎氏は語る。

 その流れで生まれたのが、特定ECサイト用のスクリプトを販売する「名人マーケット」だ。ここにはWeb EDIにおける各データ(受注、請求、支払い明細、受領、売上集計、在庫、入出金)のダウンロードや送り状データの印刷を実現するスクリプトが用意されており、Autoジョブ名人に組み込むことで、開発工数をかけずに、すぐに業務を自動化できる。

特定EC用のスクリプトを販売する名人マーケット

 大崎氏は、「システム化されてない会社の場合、いったん受注が来たら、担当者が伝票を自らダウンロードして、基幹システムに登録しなければなりません。だからミスが許されない。でも、名人マーケットのスクリプトを使えば、極論、Web EDIからのダウンロードは明日からでもその業務を自動化できます」と語る。

 複数のアプリケーションの処理が連携できるRPA製品は、その利用範囲の広さや汎用性が売りになることも多いが、逆に得意分野がわかりにくい製品でもある。その点、流通や製造業での実績を元にWeb EDIにフォーカスする同社の戦略はシンプルでわかりやすい。「なにを自動化すればいいんだろう?と疑問に思うお客さまに対して、注文から出荷までの一連の作業を効率化するためにWeb EDIを自動化できますというのは伝わりやすいメッセージだと思います」と大崎氏は語る。

成功率100% 導入3ヶ月でRPAプロジェクトの成果を出す

 名人マーケットとともに戦略的なサービスとして位置づけるのが、RPAの導入効果を3ヶ月で実感できる「カスタマーサクセスプラン」だ。もともと同社はAutoジョブ名人のスクリプト開発を受託で請け負っていたが、カスタマーサクセスプランはユーザー自身がRPAを開発できるようになる、いわば内製化支援サービスだ。

 カスタマーサクセスプランが登場した背景には、「RPAを導入しても、 業務改善がなかなか進まない」という他社RPAユーザーの声があった。「今までのRPAのサポートって、プロによる導入支援、開発教育、PoCがメイン。でもプロの手が離れてしまうと、結局業務改善が止まってしまうというお客さまはけっこう多いんです」と渡辺氏は指摘する。

 これに対してカスタマーサクセスプランは、専属のプランナーがユーザーといっしょに業務改善成功のためのプランを作成し、導入時点から3ヶ月プロジェクトを伴走する。導入するのみならず、3ヶ月できちんと成果を出すことが目的だ。渡辺氏は、「サブスクリプションサービスの場合、お客さまも短い期間で成果を出すことが求められます。だから、とにかく導入後3ヶ月でお客さまにどう動いてもらうかがポイントとなります」 と語る。

3ヶ月で成果を出すカスタマーサクセスプラン

 今年から始めたサービスだが、これまでプロジェクトの失敗はなんとゼロで、高い評価を得ている。「3ヶ月で5業務をRPA化していくという提案で進めていますが、多くのお客さまで10業務くらいをRPA化できています」(渡辺氏)。今後、流通や製造業でニーズの高いWeb EDIの自動化に関してはカスタマーサクセスプランに成功保証を付ける予定で、他社と明確な差別化を付けていくという。

 昨今、多くの企業が進めるDXで注目される内製化。こうした中、業務の自動化に向けてユーザー企業とともに伴走するというのは、同社の大きな柱。また、DXの手前の過程であるアナログのデジタル化という観点でも、さまざまなパートナーシップと進めており、中小企業にとっては力強いサポーターになりそうだ。

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